2025年11月27日
労務・人事ニュース
令和7年9月 滋賀県の有効求人倍率1.05倍 採用回復の兆しと今後の戦略
- 商業施設・工場・ビルなどの空調設備や電気設備に伴う設計から施工管理全般のお仕事/未経験OK/即日勤務可/工事・土木施工管理
最終更新: 2025年11月27日 01:03
- アイリスト/福間駅/社員募集/11月27日更新
最終更新: 2025年11月27日 00:35
- アイリスト/福岡県/福岡市中央区/西鉄福岡 駅
最終更新: 2025年11月26日 15:33
- ネイリスト/西鉄福岡 駅/社員募集/11月27日更新
最終更新: 2025年11月27日 00:35
一般職業紹介状況(令和7年9月分)について(滋賀労働局)
この記事の概要
令和7年9月の滋賀労働局の発表によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.05倍となり、前月比で0.01ポイント上昇し、2か月ぶりの改善が確認された。新規求人倍率も1.79倍(前月比+0.11ポイント)と上昇し、雇用情勢は緩やかに持ち直しの兆しを見せている。製造業や医療・福祉、運輸業などで求人が増加した一方、情報通信業や宿泊・飲食サービス業では減少が続いた。この記事では、滋賀県の最新の雇用動向を踏まえ、中小企業の採用担当者が今後どのような採用戦略を取るべきかを専門的視点から解説する。
令和7年9月の滋賀労働局による一般職業紹介状況の発表では、有効求人倍率(季節調整値)は1.05倍と、前月から0.01ポイント上昇した。これは2か月ぶりの上昇であり、求人数の減少幅よりも求職者数の減少が大きかったことが主な要因である。有効求人数(季節調整値)は22,158人で前月比2.2%減、有効求職者数(季節調整値)は21,160人で2.7%減となった。新規求人倍率は1.79倍と前月比0.11ポイント上昇し、3か月ぶりに上向いた。全体として、滋賀県の雇用情勢は緩やかに回復基調にあるものの、物価上昇や人件費の高止まりといった経済環境の影響を引き続き注視する必要があるとされた。
産業別にみると、建設業は前年同月比2.3%増で2か月連続の増加、製造業は11.1%増で3か月ぶりの増加となり、県内産業の主軸であるモノづくり分野の採用が再び活発化した。運輸業・郵便業も18.3%増と2か月連続の増加で、物流需要の底堅さが示された。また、医療・福祉は11.8%増と3か月ぶりの増加であり、高齢化の進展に伴う人材需要の拡大が続いている。教育・学習支援業は26.3%増と大幅に伸び、教育関連サービスや塾業界の再開・拡充が雇用に影響した。一方で、情報通信業は前年比56.8%減と6か月連続の大幅減少であり、企業のデジタル投資に慎重さが見られる。卸売業・小売業も13.7%減、宿泊業・飲食サービス業は23.4%減、生活関連サービス業・娯楽業も35.7%減と、サービス業を中心に求人減少が続いた。これらの動向から、消費関連業種の回復にはまだ時間がかかると見られる。
正社員有効求人倍率(原数値)は0.81倍で、前年同月比0.05ポイント上昇し、11か月連続で上昇した。これは企業が安定した人材確保を志向していることを示すものであり、正社員採用の割合も前年より3.7ポイント上昇して46.0%となった。非正社員求人は前年比7.5%減であり、企業の雇用形態が長期雇用重視へシフトしている。これは、物価上昇や採用コストの上昇の中で、短期的な雇用調整ではなく定着を重視する動きが広がっていることの現れだ。
新規求職者数は4,411人で前月比4.7%減、3か月ぶりの減少となった。新規常用求職者(パート除く)は2,649人で前年同月比3.8%増となり、在職者が7.1%増、自己都合離職者が8.5%増と、転職を前向きに捉える層の動きが活発になっていることが分かる。これにより、滋賀県では求職者全体の母数が減少しながらも、職場環境や待遇の改善を求める「選ぶ側」の意識が高まっている。
地域別の動向では、大津所の有効求人倍率が1.36倍、彦根所が2.15倍、草津所が1.89倍、甲賀所が1.83倍と高い水準を維持した。一方で、東近江所は1.35倍、長浜所は1.42倍と中間的な水準で推移しており、地域によって労働需給のばらつきが見られる。特に工業集積が進む彦根・甲賀エリアでは、製造業や物流関連の求人が活発で、地域経済を支える中小企業にとっては人材確保が最重要課題となっている。
このような状況の中で、中小企業の採用担当者が注視すべきは「求人の質」と「応募の動機付け」である。有効求人倍率1.05倍という数値は、求職者1人に対して1.05件の求人がある状態を示すが、このバランスは表面上の均衡を意味するに過ぎない。実際には、介護・建設・製造といった業種では依然として深刻な人手不足が続いており、反対に事務職や販売職などでは求人が過剰で競争が激しい。中小企業が採用活動で成果を上げるには、まず自社の強みを「働く価値」として言語化することが求められる。例えば、地域密着経営の強みや、少人数ならではの裁量の大きさ、働きがいなどを明確に伝えることで、大手企業との差別化が図れる。
また、ハローワークインターネットサービスを中心としたオンライン採用の浸透が進んでおり、求人情報の掲載方法も工夫が必要である。求職者が検索時に注目するのは「仕事内容の具体性」「キャリアパス」「職場の雰囲気」であり、これらの情報を丁寧に発信することが応募率を高める。特に、滋賀県のように通勤圏が京都・大阪にも広がる地域では、都市圏との賃金差だけでなく「生活のしやすさ」や「通勤負担の軽減」といった要素をアピールポイントとして打ち出すことが有効である。
さらに、中小企業は採用後の育成体制を整備することも重要である。短期間で離職してしまうケースが多い背景には、入社後の教育やキャリア支援の不足がある。OJTに加え、外部研修や資格取得支援を活用することで「成長できる職場」という信頼感を醸成できる。特に若年層の採用では、給与水準以上に「学べる環境」への評価が重視される傾向が強まっている。
滋賀県の雇用情勢は近畿圏内では比較的安定しており、令和7年9月時点での近畿平均有効求人倍率1.13倍に対し、滋賀県は1.05倍とやや下回るものの、就業地別では1.33倍と高い。これは、県外からの通勤者や企業の越境採用が多いことを示している。つまり、滋賀県の中小企業は、他府県との人材競争にも直面しているということだ。そうした中で重要なのは「地域で働く意義」を伝える採用メッセージである。地域社会への貢献や持続可能な産業づくりといった視点を盛り込むことで、地元志向の人材やUターン希望者の共感を得やすくなる。
今後、物価やエネルギーコストの上昇が続く中でも、滋賀県の労働市場は緩やかに安定を保つと見込まれている。中小企業の採用担当者は、単に有効求人倍率の上昇・下降を数字として見るのではなく、その背後にある「職種別需給バランス」「地域間格差」「雇用形態の変化」を読み取り、自社に合った採用戦略を構築していくことが必要だ。採用の成功は、求人を出すことではなく、求職者が「この企業で働きたい」と思う理由を作ることから始まるのである。
この記事の要点
- 令和7年9月の滋賀県有効求人倍率は1.05倍で前月比0.01ポイント上昇
- 新規求人倍率は1.79倍と3か月ぶりに上昇
- 製造業・建設業・医療福祉分野で求人増加
- 情報通信業・宿泊業・飲食サービス業で求人減少
- 正社員有効求人倍率は0.81倍で11か月連続上昇
- 求職者数は減少しつつも転職希望層は増加傾向
- 中小企業は求人の魅力発信と育成体制強化が鍵
⇒ 詳しくは滋賀労働局のWEBサイトへ


