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2025年12月25日

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山形県の求人倍率1.26倍(令和7年10月)、製造業と医療福祉がけん引する採用動向

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最近の雇用情勢について(山形労働局)

この記事の概要

令和7年10月の山形県における有効求人倍率は1.26倍となり、前月から0.03ポイント上昇した。新規求人倍率も2.03倍となり、求人の動きがやや強まりつつある状況が確認された。求人数は一部産業で増加し、特に製造業や医療福祉で大きく伸びた。地域別では県内各地で倍率に差が見られ、採用環境のバランスが変化している。


令和7年10月に公表された山形県内の雇用情勢は、前月から持ち直しの動きが見られ、求人側の動きがやや強まった内容となった。季節調整済みの有効求人倍率は1.26倍となり、前月の1.23倍から0.03ポイント上昇した。求職者1人に対して1.26件の求人がある計算となり、依然として求職者優位の状況が続く。全国の季節調整値である1.18倍と比べても高い水準に位置しており、山形県の人手不足傾向は全国平均より強いといえる。この状況は企業側にとって採用が難しくなる一方、求職者にとっては選択肢が広がりやすい環境が続いていることを意味する。

新規求人の動きに注目すると、新規求人倍率が2.03倍となり、前月から0.17ポイント上昇した。新規求人倍率が2倍を超えるということは、新たに求人を出した場合、求職者の数より求人件数のほうが倍以上多いという状況を示しており、企業が求める労働力に対し求職者が相対的に少ないことを意味する。山形県の採用難の傾向は依然強く、特に新規求人の段階で求める人材に巡り合いにくい現状が続いている。

産業別の動きを見ると、令和7年10月の新規求人数は8,687人となり、前年同月比で0.5%増加し、6か月ぶりの増加となった。内訳としては、製造業が1,493人と前年同月比16.6%増と大幅な伸びを示しており、16業種中14業種で増加していることから、県内製造業全体の採用需要が高まっていることが読み取れる。同様に、医療福祉分野でも1,953人となり20.3%増と高い伸びが確認された。人口減少が進む地域では医療福祉の需要が高まりやすく、恒常的な人材不足が続くため、求人数も高止まりしやすい傾向がある。

一方、減少した産業としては、建設業が945人で3.6%減、運輸業・郵便業は381人で15.9%減、卸売業・小売業は952人で7.0%減、宿泊業・飲食サービス業は442人で15.3%減、サービス業全般では1,309人で10.9%減となっている。特に宿泊・飲食サービス業の減少幅は大きく、観光需要は戻りつつあるものの、人件費負担や業務効率化の動きが影響し、求人を出す企業が慎重な姿勢を続けている可能性が高い。

正社員の新規求人数を見ると、4,825人となり前年同月比で12.2%増と大きく増えている。新規求人全体に占める正社員求人の割合は55.5%となり、前年同月から5.8ポイント上昇した。企業が長期雇用を見据えた人材確保に動き始めていることがうかがえる。求職者側にとっても正社員を希望する人材が応募しやすい環境になっていると考えられる。

一方、有効求人数は季節調整値で21,703人となり、前月に比べ0.9%増となった。これは6か月ぶりの増加であり、これまで続いていた求人減少の流れに変化が生じている。原数値では22,345人となり前年同月比3.6%減となったが、減少幅はやや縮小しており、企業が必要な人材を確保するため再び採用活動を活発化させている兆候といえる。

地域別の求人倍率に目を向けると、県全体の有効求人倍率1.26倍に対して、県内の地域によって状況に明確な違いが見られる。山形、米沢、酒田、鶴岡、新庄などの地域別数値では、1.14倍から1.35倍ほどのばらつきがある。特に米沢エリアは産業集積が進み、製造業や技術系の求人が増える傾向があり倍率はやや高く推移している。また村山地域や寒河江地域なども1.20倍前後の水準を維持しており、地域ごとに採用の難易度が異なっていることが確認できる。

さらに、都道府県別の比較を示した図表を見ると、山形県は全国の中でも中位の水準に位置しているものの、東北地方6県の中では上位に入っており、東北全体の中でも採用が比較的難しい県であることがわかる。こうした地域差は採用戦略を考えるうえで重要な視点となる。例えば求人倍率が高い県では応募が集まりにくいため、求人内容の魅力向上や働き方の工夫が求められる。一方、倍率が低めの地域では応募増が期待できるため、採用選考の質を高めることでミスマッチ防止につながる。

中小企業の採用担当者がこの雇用環境の中でどのように採用活動を進めるべきかを考えると、まず重要なのは、新規求人倍率が高いことを前提にした戦略の見直しである。倍率が2.03倍ということは、新規の求人に対して求職者が相対的に少ないため、求人を出すだけでは応募が集まりにくい。そこで求められるのは、自社の魅力を求職者に伝える情報発信力であり、その内容は具体的かつ誠実である必要がある。仕事内容の透明性、働き方の柔軟性、待遇の明確化など、応募者が知りたい情報を過不足なく伝えることが応募率を高める要因となる。

また、正社員の新規求人が増えている現在、求職者の中でも安定した働き方を希望する人材が増えている可能性があるため、正社員登用の仕組みやキャリアアップ支援を前面に出すことが企業の採用力の向上につながる。求職者は求人票だけでなく、企業文化や働く環境を重視するようになっているため、企業が何を大切にし、どのように働く人を支援しているのかを丁寧に発信することが求められる。

さらに地域別の求人倍率の差を活用する視点も重要である。例えば、地域ごとに求人を出す媒体を変えたり、近隣地域への広域的な採用活動を行うことで応募者の層を広げることができる。また、採用が難しい職種については、育成を前提としたポテンシャル採用に切り替えることで、中長期的な人材確保に結びつけることも可能である。

このように、令和7年10月の山形県の雇用情勢は、人手不足が続く中でも採用活動の工夫次第で応募者増につなげられる余地がある状況といえる。求人倍率や産業別の動きを正確に把握し、自社の採用戦略を柔軟に見直すことが、今後の採用成功の鍵になる。

この記事の要点

  • 令和7年10月の山形県有効求人倍率は1.26倍で前月より上昇
  • 新規求人倍率は2.03倍となり求人側が優位の状況が続く
  • 製造業と医療福祉で求人が大幅に増加
  • 宿泊業や小売業などで求人が減少
  • 正社員新規求人は12.2%増で長期雇用の需要が高まる
  • 地域により求人倍率に幅があり採用難易度が異なる
  • 中小企業は求人内容の魅力向上と情報発信力の強化が必要

⇒ 詳しくは山形労働局のWEBサイトへ

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