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2025年12月24日

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令和6年 北海道で48件の送検発生、安全衛生法違反29件を含む

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令和6年の北海道労働局管内における送検状況(北海道労働局)

この記事の概要

北海道内で2024年に発生した労働関係法令違反の司法事件について、1年間で48件が送検され、その内訳は労働安全衛生法違反が29件、最低賃金法違反が6件、労働基準法違反が13件となりました。建設業が15件と最も多く、危険防止措置の不足や賃金不払など基本的な法令違反が目立っています。現場では墜落や接触事故につながる管理不備も複数確認され、重大災害の防止に向けた対策の必要性が浮き彫りになりました。


令和6年に北海道で行われた労働関係法令違反の送検状況が取りまとめられ、1年間で48件の司法事件が検察庁へ送致されたことが明らかになった。前年と比較すると4件増加しており、依然として重大な労務管理上の問題が各業種で続いている実態が示されている。この48件の内訳を見ると、労働安全衛生法違反が29件と最も多く、次いで労働基準法違反が13件、最低賃金法違反が6件となっている。特に安全衛生分野における違反件数の高さは、現場における危険防止措置の不備が根強く残っていることを示すものであり、労働災害を未然に防ぐための体制構築が急務であることがうかがえる。

業種別の状況を見ると、建設業が15件と全体の31.3%を占め最も多く、次いで運輸交通業が7件、商業が5件、接客娯楽業が4件と続き、製造業では2件が確認されている。建設業で多くの送検が発生している背景には、高所作業や重機作業など危険度の高い作業が多いことに加え、墜落防止措置の不徹底や機械設備の安全管理不足など、基本的な対策が十分に講じられていないケースが依然として残っていることが影響していると考えられる。実際、危険防止措置に関する違反は17件にのぼり、墜落や接触事故につながる恐れのある状況が複数確認されている。

送検された事例の中には、車両系荷役運搬機械との接触による死亡災害が発生したケースが含まれており、現場で貨物自動車の誘導者を配置していなかったことが重大な事故につながっている。また、高さ3.6メートルの位置で作業していた労働者が、要求性能を満たした墜落制止用器具を装着しないまま作業を行っていたことで開口部から墜落し死亡した事例も報告されている。本来、高さ2メートル以上の場所での作業には手すりや囲いなどの墜落防止措置が求められているが、このような基本的な安全対策が欠落していたことが深刻な結果を招いた。

さらに、労働者が工事現場で負傷し4日以上休業を要する事態となったにもかかわらず、労働者死傷病報告が提出されていない、いわゆる労災かくしの事例も5件確認されている。報告義務を怠ることは、企業の信頼性を大きく損なうだけでなく、災害発生の実態を把握する上で重大な支障を来すため、早急な改善が求められる部分である。

最低賃金法違反に関しては6件が送検されており、最低賃金額以上の賃金が支払われていない事例が中心となっている。特に、接客娯楽業の事業場において7名の労働者に対する賃金が所定の支払日に最低賃金を下回る金額で支払われた事例が含まれており、一部では経営不振が背景にあるとされるが、最低限の法令遵守すら守られていない状況は看過できない問題である。

労働基準法違反については13件が送検され、そのうち賃金不払が4件、労働時間違反が4件となっている。また、深夜労働や時間外労働に関する割増賃金が適切に支払われていない事例も2件確認されている。さらに、賃金台帳の不備に該当するケースが1件あり、記録管理の基本が十分に行われていない事業場も存在している。労働時間管理や給与支払いは労務管理の根幹であり、この部分の違反が続いている点は、働く環境の整備が依然として不十分であることを示す重要な指標となる。

送検状況の推移を見ると、労働安全衛生法違反は過去5年間で28件から36件の間を推移し、令和6年は29件と一定の水準にとどまっている。一方、最低賃金法違反は前年の8件から6件へと減少しているが、依然として賃金不払が複数確認されていることから、賃金水準および給与支払いに関連する管理体制の再確認が求められる状況が続いている。

今回の結果を踏まえると、労働者の安全確保や適正な労働条件の維持といった基本的な事項が未だ十分に確保されていない職場が存在し、それが労働災害の発生や法令違反につながっていると考えられる。重大あるいは悪質な違反に対しては、今後も厳正な対処が進められる方針が示されており、事業場側が法令遵守を徹底することが強く求められている。安全対策や労務管理の適正化は、労働者の命と健康を守るためだけでなく、安定した事業運営にも直結する重要な取り組みであり、今後は各事業場における自主的な改善の進展が期待される。

この記事の要点

  • 令和6年に48件の司法事件が送検された
  • 労働安全衛生法違反が29件で最多だった
  • 建設業の送検件数が15件と最も多かった
  • 最低賃金法違反は6件で賃金不払が中心だった
  • 労働基準法違反は13件で労働時間と賃金不払が多かった
  • 重大災害につながる危険防止措置の不足が複数確認された

⇒ 詳しくは北海道労働局のWEBサイトへ

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