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2025年12月5日

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北陸の求人動向に陰り、2025年10月調査で明らかになった採用停滞

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景気ウォッチャー調査(令和7年10月調査)― 北陸(現状)―(内閣府)

この記事の概要

令和7年10月に実施された北陸地方の景気ウォッチャー調査によると、地域経済は観光需要の回復や一部業種での堅調な売上に支えられながらも、物価上昇と人手不足の影響を強く受け、依然として安定感を欠いている。商店街や百貨店ではインバウンドを中心とした高額消費が見られる一方、日常消費は節約志向が続いている。雇用面では求人が減少に転じ、有効求人倍率も徐々に低下しており、求職者数が増加に転じるなど労働需給の緩みが確認された。


北陸地方の10月の経済動向は、地域の回復傾向と課題が並行して進む状況が続いている。商店街では前年同月比で売上が二桁増加し、国内客に加え安定したインバウンド需要が売上を押し上げた。特に高額品の購入が相次ぎ、単価上昇と来客増加が重なり好調な結果となっている。一方で、価格に敏感な消費者層の購買は鈍化しており、物価上昇に伴う生活防衛の姿勢が明確に表れている。

スーパーでは安価な商品の販売が増え、買上点数が上昇しているが、全体の売上は横ばいである。消費者は価格を意識した購買を行っており、割安品や特売商品を選ぶ傾向が強まっている。衣料品では季節の移り変わりとともに秋冬物が好調で、特に婦人アパレルを中心に客足が戻りつつある。百貨店では食品物産催事が過去最高売上を記録し、高級時計や宝飾品も堅調に推移したものの、衣料品分野は気候要因や人口減少の影響で低迷が続いている。

一方、コンビニエンスストアでは来客数の減少が続いており、特に「コスパが悪い」というイメージが広がっている。店舗では来客増加を目指す施策が取られているが、原材料費や最低賃金の上昇が経営を圧迫している。外食業界では物価高の中でも客数を維持しており、特に週末の観光客による利用が増えている。賃上げの影響もあり、客の余裕資金が増えている可能性が指摘されている。

観光関連では秋の行楽シーズンを迎え、県外客や外国人客が増加した。テーマパークや旅館では予約件数が上向きに推移しており、地域イベントや紅葉観光が人流を後押しした。しかし、大阪・関西万博の終了後は団体客が減少するなど、反動減も一部で見られる。観光型旅館の中には、令和6年1月に発生した能登半島地震による被災の影響で休業状態が続く施設もあり、地域経済への影響は依然として残っている。

自動車販売業では新車販売が横ばいで、中古車の需要が増加している。高額品への消費は依然として慎重であり、販売店からは「新車の受注が厳しい」との声が聞かれる。住宅販売業では、建築費や土地価格の上昇が顧客の購買意欲を抑えており、契約件数は低水準で推移している。住宅購入に際しては借入額が4,000万〜5,000万円と高額化しており、消費者の購入判断が慎重になっている。

製造業では、電気機械や化学関連分野で横ばい推移となった。車載製品関連では量産化の遅れが目立ち、新規案件が後倒しになっている。一方、建設業では受注量こそ減少したものの、利益率の高い案件を受注する企業が増えており、堅調な推移を見せている。金融機関では企業の受注増加が確認される一方で、原材料費や人件費上昇により利益率の悪化が進んでおり、企業経営の厳しさがにじむ。

雇用環境を見ると、職業安定所の報告では「求職者数、紹介件数、就職者数に大きな変化はないものの、有効求人倍率が徐々に低下している」との指摘がある。求人は横ばいながらも業種によっては新規取引件数が減少しており、特に人材派遣業界では前年を下回る動きとなった。求職者数は増加傾向にあり、高齢者の求職活動が目立つ。最低賃金の引上げと物価高が中小企業の経営を圧迫しており、採用を控える企業も増えている。

また、税理士や司法書士への相談件数が増えており、会社解散や事業承継に関する手続が相次いでいる。人件費や光熱費の上昇が経営負担となり、廃業を検討する中小事業者も見られる。これにより地域の雇用機会が減少しつつあり、労働市場の縮小リスクが懸念されている。

全体として北陸の経済は、観光需要と賃上げ効果が下支えとなる一方、物価高と人手不足が景気の回復を鈍化させている。特に求人の減少と有効求人倍率の低下は、地域経済の安定に向けた今後の大きな課題となる。

この記事の要点

  • 北陸の有効求人倍率は徐々に低下傾向を示す
  • 求職者数は増加に転じ特に高齢者層が目立つ
  • 人材派遣業では新規取引件数が前年を下回る
  • 観光業は秋の行楽需要で好調も万博後に反動減
  • 物価高と最低賃金上昇が中小企業経営を圧迫
  • 住宅・自動車販売は価格上昇で購買意欲が低下

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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