2025年12月20日
労務・人事ニュース
赤字割合が4年連続最多、2025年調査が示す日系企業のロシア事業の苦境
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ジェトロ 2025年度 海外進出日系企業実態調査(ロシア編) ―情勢改善の兆し見えず、中国企業の存在感拡大に警戒―(JETRO)
この記事の概要
2025年9月にロシアへ進出している日系企業78社を対象に実施された調査では、回答企業50社のうち半数が2025年の営業利益を赤字と見込んでおり、情勢改善の兆しが依然として見えない状況が明らかになった。競争環境では中国企業の存在感が大きく拡大し、西側諸国による制裁の影響を98.0%の企業が感じていることも示された。
2025年11月25日に公表されたロシア進出日系企業を対象とした調査結果では、近年続く厳しい国際情勢が企業活動に深刻な影響を与え続けていることが浮き彫りとなった。調査は2025年9月に実施され、日本側出資比率10%以上の現地法人78社のうち50社から有効回答を得ており、有効回答率は64.1%となった。回答企業の状況を詳細に分析することで、現地の経済環境や事業継続に向けた課題が明確に整理されている。
まず営業利益の見通しに関して、2025年の利益を赤字と回答した企業は50.0%となり、前年から2.5ポイント増加した。赤字割合が最大を占める状況は4年連続で続いており、「制裁や規制の影響で輸入販売ができない」「事業停止状態」といった深刻な事業環境が背景にある。一方で黒字を見込む企業は24.0%と6.5ポイント減少し、調査開始以来過去最低という厳しい数値が示された。営業利益の変化を問う設問では「横ばい」が54.0%で最も多く、前年から9.2ポイント増加している。経営悪化を見込む企業は36.0%で、主要理由として「現地需要の減少」が44.4%、「原材料・部品調達コストの上昇」が33.3%と具体的な課題が挙がっている。
2026年の営業利益見通しでも、「悪化」が26.0%と前年から15.4ポイント減少し、情勢悪化のピークがやや落ち着きを見せる一方、「改善」は12.0%にとどまり、回復の兆しは限定的となった。事業展開の方向性に関して、今後1〜2年の動きとして「現状維持」を選んだ企業は76.0%と大幅に増加し、前年から17.4ポイントの上昇となった。一方、「縮小」や「撤退・第三国への移転」など事業規模の縮小に関連する回答の合計は18.0%に留まり、前年の37.9%からほぼ半減した。
現在の事業状況について尋ねた項目では、51.0%の企業が「撤退の予定はないが情勢を見守っている」と回答し、前年から9.0ポイント増えた。また「情勢が悪化しても残留を希望」は24.5%で前年より9.5ポイント減少し、ロシア市場への意欲が揺らいでいる様子がうかがえる。「撤退を検討しているが制約があり残留せざるを得ない」という企業は16.3%で、規制が事業判断に大きな影響を及ぼしている。
競争環境については、最大の競合として地場企業が40.8%で最も多く、次いで中国企業が38.8%となった。2019年度では中国企業は4.9%に過ぎなかったため、存在感が急速に拡大している。中国企業の強みとして「コスト競争力」が78.9%、「意思決定の早さ」が47.4%と指摘され、地場企業に対しても「コスト競争力」「規制対応の差」が多く挙がった。日本企業は10.2%、欧州企業は4.1%にとどまり、競争構造が大きく変化していることがわかる。
また、西側諸国の制裁やロシア側の対抗措置による影響を98.0%の企業が感じており、事業継続に深い影響を及ぼしている。日本本社によるロシア事業への優先度低下を63.3%が挙げ、売上減少は53.1%に達した。製品の輸入や販売が制約される中で、中国製品の品質向上や並行輸入品・模造品との競争まで発生しており、複数のリスクが企業活動を圧迫している。
この記事の要点
- 2025年の営業利益を赤字と見込む企業が50.0%で4年連続最大
- 黒字見込みは24.0%で調査開始以来最低値
- 今後1〜2年の事業方針は76.0%が現状維持を選択
- 競争相手として中国企業が38.8%に増加し存在感が急拡大
- 制裁や対抗措置の影響を98.0%の企業が実感
⇒ 詳しくは独立行政法人日本貿易振興機構のWEBサイトへ


