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2025年12月24日

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秋田県で求人倍率1.20倍となった令和7年10月、県北1.57倍の人材不足に企業はどう対応するか

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秋田県内の雇用情勢(令和7年10月)(秋田労働局)

この記事の概要

最新の県内雇用情勢では、令和7年10月の有効求人倍率が1.20倍となり、前月からわずかに低下した。求人は求職者数を上回る状況を維持しているものの、求人数は前月より減少し、緩やかな下方修正が続いている。正社員の有効求人倍率は1.22倍となり、前年同月比で改善した。地域別では県北が高い水準を維持し、産業別動向では建設業や宿泊業などで求人が増えた。


県内で公表された令和7年10月の雇用情勢は、全体として求人が求職者数を上回る傾向を保ちながらも、求人側の動きに鈍化が見られる結果となった。有効求人倍率は1.20倍で、前月から0.01ポイント低下し、緩やかな下方への変化が続いている。全国値が1.18倍であるため、県内の雇用環境は比較的高い水準を維持しているものの、求人の勢いは少しずつ弱まっている。資料の図表では、求人数と求職者数の推移が折れ線で示されており、特に求人数が横ばいから微減の流れをたどっている様子が確認できる。

月間有効求人数は19,220人から19,466人へ移り、前年同月比では2.2%減となり、これで35か月連続の減少となった。求人数が長期間減り続けていることは、企業側の慎重な採用姿勢が続いていることを示すものであり、特に物価上昇や人件費負担の増加など、企業経営を取り巻く環境が採用意欲に影響を及ぼしている可能性が高い。一方、有効求職者数は16,026人から9,200人と区分ごとに異なる数値が示されており、最新月の求職者数は前月比0.6%増となった。求職活動の動きがやや活発化していることが見て取れるが、求職者の増加ペースは緩やかである。

新規求人倍率は1.91倍で前月より0.03ポイント上昇しており、求人のしぼり込みが進む中でも、新規求人に対する求職希望者が相対的に多い状況となった。これは新規求人の減少が影響しており、前月に比べ1.9%の減少、前年同月比でも2.2%の減少が記録されている。新規求職件数は前月比3.8%の増加となり、求職者の動きがわずかに強まっていることが読み取れる。

また、正社員に限定した有効求人倍率を見ると、1.22倍で前年同月比0.02ポイントの上昇となり、正社員求人の需要が底堅く推移していることが分かる。求人数は11,230人で前年より3.2%増加し、正社員を求める求人の増加が確認できる。同時に、正社員求職者数も9,200人で前年同月から1.3%増えており、求職者側の動きが静かに広がりつつある。

県内の地域別状況をみると、就業地の有効求人倍率では県北が1.57倍で最も高く、中央地域が1.23倍、県南地域が1.20倍と続いている。特に県北地域は受理地と就業地の差が0.21ポイントあり、地域内での求人が依然として堅調であることが示されている。この差は、実際の勤務地情報を踏まえると求人ニーズが高いことを意味し、特に特定産業への需要が集中している可能性を示唆している。

ハローワーク別の数値では、能代が1.60倍と最も高く、大館や秋田などの地域でも1.23倍前後の水準を維持している。こうした地域別の細かな数値は、人手不足の度合いを理解する上で役立ち、中小企業の採用担当者にとっては地域ごとの採用難易度を判断する重要な情報となる。

産業別の新規求人動向をみると、建設業が前年同月比0.8%増、宿泊業・飲食サービス業が10.9%増、運輸業・郵便業が14.4%増と増加が続いている。いずれも人手不足が慢性的に続いている分野であり、季節要因や需要の変動が求人数を押し上げていると考えられる。一方で、製造業は9.9%減、卸売業・小売業は17.6%減、生活関連サービス・娯楽業は26.7%減と大幅に求人が減っている。特に卸売・小売業の減少幅が大きく、15か月連続で減少が続いていることは、消費行動の変化や人件費負担の増加が顕著に影響していることを反映している。

産業別の動きは、中小企業が採用戦略を考える上で非常に重要な材料となる。求人が増えている分野では採用競争が激しくなる一方で、求人数が減っている分野では求人そのものの希少性が高まり、求職者が比較的集まりやすくなる可能性がある。そのため採用担当者は、自社が属する産業の求人増減を正確に把握し、採用活動の計画を練る必要がある。

では中小企業は、有効求人倍率の変化をどのように捉え、採用活動を進めるべきなのだろうか。まず、倍率が1.20倍であるということは、求職者1人に対して1.2件の求人がある状態を意味し、求職者が仕事を選びやすい環境はまだ続いている。しかし、求人の減少と求職者の微増が同時に進んでいる現状を踏まえると、以前ほどの採用難が続くとは限らない。特に倍率が下がり続けている分野では、応募の増加が期待できるため、選考プロセスを見直し、応募者へのアプローチの質を高めることがカギとなる。

同時に、倍率が高い地域や分野では、従来どおり採用が難しい状況が続くため、待遇改善や働き方の柔軟化、教育体制の強化など、求職者が長期的に働きたいと感じる環境整備が不可欠である。例えば、県北地域のように求人倍率が高い場所では、給与水準の見直しや勤務シフトの柔軟性確保が採用成功につながりやすい。一方、事務系のように倍率が低い職種では応募が増えやすいため、ミスマッチを防ぐための選考基準や面接内容の精査が求められる。

また、新規求人倍率の高さからわかるように、新しく求人を出す企業は多くの求職者からの応募を得やすい状況にある。そのため、求人掲載時には自社の魅力を丁寧に伝え、仕事内容や待遇、キャリア機会を明確に示すことで、質の高い応募者を引き寄せることができる。採用プロセスの改善として、オンライン面接の併用や応募者への迅速なレスポンスなども効果的である。

このように、有効求人倍率や地域別・産業別の求人動向を読み解くことは、中小企業にとって自社に必要な人材を確保するための重要な基盤となる。市場全体の流れを理解しつつ、自社の状況に合った採用戦略を立てることで、変化し続ける雇用環境の中でも安定的に人材を確保することが可能となる。

この記事の要点

  • 令和7年10月の有効求人倍率は1.20倍で前月より低下
  • 新規求人倍率は1.91倍で前月より上昇
  • 求人数は前年同月比2.2%減で35か月連続減少
  • 地域別では県北が1.57倍と最も高い
  • 建設業や宿泊業で求人増、製造業や小売業で減少
  • 中小企業は倍率の変化に応じた採用戦略が必要

⇒ 詳しくは秋田労働局のWEBサイトへ

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