2025年12月24日
労務・人事ニュース
宮城県の令和7年10月有効求人倍率が1.10倍に低下、採用市場変化を踏まえた中小企業の動きとは
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最終更新: 2025年12月24日 00:35
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最終更新: 2025年12月24日 02:19
宮城県の一般職業紹介状況(令和7年10月分)について(宮城労働局)
この記事の概要
県内の最新の雇用動向として、令和7年10月の有効求人倍率は1.10倍となり、前月より0.03ポイント低下した。有効求人数は40,055人で2.3%減、有効求職者数は36,404人で0.2%増と示され、求人の減少と求職の増加が同時に進んでいる。新規求人倍率は1.86倍で前月より低下し、物価上昇などの影響を踏まえた雇用の慎重な分析が必要とされている。
県内の雇用情勢が示された令和7年10月分の一般職業紹介状況では、労働市場の変化がより明確に表れた。一連のデータからは、求人が求職者数を上回っている構造自体は維持されているものの、直近数か月の推移を見ても緩やかな減少傾向が続いていることがわかる。特に、有効求人倍率が1.10倍で前月を下回ったことは、雇用側が慎重姿勢を強めている兆しを読み取れる動きであり、企業と求職者双方にとって市場の変化が進んでいることを示している。
有効求人数は40,055人で、前月から2.3%減少した。これは5か月連続の減少であり、求人側の動向が一方向に向かっている点は注目すべきである。一方、有効求職者数は36,404人で前月より0.2%増加し、2か月ぶりの増加となった。求人数の減少と求職者数の増加が同時に起きていることから、求人と求職のバランスが以前よりも均衡を意識した状態に近づきつつあることが理解できる。
新規求人の動きをみると、10月の新規求人数は13,867人で前月比1.9%減となり、4か月連続の減少となった。一方、新規求職申込件数は7,455件で前月比0.1%増に転じ、求職活動が再び動き始めたことがうかがえる。この双方の変化は、企業側の採用意欲がやや抑制される中で、求職側は安定した就業機会を求める動きが強まっている可能性を示している。
前年同月との比較に目を向けると、新規求人数は15,333人で前年同月比9.6%減となり、長期的な減少トレンドが継続している。産業別にみると「学術研究、専門・技術サービス業」が230人増と40.3%増となる一方、「サービス業」が645人減の18.3%減、「医療・福祉」が365人減の8.6%減など、業種により動向が大きく分かれる結果となった。全体の雇用動向は下向きでも、分野によっては求人を増やす動きがあることは、中小企業にとって採用戦略を見直すうえで重要な材料になる。
正社員の有効求人倍率に関するデータを見ると、令和7年10月時点で0.97倍となり、前年度の1.02倍から低下した。企業が正社員採用に対して慎重な姿勢を取っていることが示唆され、新規求人全体のうち正社員求人の割合は51.1%と、前年の50.5%から微増したものの、大きく変化しているわけではない。つまり、求人の総量が減少する中で、正社員採用枠は一定の割合で維持されているものの、求職者側が増えているため倍率が下がっているという構図が浮かび上がる。
職業別の常用有効求人倍率では、職種によって求人の有無がはっきりと分かれている。専門的・技術的職業は2.07倍と高い水準を保っており、依然として高い技能を持つ人材への需要が続いている。一方で、事務系職種は0.33倍であり、求職者数に対して求人が著しく少ない状況が続いている。この対比は、企業が求める人材像の変化を示すものであり、今後の採用計画に影響を与える要素になる。
中小企業の採用担当者がこうした数字をどのように活用すべきかを考えると、まず労働市場がこれまでより求職者優位から均衡状態へ、さらに一部では企業優位へと移行しつつあることを理解する必要がある。有効求人倍率が下降傾向にあるということは、求職者数に対して求人が減少していることを示しているため、以前より応募が集まりやすい環境が生まれ得る。ただし、それはすべての業種で同様というわけではなく、職種別の倍率を細かく確認し、自社の採用したい人材が属する職種の市場状況を正確に理解することが欠かせない。
特に、事務職など倍率が低い職種では応募が増えやすいため、採用側にとっては選考基準を明確にし、求める人材像を具体的に言語化することが重要になる。逆に、依然として倍率の高い技術系職種では、人材獲得競争が続くため、求人内容の見直しや給与水準の調整、働き方の柔軟性向上などを検討する必要が出てくる。これらの職種では求人の一部が減っていても、求められるスキルが高度であるため、求職者側の動きが限定的になる傾向がある。
また、新規求人が減少し続けている現状を踏まえると、採用活動では求人そのものを増やすのではなく、採用プロセスの質を高める戦略が求められる。例えば、応募者1人当たりの情報収集を丁寧に行い、選考段階でミスマッチを防ぐ取り組み、あるいはオンラインと対面を組み合わせた柔軟な説明会や面接スケジュールの設定などが挙げられる。求職者との接点を改善することで、自社に適した人材を確保できる可能性が高まる。
さらに、求職者数が微増していることを踏まえると、採用担当者は自社の求める人材に対してどのような価値を提供できるかを客観的に評価する必要がある。待遇面だけでなく、働きがい、長期的な成長機会、ワークライフバランスなど、求職者が職場選択で重視するポイントを丁寧に示すことで、応募動機を高めることが可能になる。
このように、最新の有効求人倍率と求人数の推移を読み解くことで、採用担当者は自社の採用状況を俯瞰し、職種別の市場動向に合わせた具体的な採用戦略を描くことができる。特に中小企業にとっては、求人媒体の選択や掲載内容の改善、また応募者の属性に合わせた対応力が採用成功の鍵となる。数字をただ追うだけではなく、背景にある求職者の動きや産業構造の変化を捉えることで、採用の精度を高めることができる。
この記事の要点
- 令和7年10月の有効求人倍率は1.10倍
- 有効求人数は40,055人で前月比2.3%減
- 有効求職者数は36,404人で前月比0.2%増
- 新規求人倍率は1.86倍で4か月連続低下
- 職種別倍率で専門系は高水準、事務系は低水準
- 中小企業は職種別の市場把握と採用プロセス改善が重要
⇒ 詳しくは宮城労働局のWEBサイトへ


