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2025年11月28日

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令和7年9月 岡山県の有効求人倍率1.34倍 人材確保に向けた採用戦略とは

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雇用情勢(岡山労働局管内)令和7年9月分(岡山労働局)

この記事の概要

令和7年9月、岡山労働局が発表した最新の労働市場動向によると、岡山県の有効求人倍率(季節調整値)は1.34倍となり、5か月連続で低下した。有効求人数は4万1,206人で前年同月比4.6%減、対して有効求職者数は3万745人で2.1%増と、求人減・求職増の傾向が続いている。こうした状況は、雇用環境における需給バランスの変化を示しており、特に中小企業の採用活動において、これまで以上に戦略的な人材確保の工夫が求められる局面にある。


令和7年9月の岡山県における有効求人倍率は1.34倍と、前月から0.02ポイント低下し、5か月連続の下落を記録した。新規求人倍率も2.32倍と前月比で0.13ポイント低下しており、こちらも2か月ぶりの下落となった。この結果は、県内の企業活動が依然として人手不足の中で推移しながらも、採用の勢いがやや鈍化していることを示唆している。岡山県の雇用動向をみると、新規求人数は1万3,837人で前年同月比5.3%の減少、有効求人数は4万1,206人で4.6%の減少と、いずれも減少傾向が続く。一方で、有効求職者数は3万745人と前年同月比2.1%増加しており、求職者数の増加が有効求人倍率の低下に影響していると考えられる。

産業別の動向を確認すると、建設業や卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉分野など多くの業種で新規求人が減少している。特に建設業では前年同月比6.6%の減少、卸売業・小売業で11.2%の減少、宿泊・飲食サービス業では13.4%の減少と幅広い業種で求人意欲が抑えられている。一方、製造業ではわずかながら1.1%の増加がみられ、地域産業の中では底堅い動きを見せている。こうした傾向は、県内の産業構造の変化を反映しており、依然として建設やサービス業などの労働集約的業種が雇用の中心を占めつつも、製造業の一部では生産活動の回復に伴う人材需要が残っていることを示している。

また、正社員の有効求人倍率は1.21倍で、前年同月から0.04ポイント低下した。これは正規雇用における採用意欲が若干弱まっていることを意味し、中小企業にとっては採用競争の構造がやや緩和されたようにも見えるが、実際には人材獲得の難しさは依然として続いている。特にパートタイムを含む新規求人が前年同月比で5%以上減少している中で、労働力不足の構造的課題が依然として存在している。

岡山労働局の分析によると、求人が求職を上回る状態は続いており、一定の底堅さが見られる一方で、物価上昇や人件費の増加が企業の雇用活動に与える影響には引き続き注意が必要とされている。特に中小企業にとっては、コスト上昇と人材確保の両立が大きな課題であり、単に求人を出すだけでは人材を確保できない状況が続いている。

このような状況下で、中小企業の採用担当者が有効求人倍率をどう活用すべきかを考えると、まず重要なのは倍率の数値そのものを単なる「景気指標」として見るのではなく、「採用戦略を考えるための市場温度計」として捉えることだ。有効求人倍率が1.34倍ということは、求職者1人に対して1.34件の求人が存在するという意味であり、依然として売り手市場の構造が続いていることを示す。つまり、求職者が複数の選択肢を持ち、企業側が人材を取り合う環境であることに変わりはない。

このような状況で中小企業が採用を成功させるためには、まず自社の求人情報をより魅力的に発信する努力が欠かせない。単に給与条件を提示するだけではなく、働き方の柔軟性や職場の雰囲気、地域社会との関わりなど、求職者が共感できる情報を具体的に発信することが重要である。また、求職者の関心がオンライン応募やリモート面接などにシフトしていることから、デジタルを活用した採用手法への適応も急務である。岡山労働局の報告にもあるように、現在の統計にはハローワークインターネットサービス上でのオンライン求職・応募データも含まれている。つまり、求人の掲載だけでなく、オンライン応募対応やデジタルでの魅力発信を強化することが、採用成功の鍵となる。

さらに、有効求人倍率の推移を時系列で分析することも有用である。例えば、岡山県では令和6年度の平均有効求人倍率が1.44倍であったのに対し、令和7年に入ってからは1.40倍台を割り込み、じわじわと低下傾向が続いている。この動きは、労働市場の需給バランスが求職者有利からやや均衡に近づきつつあることを意味しており、採用にあたってはスピードとタイミングがより重要になっている。求人を出すタイミングを誤ると、同業他社との競争に遅れを取る可能性があるため、定期的に労働局の発表をチェックし、市場の変化に迅速に対応することが望ましい。

また、採用活動の地域戦略も見直すべきだ。岡山県内では倉敷中央や津山、玉野など地域ごとに求人倍率に差があり、例えば倉敷中央は1.46倍と比較的高く、津山では1.35倍とやや低い。つまり、同じ県内でも人材需給のバランスは地域ごとに異なり、地域特性に応じた採用施策が必要となる。地方都市では、UIターン人材の受け入れ促進や、地域密着型の採用イベントを開催することで、地元に根付いた人材の獲得が可能となる。

さらに、労働力の質的側面にも目を向ける必要がある。岡山県のデータでは、55歳以上の高年齢求職者が全体の35.5%を占めており、構成比が年々上昇している。これは高齢者の就業意欲が高まっていることを示すものであり、中小企業にとっては貴重な労働力の源泉である。体力的な負担を考慮した職務設計や短時間勤務制度の導入などを進めることで、経験豊富な人材を活用できるチャンスとなる。

一方で、若年層の採用には地域間競争の影響も強く、特に都市圏への人材流出が続いている中で、地方企業は「育成と定着」を重視した採用方針が不可欠である。給与水準だけではなく、キャリア形成の支援や、長期的に働ける職場環境の整備が、若年層の応募動機に直結する。

岡山労働局は、雇用情勢全体として「求人が求職を上回る底堅い動きが見られるが、物価上昇などの影響に留意が必要」と総括している。この「底堅さ」という言葉に示されるように、短期的にはやや調整局面にあるものの、県内企業の採用意欲自体が失われているわけではない。むしろ、中小企業にとっては、景況感の変化を捉えた柔軟な採用戦略を展開する好機といえる。

この記事の要点

  • 令和7年9月の岡山県有効求人倍率は1.34倍で5か月連続低下
  • 新規求人数は1万3,837人で前年同月比5.3%減少
  • 有効求職者数は3万745人で2.1%増加し、求人減・求職増が継続
  • 正社員有効求人倍率は1.21倍で前年同月より0.04ポイント低下
  • 建設・小売・宿泊・医療業で求人減少が顕著、製造業は微増
  • 中小企業はオンライン活用と地域特性を踏まえた採用戦略が鍵
  • 55歳以上の求職者比率35%超、経験人材の活用が重要

⇒ 詳しくは岡山労働局のWEBサイトへ

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