2025年11月28日
労務・人事ニュース
令和7年9月 島根県の有効求人倍率1.40倍 高水準維持も改善鈍化
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最終更新: 2025年11月27日 05:33
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島根の雇用情勢(令和7年9月分)(島根労働局)
この記事の概要
令和7年9月、島根労働局が発表した最新の雇用情勢によると、島根県の有効求人倍率(季節調整値)は1.40倍となり、前月の1.39倍を0.01ポイント上回った。求職者1人に対して1.4件の求人がある状況で、全国平均の1.20倍を大きく上回り、引き続き高水準を維持している。一方で、新規求人は減少傾向を見せ、雇用環境の改善には鈍化の兆しが見られる。本稿では、島根県の労働市場データを基に、雇用情勢の実態を分析し、中小企業の採用担当者が有効求人倍率をどう活かして採用戦略を立てるべきかを専門的な観点から考察する。
令和7年9月の島根県における有効求人倍率(季節調整値)は1.40倍で、前月より0.01ポイント上昇した。全国平均の1.20倍と比較すると0.20ポイント高く、依然として高い水準を維持していることがわかる。これは求職者1人に対して1.4件の求人が存在することを意味し、企業の採用意欲が依然として旺盛である一方で、求職者数の減少が継続していることが背景にある。
月間有効求人数(季節調整値)は15,925人で前月比1.8%減少し、月間有効求職者数も11,407人で1.9%減少した。求人・求職の双方が減少する中で倍率が微増していることから、島根県の雇用市場は「供給減少型の高倍率」であるといえる。つまり、企業が求人を継続する一方で、働き手の側が減少しているために倍率が高く見える構造である。
有効求人倍率(原数値)は1.41倍で、前年同月より0.03ポイント減少した。月間有効求人数(原数値)は15,764人で前年同月比5.2%減、有効求職者数は11,166人で同3.7%減となった。新規求人数も5,705人で前年同月比3.9%減と、やや弱含みの傾向が見られる。産業別では「製造業」が前年比21.1%増、「運輸業・郵便業」が25.4%増と伸びを見せた一方、「卸売業・小売業」は11.4%減、「生活関連サービス業・娯楽業」は57.5%減、「医療・福祉」も7.8%減と減少した。観光・娯楽関連の落ち込みは県内外の需要変動や人件費上昇による雇用調整の影響が大きいと考えられる。
地域別に見ると、東部(松江・出雲エリア)の有効求人倍率は1.40倍、中部(大田・川本エリア)は1.19倍、西部(浜田・益田エリア)は1.48倍、隠岐の島では2.11倍と非常に高い水準を示している。離島部での高倍率は労働力人口の減少が顕著であることを示しており、求人充足の難しさが際立っている。特に正社員求人では出雲で1.12倍、浜田で1.42倍、隠岐では1.81倍と地域差が大きく、各地の産業構造や人口動態が雇用需給に大きく影響している。
正社員の有効求人倍率(原数値)は1.29倍で、前年同月から0.01ポイント減少した。正社員の有効求人数は7,995人で全体の求人の50.7%を占めており、安定雇用を志向する求人が引き続き半数以上を維持している。これは企業が長期的な人材確保にシフトしている傾向を示す一方で、求職者側でも安定した就業を求める動きが続いていることを意味している。
就職件数は876件で前年同月比0.1%増加し、わずかに回復した。就職率は38.5%で前年同月比0.4ポイント減となったが、全体として雇用の動きは落ち着いた水準にある。
産業別の求人動向を見ると、製造業の増加は地場産業の回復を反映しており、特に食品加工や電子部品関連での求人が堅調である。運輸・郵便業の増加は物流需要の高まりを背景にしており、インターネット通販や配送量の増加が拍車をかけている。一方で卸売・小売業やサービス業では人手不足により採用活動が難航しており、企業は時給引き上げや短時間勤務制度の導入など柔軟な対応を進めている。
中小企業の採用担当者が注目すべきは、求人倍率1.40倍という高い数字の中に潜む「人材供給の減少」という課題である。求人を出しても応募が集まらないケースが増えており、従来の採用方法では人材確保が難しい状況にある。特に地方においては、若年層の都市部流出や高齢化が労働供給の低下を招いており、採用活動における戦略転換が不可欠である。
採用担当者がまず取り組むべきは、自社の魅力を「数字以外」で伝えることだ。求人票において賃金や勤務条件のほかに、職場の雰囲気、社員の定着率、地域との関わりなどを具体的に記載することで応募者の共感を得やすくなる。また、求職者の関心が高まっている「柔軟な働き方」「ワークライフバランス」「地域貢献活動」などを明示することも有効だ。
さらに、採用スピードの最適化も重要である。求職者は複数の求人を同時に検討しているため、面接や選考までの対応が遅れると他社に人材を奪われる可能性が高い。応募受付から面接設定までを迅速化するほか、オンライン面接を導入して遠方からの応募を取り込みやすくする工夫も求められる。
もう一つの鍵は「定着支援」である。島根県では就職後1年以内の離職率が全国平均より高い傾向にあり、採用後のフォロー体制を整備することが欠かせない。定期的な面談やメンター制度の導入によって社員の不安を軽減し、職場に馴染みやすい環境をつくることが、中長期的な人材確保につながる。
島根県の雇用情勢の特徴は、他県と比較して雇用の「安定性」と「地域偏差」の両方を持つ点にある。松江や出雲などの都市部では比較的求人が安定している一方、隠岐や中山間地域では極端な人手不足が続いている。中小企業はこうした地域特性を踏まえ、通勤支援制度や社宅の提供、リモート勤務など地域に根ざした採用対策を講じることが求められる。
総じて、令和7年9月の島根県の有効求人倍率1.40倍という数値は、企業の採用意欲が高い一方で、労働供給の縮小による構造的な課題を浮き彫りにしている。中小企業の採用担当者は、採用の量を追うのではなく、採用の質とスピード、そして定着率の向上を重視した戦略を構築することが、今後の安定経営の鍵となる。
この記事の要点
- 令和7年9月の島根県有効求人倍率は1.40倍で前月比0.01ポイント上昇
- 全国平均1.20倍を上回り高水準を維持
- 新規求人数は5,705人で前年同月比3.9%減
- 製造業と運輸業で求人増、卸売・サービス業で減少
- 正社員有効求人倍率は1.29倍で全体の約半数を占める
- 採用競争は激化、スピードと職場環境の魅力化が採用成功の鍵
⇒ 詳しくは島根労働局のWEBサイトへ


