2025年11月27日
労務・人事ニュース
令和7年9月 三重県の有効求人倍率1.18倍 中小企業が取るべき採用戦略
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一般職業紹介状況(令和7年9月内容)(三重労働局)
この記事の概要
令和7年9月の三重労働局発表によると、三重県の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍となり、前月から0.04ポイント上昇した。全国平均の1.20倍をわずかに下回るものの、改善の兆しが見られる結果である。一方で、新規求人倍率は1.94倍と前月比で0.09ポイント低下し、求人動向にはやや足踏みが見られる。製造業や運輸業で減少が見られる一方、建設業や学術研究・専門技術サービス業では増加が確認された。この記事では、こうした雇用情勢を踏まえ、中小企業の採用担当者がどのように人材確保を行うべきかを独自の視点から考察する。
令和7年9月に三重労働局が公表した最新の労働市場動向によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、前月から0.04ポイント上昇した。これは、分子にあたる有効求人数が29,522人と前月比で1.4%増加し、分母である有効求職者数が25,083人と1.5%減少したことによるものだ。つまり、求人の増加と求職者の減少が重なったことで、求人倍率の上昇に結びついた。一方で全国平均の有効求人倍率は1.20倍であり、三重県は全国第27位という順位となっている。就業地別の有効求人倍率では1.38倍と、こちらも前月より0.04ポイント上昇し、全国第13位に位置した。
新規求人倍率(季節調整値)は1.94倍と、前月比で0.09ポイント低下した。新規求人数が9,754人(前月比▲4.4%)と減少したのに対し、新規求職申込件数が5,034件(前月比+0.2%)とわずかに増加したことが影響している。これにより、新規求人倍率は下降傾向を示し、企業の採用活動に慎重さが見られる結果となった。全体として求人は求職を上回っているものの、求人の伸びが鈍化しており、雇用環境の改善には一服感が見られる。
産業別にみると、建設業が前年同月比15.6%増(163人増)と大きく伸び、続いて学術研究・専門技術サービス業が25.5%増(36人増)、サービス業(他に分類されないもの)が20.5%増(273人増)と好調だった。一方で、運輸業・郵便業は16.2%減(121人減)、宿泊業・飲食サービス業は13.2%減(85人減)、医療・福祉は1.9%減(48人減)と、生活・物流関連分野では求人減少が目立った。このように、業種によって求人動向に大きな差が出ている。建設業や技術サービス業で求人が伸びた背景には、インフラ整備需要やデジタル技術導入支援などの動きがあると考えられる。一方で、運輸業や宿泊業では燃料費や人件費上昇の影響が続き、求人抑制傾向が見られた。
新規求職申込件数(原数値)は4,956件で、前年同月比4.5%減となり、2か月ぶりの減少である。特に離職者が前年同月比6.2%減の3,136人と8か月連続で減少しており、雇用の安定化が進んでいることを示している。離職者のうち「事業主都合離職者」は621人(前年比▲15.2%)、「自己都合離職者」は2,303人(前年比▲2.9%)と、いずれも減少している点は注目に値する。これにより、求職市場における新規参入者が減り、既存労働力の囲い込みが強まっている構図が浮かび上がる。
地域別にみると、四日市所(1.29倍)、津所(1.24倍)、鈴鹿所(1.19倍)、松阪所(1.15倍)、伊賀所(1.14倍)、伊勢所(1.04倍)など、県内各地域で雇用状況に差がある。特に四日市・鈴鹿などの工業集積地では依然として高い求人倍率を維持している。一方、桑名所(0.95倍)や熊野所(0.97倍)などでは1倍を下回る地域もあり、地域間格差の課題が残る。
正社員の有効求人倍率(原数値)は1.01倍で、前年同月比0.04ポイント上昇し、9か月連続で上昇した。正社員有効求人数は14,020人(前年比+4.4%)、有効求職者数は13,943人(前年比+0.2%)と、求人増加が求職増加を上回ったことが背景にある。全国の正社員有効求人倍率(1.00倍)を上回り、三重県の正社員採用環境は全国的に見ても安定していることが分かる。特に正社員求人の増加は、企業の人材定着を重視する傾向を反映しており、採用後の育成と長期雇用を前提とした採用活動が進んでいることを示す。
中小企業にとってこの数値は重要な意味を持つ。有効求人倍率1.18倍ということは、求職者1人に対して1.18件の求人がある状態であり、人材獲得競争が依然として続いていることを示している。とりわけ、製造業や建設業、介護業界などの技能職では深刻な人手不足が続いており、採用難は長期化している。このような状況下では、単に求人を出すだけでは応募が集まりにくく、企業の魅力を伝える情報発信力が問われている。職場の環境改善や、柔軟な働き方、キャリア形成支援制度など、求職者が重視するポイントを積極的に打ち出すことが重要である。
また、採用戦略の多様化も必要である。ハローワークインターネットサービスを活用したオンライン応募や、地域密着型の採用イベントへの参加、地元学校との連携など、多様なチャネルを通じて求職者との接点を増やす取り組みが有効だ。特に三重県では、製造業や物流関連企業が多く、地域外からの人材流入を促進する工夫も求められる。例えば、住宅支援制度や移住支援策をセットにした求人は、地方移住志向の若年層やUターン人材に訴求力が高い。
さらに、採用活動のタイミングにも注意が必要である。新規求人倍率が1.94倍とやや低下したことは、企業が採用計画を慎重に進めていることの表れだが、同時に求職者側も転職や再就職の動きを控える傾向がある。中小企業にとっては、こうした時期こそ採用のチャンスでもある。大手企業が採用を抑制する局面では、潜在的な優秀人材を採用できる可能性が高まる。採用担当者は、景気動向や業界ごとの求人推移を見極めながら、柔軟に採用スケジュールを調整することが求められる。
雇用環境の安定化が進む一方で、労働市場の構造変化にも対応する必要がある。AIや自動化の進展により、単純作業から知識・技能重視型へと職種の需要構造が変わっており、企業はスキルアップ支援を通じて人材育成に力を入れるべきである。採用活動を「即戦力の確保」だけで終わらせず、「長期的な人材投資」として捉える視点が、これからの中小企業経営には不可欠だと言える。
この記事の要点
- 令和7年9月の三重県有効求人倍率は1.18倍で前月比0.04ポイント上昇
- 全国平均1.20倍をわずかに下回り全国27位
- 新規求人倍率は1.94倍で前月比0.09ポイント低下
- 建設業・専門技術サービス業で求人増、運輸業・宿泊業で減少
- 正社員有効求人倍率は1.01倍で9か月連続上昇
- 離職者数が減少し雇用の安定化が進行
- 中小企業は採用ブランディングと地域密着採用の強化が鍵
⇒ 詳しくは三重労働局のWEBサイトへ


