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2025年11月27日

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令和7年9月 京都府の有効求人倍率1.25倍 雇用の持ち直しと採用戦略

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報道発表資料 京都府内の雇用失業情勢(令和7年9月分)(京都労働局)

この記事の概要

令和7年9月、京都労働局が公表した最新の労働市場データによると、京都府の有効求人倍率(季節調整値)は1.25倍で、前月比0.01ポイント低下した。全国平均の1.20倍を上回る水準ではあるものの、わずかに弱含みの動きが見られた。新規求人倍率も2.33倍(前月比▲0.13ポイント)と低下し、企業の採用活動に慎重さが見られる。この記事では、京都府の雇用情勢を詳細に分析し、中小企業の採用担当者が有効求人倍率からどのように採用活動を進めるべきかを、専門的かつ実践的な視点から解説する。


令和7年9月の京都府の有効求人倍率(季節調整値)は1.25倍となり、前月から0.01ポイント低下した。全国平均の1.20倍を上回ってはいるが、3か月連続での小幅な低下となっており、雇用の伸びが一服した印象を与えている。有効求人数(季節調整値)は53,409人(前月比▲1.8%)、有効求職者数(同)42,607人(前月比▲1.4%)と、求人・求職ともに減少した。つまり、求人の減少幅が求職の減少幅を上回ったことで、有効求人倍率はやや下がった形である。

新規求人倍率(季節調整値)は2.33倍となり、前月より0.13ポイント低下した。新規求人数は17,283人(前月比▲10.0%)と大きく減少し、新規求職者数も7,430人(同▲4.9%)と減少した。企業の採用計画は前年より慎重化しており、特に年後半にかけて一部業界では採用の抑制傾向が見られる。一方で、京都府の雇用情勢全体としては、「一部に厳しさが残るものの緩やかに持ち直している」と分析されている。

産業別に見ると、建設業、製造業、運輸業・郵便業、学術研究・専門技術サービス業、生活関連サービス業・娯楽業などで前年同月比増加が確認された。特に非鉄金属・金属製品製造業や輸送用機械器具製造業などで求人が増えており、製造業全体では前年同月比0.4%の増加であった。京都は伝統的に製造業の集積地であり、半導体や精密機械分野の求人が堅調に推移している。一方で、情報通信業、卸売・小売業、宿泊・飲食サービス業、教育・学習支援業、医療・福祉業では求人が減少している。これらの業界では人件費やエネルギーコストの上昇、需要変動の影響が続いており、雇用を抑える動きが強まっている。

正社員の有効求人倍率(原数値)は1.02倍で、前年同月より0.04ポイント上昇した。有効求人数は24,611人(前年同月比+3.6%)、有効求職者数は24,053人(同▲0.8%)で、正社員求人が着実に増えている。正社員求人の割合は全体の46.8%に達し、前年より2.1ポイント上昇しており、企業が安定雇用志向を強めていることが明確に見て取れる。また、正社員希望者は有効求職者全体の56.3%を占めており、求職者側も安定的な雇用を求める傾向が続いている。

地域別にみると、京都西陣所1.16倍、京都七条所1.17倍、伏見所1.47倍、宇治所1.32倍、田辺所0.82倍、福知山所1.61倍、舞鶴所1.46倍、峰山所1.73倍となっており、北部地域での求人倍率の高さが目立つ。特に峰山や福知山などでは1.6倍を超えており、製造業や建設業を中心に人材不足が深刻化している。一方、京都市内中心部ではサービス業や事務職の求職希望が集中しており、ミスマッチの課題が浮き彫りになっている。

雇用保険の適用事業所数は47,961件で、前年同月比0.6%増と178か月連続で増加した。被保険者数は773,643人(前年同月比+0.6%)で、堅調に推移しているが、雇用保険受給者は前年同月比12.5%増の10,568人と増加しており、離職後の再就職までに時間を要するケースが増えていることを示している。基本受給率は1.35%で前年同月差+0.14ポイント上昇し、雇用環境の改善テンポがやや鈍化していることがうかがえる。

こうしたデータから読み取れるのは、京都府の雇用市場が全体的には安定しているものの、業種や地域によって温度差があるという現実である。製造業・建設業などの現場職種では人材不足が継続している一方、オフィスワーク系職種では求職者の増加により倍率が低下している。中小企業の採用担当者にとって重要なのは、この「局地的な需給ギャップ」をどう戦略的に活かすかである。

まず、京都の中小企業にとって採用の最大の課題は、大手企業との人材獲得競争である。京都市内には全国的にも有名なメーカーや研究機関、観光関連企業が多く、採用市場の競争が激しい。こうした中で中小企業が採用を成功させるためには、「給与」以外の魅力を打ち出すことが不可欠である。たとえば、地域密着型の経営姿勢や、社員一人ひとりに与えられる裁量の大きさ、専門性を活かせる職場環境など、企業文化そのものをブランディングすることが求められる。

次に、採用活動を進める上では「応募動機を引き出す仕掛け」が鍵となる。有効求人倍率が1.25倍ということは、求職者1人に対して1.25件の求人がある状態であり、求職者は複数企業を比較検討する余地がある。そのため、求人票の書き方一つで応募率が大きく変わる。ハローワークインターネットサービスを利用する際も、業務内容を箇条書きで終わらせず、仕事の意義やチームの雰囲気を具体的に表現することで、応募者の共感を得やすくなる。また、職場見学やオンライン説明会を取り入れることで、求職者に安心感を与え、応募から採用までの離脱を防ぐことも有効である。

さらに、採用後の定着支援も欠かせない。京都府では転職希望者のうち、自己都合離職者が前年同月比2.7%増、事業主都合離職者が5.6%増と、離職が再び増え始めている。これは職場とのミスマッチや労働条件への不満が背景にある。中小企業は限られた人員の中で多様な業務をこなす傾向があるため、採用段階での仕事内容の明確化と、入社後のフォロー体制が離職防止の決め手となる。定期的な面談やキャリア支援の仕組みを導入することで、社員のモチベーション維持につながる。

今後の採用市場を展望すると、京都府では製造業と建設業が引き続き人材需要をけん引する一方、観光需要の回復に伴い宿泊・飲食業も再び活性化する見通しがある。物価上昇の影響により中小企業の経営環境は依然厳しいが、人材を「コスト」ではなく「成長の源泉」として捉える企業が増えるほど、地域経済の底上げが進むだろう。採用担当者は、求人倍率という数値の背後にある「人材の動き」「求職者の心理」を読み解き、長期的な視野で採用戦略を構築することが求められる。

この記事の要点

  • 令和7年9月の京都府有効求人倍率は1.25倍で前月比0.01ポイント低下
  • 新規求人倍率は2.33倍で前月比0.13ポイント低下
  • 建設業・製造業・運輸業で求人増、情報通信業・宿泊業で減少
  • 正社員有効求人倍率は1.02倍に上昇し安定雇用志向が続く
  • 峰山・福知山エリアで人手不足が深刻化
  • 中小企業は給与以外の魅力訴求と定着支援が重要

⇒ 詳しくは京都労働局のWEBサイトへ

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