2025年11月27日
労務・人事ニュース
令和7年9月 愛知県の有効求人倍率1.25倍 中小企業の採用戦略を探る
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最終更新: 2025年11月26日 21:00
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令和7年9月分 速報最近の雇用情勢(愛知労働局)
この記事の概要
令和7年9月の愛知労働局発表によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.25倍となり、前月から0.01ポイント低下した。全国平均の1.20倍を0.05ポイント上回るが、5か月連続で低下しており、雇用環境にやや陰りが見られる。新規求人倍率も2.20倍と前月比0.12ポイントの低下で2か月連続の減少。製造業を中心とした新規求人の減少が目立つ一方で、介護・医療やサービス関連では安定的な求人が見られた。この記事では、愛知県の雇用動向を詳細に分析し、有効求人倍率の変化が中小企業の採用戦略に与える影響を、専門的かつ実務的な視点から解説する。
愛知労働局が発表した令和7年9月分の雇用情勢によると、有効求人倍率(季節調整値)は1.25倍となり、前月から0.01ポイント低下した。全国平均の1.20倍をわずかに上回るものの、これは5か月連続の低下であり、求人の勢いに一服感が出ていることを示している。新規求人倍率も2.20倍と、前月から0.12ポイント低下し、こちらも2か月連続の減少である。景気の先行きに対する慎重な見方が企業の採用行動に表れており、特に製造業や建設業では新規求人の減少が顕著となった。
県内の月間有効求人数は124,181人で、対前月比1.0%減少、有効求職者数は99,583人で前月比0.2%の減少だった。求職者の減少幅よりも求人の減少幅が大きいことから、求人倍率がわずかに下がった形である。こうした動きは、県内企業が雇用を維持しつつも、新規採用には慎重姿勢を強めていることを示している。特に物価上昇やエネルギーコストの高止まりが企業の経営判断に影響を及ぼし、採用コストの見直しを余儀なくされている。
地域別に見ると、名古屋地域の有効求人倍率は1.53倍と依然として高水準を維持しているが、前年同月から0.07ポイント低下した。尾張地域は1.02倍、西三河は1.04倍、東三河は0.93倍と、いずれも前月比や前年同月比で低下または横ばいの傾向にある。名古屋市を中心とした都市部では、IT・専門職、営業職、事務職などのホワイトカラー人材への需要が依然として強い。一方、東三河や西三河など製造業が集積する地域では、生産活動の調整や部品供給の遅れが影響し、求人活動が鈍化している。特に輸送用機械器具製造業では前年同月比で1.1%減少し、電子部品や金属製品製造業でも小幅ながらマイナスが続いた。
職種別に見ると、建設・土木作業員や介護・福祉職、運輸・郵便関連職などで依然として高い求人倍率を維持している。特に建設現場作業員は有効求人倍率が6倍を超える水準にあり、深刻な人手不足が続いている。介護サービス職も4倍を超える水準で、慢性的な人材不足が継続している。これに対して事務職の有効求人倍率は0.3倍前後と極めて低く、職種間の需給ミスマッチが際立っている。このような状況は、中小企業の採用担当者にとって採用戦略を練る上で極めて重要な指標となる。
新規求人の産業別動向をみると、全体では前年同月比5.9%減の4万件。製造業は4.0%減、建設業は3.1%減、卸売業・小売業も5.6%減と、主要産業の多くで減少が見られた。一方で、医療・福祉分野は1.6%減にとどまり、比較的安定している。特に社会保険・介護事業分野では、常用求人が前年同月比4.7%増と増加しており、高齢化の進展に伴う需要が顕著に表れている。また、情報通信業は9.9%減と落ち込みが目立つが、情報サービス関連やIT技術者職種では求人倍率が依然として高く、スキル人材の需要が底堅い。
正社員に絞ると、有効求人倍率は1.09倍で前月比0.01ポイントの低下、前年同月比でもマイナス0.01ポイントとなった。これは51か月連続で1倍台を維持しており、一定の安定性を保ちながらも、やや減速傾向が見られる。正社員有効求人数は64,350人、常用フルタイム有効求職者数は59,012人で、いずれも前年を下回った。正社員就職件数も1,366件と減少しており、求職者の希望条件と企業の求人要件が一致しにくい構造的な課題が浮かび上がる。特に中堅・中小企業においては、採用後の育成コストや定着率の問題も重なり、慎重な採用判断が続いている。
雇用環境全体としては「求人が求職を上回る状況」は続いているものの、愛知労働局は「物価上昇などが雇用に与える影響に注意が必要」としており、今後も慎重なモニタリングが求められる。自動車関連産業を中心とする愛知県経済は全国有数の製造集積地であるが、EV化やカーボンニュートラル対応などの構造転換期にあり、採用ニーズが一時的に変化している。これまで大量採用を行ってきた業種でも、新しい技能・デジタルスキルを持つ人材への選別採用が強まる傾向にある。
中小企業の採用担当者にとって、有効求人倍率1.25倍という数値は単なる統計ではなく、戦略判断の重要なシグナルである。求職者1人に対して1.25件の求人があるということは、人材の取り合いが続いている状況を意味する。特に若年層や技術系人材は都市部や大手企業に流れやすく、地方中小企業では採用競争力を高める努力が不可欠となる。そのためには、賃金面の見直しに加えて、職場の魅力づくり、柔軟な働き方の導入、地域密着型の採用活動がカギを握る。愛知県内では地元高校や専門学校と連携したリクルート活動や、インターンシップ制度を活用して人材と早期に接点を持つ動きが広がっている。
また、デジタル採用の強化も重要である。ハローワークインターネットサービスの機能拡充により、オンライン上での求職登録や応募が増加している。求人票を作成する際には、仕事内容の明確化と自社の価値を具体的に伝える工夫が必要だ。単に「未経験者歓迎」と記載するだけでなく、入社後の成長ステップや福利厚生、地域との関わりなどを丁寧に表現することで、求職者の共感を得やすくなる。
今後、県内の雇用情勢は緩やかに推移するとみられるが、世界経済の動向や為替変動など外部要因も無視できない。特に製造業依存度の高い愛知県では、海外需要や輸出動向が雇用に直接影響する。こうした中で中小企業は、単なる人員確保ではなく「持続的な雇用戦略」を描く必要がある。多様な人材を受け入れ、社内育成体制を整備し、長期的な視点で人材価値を高めていくことが、これからの採用戦略の中心となるだろう。
この記事の要点
- 令和7年9月の愛知県有効求人倍率は1.25倍で全国平均を上回る
- 5か月連続で低下し雇用環境にやや陰り
- 新規求人倍率は2.20倍と2か月連続で減少
- 名古屋地域が1.53倍と県内最高、西三河や東三河では低水準
- 製造業の求人が減少、介護・福祉分野は安定
- 正社員有効求人倍率は1.09倍で51か月連続1倍台
- 中小企業は採用広報と職場環境改善で人材確保を強化すべき
⇒ 詳しくは愛知労働局のWEBサイトへ


