2025年11月28日
労務・人事ニュース
令和7年9月 鳥取県の有効求人倍率1.27倍 全国平均を上回る安定雇用
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最終更新: 2025年11月27日 09:35
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鳥取県内の雇用情勢(令和7年9月分)(鳥取労働局)
この記事の概要
令和7年9月、鳥取労働局が発表した最新の雇用情勢によると、鳥取県の有効求人倍率(季節調整値)は1.27倍で、前月と同水準となった。求職者1人に対して1.27件の求人がある状態が続いており、全国平均の1.20倍を上回る水準を維持している。新規求人数は4,196人で前年同月比8.8%減と減少したが、正社員の有効求人倍率は1.10倍と全国平均の1.00倍を上回り、安定した雇用環境が確認された。本稿では、鳥取県の労働市場の実態を踏まえ、中小企業がこの状況下でどのように採用戦略を構築すべきかを丁寧に考察する。
令和7年9月の鳥取県の有効求人倍率(季節調整値)は1.27倍で、前月と同水準を維持した。全国平均の1.20倍よりも0.07ポイント高く、雇用環境としては相対的に良好な状態が続いている。しかし、労働局は「改善の動きが弱まっている」と指摘しており、物価上昇や採用コストの高止まりといった外的要因が企業の採用意欲に影響していると分析している。有効求人数は12,050人で前月比2.9%減、有効求職者数も9,516人で同じく2.9%減少したため、求人倍率自体は横ばいとなった。
新規求人の動向を見ると、9月の新規求人数は4,196人で前年同月比405人(8.8%)減と4か月ぶりの減少となった。産業別に見ると、建設業(6.5%増)や公務・その他(72.5%増)で求人が増加した一方、卸売・小売業(18.3%減)、医療・福祉(13.6%減)、宿泊・飲食サービス業(11.4%減)、製造業(7.4%減)など多くの業種で求人が減少している。特に卸売・小売業の減少は、人件費高騰や物価上昇による収益圧迫の影響が顕著に表れている。一方で建設業はインフラ整備や再開発事業の需要が底堅く、求人の伸びを維持している。
地域別に見ると、ハローワーク鳥取、倉吉、米子の各管内で求人動向に差がある。鳥取所では1.34倍、倉吉所では1.22倍、米子所では1.26倍と、全体的に高水準で推移しているものの、地域ごとに求職者層や業種構成に特徴がある。特に倉吉地域では製造業中心の求人が多く、米子地域では医療・福祉および運輸関連の求人が目立つ。これに対し、鳥取市周辺は卸売・小売や事務職を中心に求職が多く、地域間の需給バランスの違いが顕著となっている。
求職者の動向を見ると、新規求職者数は1,857人で前年同月比1.0%増とわずかに増加した。在職者が33人(5.9%)増、離職者が9人(0.8%)増となり、特に事業主都合離職者が11人(5.6%)増加した点は注目に値する。これは物価上昇や業績悪化を背景に、一部企業で雇用調整が進んでいることを示唆している。一方で無業者は13.3%減少しており、労働市場への復帰を志す層が減少していることも見逃せない。
正社員の有効求人倍率(原数値)は1.10倍で、前年同月から0.01ポイント上昇し、11か月連続で前年同月を上回った。正社員の有効求人数は6,186人(前年同月比0.5%減)、有効求職者数は5,647人(同0.7%減)と小幅な減少にとどまり、雇用の安定感がうかがえる。全国の正社員有効求人倍率が1.00倍であるのに対し、鳥取県の1.10倍という数値は、地方としては比較的高い採用意欲を維持していることを示している。
産業構造の観点から見ると、鳥取県では依然として医療・福祉業が求人の柱であり、全体の22%を占めている。次いで卸売・小売業、建設業、製造業が続くが、宿泊・飲食業やサービス業の落ち込みが目立つ。特に観光関連産業では人材の確保が難航しており、非正規雇用者の流動性の高さが影響している。一方、建設業では公共工事需要を背景に安定的な求人が見られるものの、若年層の確保が課題となっている。
こうした状況を踏まえると、中小企業の採用担当者は単に求人を出すだけでなく、労働市場全体の動きを理解し、自社の採用戦略を再構築することが不可欠である。まず、求人倍率1.27倍という数値を「採用しやすい」と見るのではなく、「人材の選択肢が限られる中での競争環境」として捉えることが重要だ。特に地方都市では、求職者数そのものが限られているため、採用においてはスピードと訴求力が鍵を握る。
そのためには、求人票の作り方を見直す必要がある。鳥取県内では依然としてハローワーク経由の採用が主流だが、近年はインターネット応募やオンライン面接を活用する企業も増えている。求職者の多くは勤務条件だけでなく、「職場の雰囲気」「成長環境」「柔軟な働き方」に関心を持っている。単に仕事内容を羅列するのではなく、企業文化や職場環境を具体的に表現することで、応募率を向上させることができる。
また、採用の現場では「応募から内定までのスピード」が極めて重要である。倍率が高くても、求職者は複数の求人を同時に検討しているため、面接日程の迅速な設定や内定通知の即時対応が採用成功の決め手となる。さらに、採用後の定着率を高めるためには、入社初期のフォローアップ体制を整えることが必要だ。特に小規模企業では、入社後の人間関係や教育体制に課題を抱えがちであるため、メンター制度や定期的な面談を導入することで離職防止につなげることができる。
鳥取県のように人口減少が進行する地域では、採用活動の対象を広げることも有効な戦略である。シニア層や子育て世代、外国人労働者など、多様な層にアプローチすることで労働力の裾野を広げられる。特に60歳以上の再雇用希望者は安定的な労働力として期待できる。また、テレワークの導入によって都市圏在住者を採用し、鳥取県内企業の人材不足を補う事例も増えている。
総じて、令和7年9月の鳥取県の有効求人倍率1.27倍という数値は、全国水準を上回るものの、求人の減少と求職者の減少が同時に進行する「静かな採用環境」を示している。中小企業はこうした環境をチャンスと捉え、自社の魅力を最大限に発信し、スピーディかつ丁寧な採用プロセスを確立することで、優秀な人材を確保できる可能性を高めるべきである。
この記事の要点
- 令和7年9月の鳥取県有効求人倍率は1.27倍で前月と同水準
- 全国平均1.20倍を上回るが求人減少で改善の動きに弱さ
- 新規求人は4,196人で前年同月比8.8%減
- 建設業・公務で増加、卸売・医療・宿泊業などで減少
- 正社員の有効求人倍率は1.10倍で11か月連続の上昇
- 中小企業は採用スピードと求人内容の魅力化が鍵
⇒ 詳しくは鳥取労働局のWEBサイトへ


