2025年12月6日
労務・人事ニュース
2025年10月先行き 甲信越、求人増加も実質賃金低下で消費伸び悩む
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最終更新: 2025年12月6日 01:01
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景気ウォッチャー調査(令和7年10月調査)― 甲信越(先行き)―(内閣府)
この記事の概要
令和7年10月に実施された甲信越地方の景気ウォッチャー調査によると、新政権の発足と積極的な財政政策への期待が広がる中で、観光や小売業を中心に消費回復の兆しが見られた。一方で、物価高や最低賃金の引き上げによるコスト増が企業経営の重荷となっており、家計消費の本格回復には時間がかかる見通しである。雇用情勢では、有効求人数が前年同月比6.5%増加し、18か月ぶりに前年を上回ったものの、企業の採用マインドは依然として慎重で、業種による求人の格差が広がっている。
令和7年10月の甲信越地方では、秋冬商戦を迎え、観光関連や外食産業を中心に人の動きが活発化している。都市型ホテルでは年末年始の予約が前年を上回り、特に11月の客室予約率は昨年比で約15%増加する見込みとなった。株高や新政権による景気刺激策への期待が高まり、観光地や宿泊業界では「このままの勢いが続けば年末商戦は好調に推移する」との声が多い。スナックやレストランでも団体客の予約が戻りつつあり、消費者の行動範囲拡大が追い風となっている。
一方、物価高の影響は依然として家計を圧迫している。スーパーやコンビニでは米価の高止まりや光熱費の上昇が続き、価格転嫁が避けられない状況にある。スーパーでは弁当などの日常商品も値上げが進んでおり、税抜430円の商品が容器や原材料費の上昇により改定されるケースが増えている。来店客数は減少しているが、値上げにより客単価は上昇し、売上自体は横ばいで推移している。しかし、家計の実質的な購買力は低下しており、「まとめ買いをするが全体の支出は抑えている」といった消費者の声が多く聞かれる。
家電量販店では、省エネ基準強化に伴う製品入れ替えが進み、エアコンやLED照明などの販売に一時的な需要が見られる。特に2027年の蛍光管製造終了を控え、照明器具の買い替え需要が高まっており、業界では「久しぶりに明るい兆し」との見方が出ている。乗用車販売も新型車の投入や展示会の開催効果により堅調に推移しており、前年をわずかに上回る販売実績を記録している。一方で、高級レストランやカフェでは物価高の影響が続き、来店客数の減少が続くなど、業種間で明暗が分かれている。
製造業の動向を見ると、半導体関連や金属製品分野で回復傾向が見られ、半導体の需給改善を背景に一部企業では受注が増加している。電気機械器具製造業でも年末商戦に向けた出荷が好調に推移しており、企業の間では「季節要因もあり、売上は上向く」との見通しが示されている。ただし、円安の進行により調達コストが上昇しており、採算を維持するための努力が求められている。
一方で、食料品製造業や窯業・土石業では厳しい環境が続いている。食料品業界では原材料価格が高止まり、前年からの在庫を抱える企業も多く、「需要が戻らないまま在庫が積み上がっている」との声が多い。土石関連では公共工事の発注が伸び悩み、特注案件も減少しており、「受注の見通しが立たない」と経営者が危機感を示している。また、出版・印刷業では資金繰りが悪化し、毎月の支払いに苦慮する企業も出ており、業界全体の再編圧力が強まっている。
企業経営者の間では、新政権による景気対策への期待感が広がっているが、実体経済の改善にはまだ距離がある。金融機関の調査によれば、製造業では米国の関税政策への不透明感が薄れたことで若干の改善が見られる一方、非製造業では人件費とコスト増によって悪化傾向が続いているとされる。人手不足が深刻化しており、タクシー業界では「乗務員が1人増えたが、まだ人手は足りない」との声が聞かれるなど、採用難が顕著になっている。
雇用関連の動きでは、有効求人数が前年同月比6.5%増となり、18か月ぶりに増加に転じたことが注目される。特に製造業やサービス業で求人が増加しており、年末に向けた採用活動が活発化している。一方で、職業安定所では「求人の動きに大きな変化はなく、企業マインドの改善は見通せない」と慎重な見方もある。最低賃金の引上げや物価高が企業の経営を圧迫しており、採用意欲の持続性が課題となっている。また、民間職業紹介機関では「原材料高で製造業が苦戦し、採用を一時停止する企業もある」と報告されており、雇用の拡大が景気回復に直結していない現状が浮き彫りとなっている。
総じて甲信越地方の経済は、新政権への期待や株高による心理的な明るさが広がりつつも、実質的な所得改善や雇用安定には至っていない。求人は増加傾向にありながらも、採用活動の慎重姿勢が続いており、企業の収益基盤と家計の購買力の回復が今後の焦点となっている。
この記事の要点
- 新政権の景気対策と株高が地域経済に一定の明るさをもたらす
- 観光・宿泊業で年末予約が前年比15%増と好調
- スーパーでは値上げが進み実質購買力は低下傾向
- 半導体関連を中心に製造業の一部で受注が増加
- 有効求人数は前年同月比6.5%増で18か月ぶりの改善
- 最低賃金引上げや物価高が採用意欲の持続を妨げる
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ


