2025年12月15日
労務・人事ニュース
年収約106万円と130万円の基準が働き方に与える影響を整理した制度見直し
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最終更新: 2025年12月14日 09:35
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「年収の壁」への対応(厚労省)
この記事の概要
人手不足が続く中、短時間労働者が年収による制限を気にせず働ける環境を整えるため、「年収の壁」への対応が進められている。年収約106万円や130万円を基準として発生する社会保険料の仕組みが働き方に影響を与えている現状を踏まえ、制度改正や支援策が示されている。また、2025年の年金制度改正により、賃金要件と企業規模要件が今後段階的に撤廃される予定で、働く人が自身に合った働き方を考えるための解説資料も作成された。
短時間労働者の就業をめぐっては、年収の上限を意識して働くかどうかを調整する、いわゆる「年収の壁」が長らく課題とされてきた。この壁は、一定収入を超えると社会保険料の負担が発生するため、その分手取り収入が減少することを回避しようとする心理が背景にある。特に年収約106万円や130万円といった基準が社会保険制度上の分岐点となっているため、仕事量を増やしたくても増やせないという状況につながるケースが存在している。こうした課題を踏まえ、働く人が年収基準を過度に意識しなくても済むよう、支援策や制度見直しが進められている。
現在の制度では、会社員の配偶者など一定の収入がない人は社会保険上の被扶養者として扱われ、保険料の負担は生じない。しかし収入が増加して基準を超えると、扶養から外れて自身で保険料を負担する必要が生じるため、手取り額の減少が避けられない。この基準がいわゆる「年収の壁」と呼ばれ、特に約106万円と130万円のラインが広く知られている。短時間労働者が働く時間を調整する背景には、このような仕組みが影響している。
社会保険加入に関する具体的な判断としては、従業員数が一定規模を超える企業で働く場合、週20時間以上勤務し、所定内賃金が月額8.8万円以上となると厚生年金保険などへの加入が必要になる。この月額8.8万円は年収換算で約106万円に相当し、短時間労働者にとって重要な基準となっている。また従業員数50人超の企業が対象とされてきたが、この企業規模要件も制度の見直しにより大きく変化することになっている。
2025年の年金制度改正法では、所定内賃金が月額8.8万円以上とする賃金要件が、最低賃金の状況を踏まえて2025年6月から3年以内に撤廃されることが示された。これにより、働く時間や収入に応じて生じていた社会保険加入の線引きが変わり、年収基準による調整の必要性が徐々に減っていくことが想定されている。同時に、従業員50人超という企業規模要件も段階的に縮小および撤廃されるため、中小規模の事業場でも同様の基準が適用される可能性が広がり、働き方の選択肢にも影響を与えると考えられる。
こうした制度の変化は、人手不足が深刻化する現在の労働環境において、労働参加を促す重要な施策となる。働き手が年収基準を理由に働く時間を抑える状況が改善されれば、人材の確保や業務体制の安定にも寄与すると期待されている。特に企業にとっては、短時間労働者の就業調整によるシフトの組み直しや人員確保の負担が軽減され、より柔軟な働き方を支援できる環境づくりに役立つ可能性がある。
また、現在扶養内で働く人たちが制度を理解し、自分にとって最も適した働き方を考える材料として、解説資料「年収の壁について知ろう あなたにベストな働き方とは?」が作成された。この資料は、扶養の仕組みや年収基準を超えることで発生する変化、働き方の選択肢などをわかりやすく整理しており、働く人が自身の状況と希望に合わせて判断する手助けとなることを目的としている。実際に、制度は数値や条件が複雑になりがちであり、充分な理解がなければ就業調整が過度に行われてしまうこともあるため、情報提供の充実は重要な施策の一つといえる。
今回の制度見直しや支援策は、短時間労働者が収入の基準を気にせず働ける社会を目指す取り組みとして位置づけられる。特に年収約106万円と130万円という具体的な基準は長年働き方に影響を与えてきたが、その枠組みが見直されることで、より自由度の高い働き方が可能になると期待されている。これらの動きは、労働市場の活性化や働き手のキャリア形成にもつながるものであり、今後の制度改革の進展が注目される。
この記事の要点
- 年収約106万円や130万円が就業調整の基準として影響してきた
- 社会保険料の負担発生が働き方に影響している
- 月額8.8万円の賃金要件は2025年6月から3年以内に撤廃予定
- 従業員50人超の企業規模要件も段階的に縮小・撤廃される
- 年収の壁に関する解説資料が作成され働き方見直しを支援
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


