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2025年12月9日

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制度開始から16年で進化した産科医療補償制度

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お産の「もしも」を支える「産科医療補償制度」(政府広報オンライン)

この記事の概要

お産の現場では予期せぬ事態が起こり、重度脳性まひが生じるケースがあります。この負担を支えるために2009年から産科医療補償制度が導入され、対象となる赤ちゃんと家族に総額3,000万円の補償が行われます。制度は数回改定されており、基準や掛金も変更されています。申請期限は満5歳の誕生日までで、出生年によって期限が異なるため注意が必要です。


お産は家族にとって大きな節目ですが、どれほど丁寧に管理が行われていても予測できない状況が起こる可能性があります。その結果として赤ちゃんに重度の脳性まひが生じ、家族の生活に大きな負担がのしかかることがあります。こうした「もしも」に備えて2009年に産科医療補償制度が始まり、経済的負担を軽減するとともに、原因分析と再発防止にもつなげる取り組みが続けられています。この制度は該当する分娩機関が加入することで利用でき、妊婦自身が加入手続きを行う必要はありません。ただし、対象となる条件や補償の範囲は制度開始から複数回見直されており、利用には最新情報の理解が欠かせません。

制度の仕組みとしては、加入している分娩機関が掛金を負担するため、妊婦が費用を支払う必要はありません。掛金は出生年によって異なり、2015年から2021年に生まれた赤ちゃんは1分娩あたり16,000円、2022年以降は12,000円に変更されました。分娩機関の加入は任意ですが、2025年時点で加入率は100%となっています。制度開始から6年が経過した時点での2015年改定では、補償対象の基準が緩和され、出生体重の基準が2,000g以上から1,400g以上へ、在胎週数も33週以上から32週以上へ変わりました。さらに2022年改定では低酸素状況に関する個別審査が廃止され、在胎週数28週以上での出生であれば対象となるなど、より幅広い赤ちゃんが補償の対象となるように見直されました。

補償を受けられるのは、定められた基準を満たしていると認定された場合で、2009年以降に制度に加入する分娩機関で誕生し、生後6か月以上生存している必要があります。2015年から2021年に生まれた赤ちゃんの場合は1,400g以上の出生体重かつ妊娠32週以上で生まれたこと、または妊娠28週以上で低酸素要件を満たして誕生していることが求められます。2022年以降は妊娠28週以上での出生であれば出生体重に関わらず対象となり、いずれの場合も先天性や新生児期の要因によらない重度脳性まひであることが条件となります。補償額は総額3,000万円で、一時金600万円と、20年間にわたり毎年120万円が分割金として支払われます。

実際に補償を受けるには、妊娠22週頃に交付される登録証を保管し、専門的知識を持つ医師が作成する診断書を取得した上で、必要書類をまとめて分娩機関へ提出します。審査には数か月がかかるため、申請は余裕を持って進めることが推奨されています。申請できる期間は満1歳から満5歳までで、2022年に生まれた赤ちゃんは2027年の誕生日が期限となります。期限を過ぎると申請ができなくなってしまうため、該当する可能性がある場合は早めの準備が不可欠です。

制度の利用者に対する調査では、9割が制度の存在を「よかった」と回答しており、看護や介護の費用負担が軽減されたことや、医療の向上につながる点が高く評価されています。この制度は赤ちゃんと家族の生活を支えると同時に、医療現場の改善にも関わる重要な仕組みであり、社会全体の安全性を高める役割を担っています。制度を正しく理解し、必要な場合に確実に利用できるよう、広く周知が進むことが期待されています。

この記事の要点

  • 制度は2009年に開始し重度脳性まひの赤ちゃんを補償
  • 補償額は総額3,000万円で一時金と分割金で構成
  • 対象基準は2015年と2022年に見直されている
  • 申請期限は満1歳から満5歳の誕生日まで
  • 利用者の調査では9割が制度を肯定的に評価

⇒ 詳しくは政府広報オンラインのWEBサイトへ

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