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2025年12月9日

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2025年11月 九州 新規求人数が2か月連続前年超、ただし有効求人倍率の改善幅は限定的

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景気ウォッチャー調査(令和7年11月調査)― 九州(先行き)―(内閣府)

この記事の概要

九州の11月先行きでは、年末商戦や観光需要に対する期待が高まり、販売量の増加を見込む声が多くみられた一方、物価高や中国との関係悪化によるインバウンド減少リスクが個人消費に影を落としている。自動車、百貨店、コンビニ、住宅関連では買い控えの継続が指摘され、冬場の需要減少を懸念する業種も多い。雇用では求人数が2か月連続で前年を小幅に上回る一方、人手不足が続き最低賃金の上昇が採用抑制要因となる可能性が示され、有効求人倍率の改善には力強さを欠くとの見方が強まった。


九州では、年末に向けた季節需要の高まりを背景に商店街関係者から明るい声が聞かれ、例年より人の移動が増えることで年末商材の売れ行きが良くなるという期待が寄せられている。しかしその一方で、株価は堅調でも地域の小規模小売店では物販の売上が伸びにくく、インバウンド消費が飲食業に偏っているとの指摘が目立った。高齢者比率が高い商店街では、物価高への警戒感から購買が落ち込み、再開発による店舗配置の変化もあり、売上の先行きを楽観視できないとの声が複数あがった。

青果店では、冬に向けてポンカンやデコポンといった県産柑橘の品質が良く、贈答需要の高まりが期待され、気候が急変しなければ安定供給が続くと見込まれた。精肉店では価格改定の影響が限定的であるとみられるものの、生活費の上昇が家計を圧迫しているため、中長期的な需要の伸びには不透明感がある。百貨店では催事場の再設計による新規顧客獲得が期待され、し好性の高いブランド品の堅調な動きが続いている。ポイント還元や友の会制度などによる実質負担軽減効果もあり、年末商戦は活性化するとの見方が広がった。

スーパー各社は、新政権の物価高対策による家計支援が購買意欲の改善につながることを期待し、販売量の持ち直し傾向が顕著になりつつある。気温低下による鍋商材の売上増加は毎年の傾向であるが、今年は高価格帯商品の動きも回復しており、年末にかけてさらに売上が伸びるとみられる。ただし、1月以降は反動減が懸念され、経理担当者からは「先行きは不透明である」との慎重な意見も寄せられた。

コンビニでは、財政政策への期待はあるものの、食品値上がりが続くことで客の節約姿勢が強まり、イベント消費が終われば来店数が元の水準に戻ると予想されている。ブラックフライデーで一時的に売上が改善した店舗もあったが、持続性には疑問が残り、冬場の気候次第で動きが左右される見込みだ。パンや日用品の価格上昇は限界に達しており、今後の値上げ局面ではさらなる客離れが懸念される。

自動車販売では、一部停止していた車種の生産再開と新型車発売が追い風となり、年末年始の来店数増加が予想されている。しかし、電気自動車を中心とした受注体制の偏りや半導体不足の遅れが解消されず、納期が予定どおり進まない恐れもあり、販売現場では「改善材料が見当たらない」との声も多かった。買い替え時期が先送りされている家庭も多く、価格上昇と生活費増加が購買意欲を抑えている実態がある。

宿泊業では、観光型ホテルの予約数が安定し、補助金効果に期待する声もあったが、中国との政治情勢の悪化がインバウンド需要に影響しつつあり、年始に向けて慎重姿勢が強まっている。都市型ホテルは11月が繁忙期であり、ここからの上積みは難しいとされるが、春節の到来で再びインバウンドが活発化する可能性も指摘された。観光名所では忘年会や正月行事による来客増が期待されるが、旧正月期の中国客動向には不安が残る。

飲食業では、外食費の節約傾向が続き、スナックやレストランでは客数が前年に届かない店舗も多い。インバウンドで穴埋めしてきた地方都市でも、中国の訪日抑制が強まると影響が大きく、週末を除けば予約は伸び悩んでいる。食材価格の上昇は重荷となり、年明けからの採算確保に課題が残る。

製造業では、化学工業で損益回復が続き、建設需要増で金属製品製造業が堅調とみられる一方、機械関連では輸出環境の不安定さから引き合いが停滞し、新規案件の減少を懸念する声が強まった。繊維工業では、最低賃金引上げにもかかわらず工賃値上げがまったく通らず、数量減少が続けば経営悪化が避けられないとの深刻な見方が示された。

物流業では、12月は繁忙期だが、燃料価格の地域差や日中関係の影響が不透明であり、外食や観光需要が鈍れば配送量減少の可能性もある。金融業では、自治体発注が減り先行きが不透明だとされ、広告業でも新聞部数の減少が続き収益悪化が懸念されている。

雇用環境では、人材派遣業が年度末に向け発注増の時期を迎え、求職者は賃金テーブル改定により問い合わせが増えるとの期待がある。一方で、最低賃金上昇が企業の人件費負担となり、派遣料金の値上げ交渉が難航する見通しで、採用抑制につながるリスクが示された。職業安定所では、新規求人数が2か月連続で前年を上回り、求職者数も増加していると報告されたが、人手不足感は強く、有効求人倍率の大幅改善は見込めないとみられる。

大学就職支援担当者からは、米中摩擦や国内政治の不透明性が強まるなか、実質賃金の改善が進まず就職環境も手放しで良くなるとは言い難いとの指摘があった。企業の採用意欲は維持されているものの、中小企業では大手との人材獲得競争が激化し、若手採用はさらに厳しくなる可能性がある。

九州全体としては、年末の季節需要と観光動向に支えられ短期的には緩やかな改善が見込まれるが、物価高、外交問題、賃金上昇の遅れといった複合的な要因が企業活動と消費行動を抑制し、長期的には慎重な姿勢が続くと考えられる。

この記事の要点

  • 年末需要で商店街やスーパーに明るさが出る一方で消費の回復力は弱い
  • インバウンドは地域差が大きく中国客減少が観光と外食に影響
  • 自動車販売は新型車効果に期待も納期遅延と買い控えが続く
  • 百貨店は催事改革で集客増を見込むが物価高で中間層消費は伸びず
  • 製造業は建設需要で一部堅調も繊維や機械は不透明感が強い
  • 最低賃金上昇が中小企業の採用負担を増やし求人減のリスク
  • 新規求人数は前年超えだが人手不足が続き有効求人倍率改善は小幅

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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