2025年12月5日
労務・人事ニュース
東北経済の現状、2025年10月の調査で浮かぶ有効求人倍率横ばいの実情
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最終更新: 2025年12月4日 10:05
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最終更新: 2025年12月4日 10:06
景気ウォッチャー調査(令和7年10月調査)― 東北(現状)―(内閣府)
この記事の概要
令和7年10月に実施された東北地方の景気ウォッチャー調査では、地域経済が緩やかな回復基調にありながらも、消費活動や雇用環境において依然として不安定な要素が残ることが明らかになった。紅葉シーズンに伴う観光需要の高まりや、家電・医薬品分野での堅調な販売がみられる一方で、物価高騰による生活防衛意識の強まりが消費を抑制している。雇用面では有効求人倍率が横ばいで推移し、求人数は増えているが、企業整備による人員削減や中小企業の採用停滞も確認されている。
東北地方の令和7年10月の経済動向を見ると、地域の産業構造が多様であるがゆえに業種ごとの景況感には明暗が生じている。観光業では紅葉シーズンを迎え、都市型ホテルや観光名所では来客数が増加している。特に外国人観光客の動きが活発で、欧米からのインバウンドも堅調に推移した。都市型ホテルのスタッフからは「アジアに加え欧米客の宿泊予約も増えている」との声が聞かれ、全体として観光消費が地域経済を下支えしている。
一方、地域のスーパーや小売業では、物価高の影響が顕著に表れている。スーパーでは商品価格の上昇により1品単価が前年比104%となったが、来客数や買上点数は伸び悩み、売上の増加幅は限定的である。ドラッグストアやディスカウントストアへの客流出が続き、消費者の節約志向が定着している。多くの店舗では「以前は週3回来店していた客が、いまは週1回しか来なくなった」という声があり、支出を最小限に抑える傾向が広がっている。
衣料品業界では気温の低下により秋冬物の動きが見られ、客単価も上昇しているものの、全体としては前年並みにとどまっている。防寒衣料の需要が回復した反面、秋口の残暑が長引いたことで販売機会を逃す店舗も多く、プラスマイナスゼロの結果となった。家電量販店では、OSサポート終了に伴うパソコンの買い替え需要が前年比160%と好調で、全体売上も前年比108%まで拡大した。ただし、テレビや白物家電の販売は低調で、需要の偏りが課題として浮上している。
また、地域の建設業では人手不足が深刻化しており、「案件があっても対応しきれない」といった現場の声が多い。改修工事や改築工事の受注は一定水準で維持されているものの、受注額に大きな変化はなく、人材確保がボトルネックとなっている。住宅分野では高額注文住宅よりも、低コストの建売や規格住宅の受注が中心であり、住宅ローン金利の上昇が購買意欲を抑えている。住宅展示場では来場者数が減少傾向にあり、慎重な消費マインドが定着していることがうかがえる。
雇用に関しては、全体として有効求人倍率は横ばいの状態が続いている。人材派遣会社によれば、製造業や小売業、農業法人など幅広い分野で採用意欲が強いが、中小企業では求人が停滞している。求人数は3か月前と同水準であり、前年の約95%にとどまる一方、求職者数は前年比10%以上増加している。このことは、求職希望者の増加に対して採用枠が追いついていない現状を示しており、雇用の需給バランスが崩れつつあることを意味する。
職業安定所によると、新規求人数は前年より増加しているが、大企業・中小企業ともに業務効率化や企業整備に伴う人員削減の動きが確認されている。求人情報誌の編集者は、「新規事業に関する求人はほとんどなく、既存業務の人手不足を補うための募集が中心」と指摘する。また、原料価格の上昇を価格転嫁できない製造業では、採算悪化による廃業や生産拠点の集約が進んでおり、雇用の地域偏在が進んでいる。
消費者側では物価上昇が続くなか、購買行動がより慎重になっている。経営コンサルタントによると、消費者は価格と品質のバランスを重視する「選別消費」に移行しており、コストパフォーマンスを重視する傾向が強まっている。飲食業では食料品の値上げが続く一方で、賃金の上昇が追いつかず、来客数の減少が続いている。あるレストラン経営者は「予約数が3か月前より減っており、客単価も落ちている」と述べており、飲食業界全体が消費抑制の影響を受けている。
観光分野ではインバウンドの回復が一定の支えとなっている。紅葉シーズンには海外からの団体客が増え、飲食部門の売上も好調だった。タクシー業界では配車アプリ利用者が増え、長距離利用客も増加している。特にスポーツイベントや行楽シーズンの開催がタクシー需要を押し上げた。ただし、熊の出没など地域特有の要因で夜間の外出を控える動きもあり、地域ごとに差が生じている。
全体として、東北の景気は「緩やかな持ち直し」と「物価高の圧力」が同居している状態にある。求人数は増加しているものの、雇用の安定には至っておらず、企業の採用戦略は引き続き難航している。今後は賃金上昇の波を地域全体に広げ、消費と雇用の循環を回復させることが課題となるだろう。
この記事の要点
- 有効求人倍率は横ばいで推移し改善の兆しは見られない
- 求人数は前年の95%水準で求職者数は前年比10%以上増加
- 大企業・中小企業ともに人員削減の動きが続く
- 物価高による節約志向で小売・外食業の売上が伸び悩む
- 観光需要は堅調だが地域によってばらつきがある
- 製造業や建設業では人手不足が深刻化し採用が停滞
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


