2025年12月25日
労務・人事ニュース
令和7年10月の福島県有効求人倍率1.22倍を踏まえた中小企業採用戦略
- クリニックでの看護師のお仕事/車通勤可/即日勤務可/週4日以下
最終更新: 2025年12月24日 07:07
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最終更新: 2025年12月24日 09:36
- 常勤・サービス業界の看護師/車通勤可/即日勤務可/シフト
最終更新: 2025年12月24日 09:36
- 介護職員/福岡市東区/福岡県JR香椎線/土井駅
最終更新: 2025年12月24日 02:19
令和7年10月分 最近の雇用失業情勢(福島労働局)
この記事の概要
令和7年10月の県内有効求人倍率は1.22倍となり、前月の1.26倍から0.04ポイント低下した。有効求人数は前月比1.9%減の36,284人、有効求職者数は前月比1.1%増の29,679人で、求人が求職をやや上回る状況が続いている。主要産業では建設業、製造業、宿泊・飲食サービス業、医療・福祉分野で前年を上回る新規求人が見られた。中小企業の採用担当者にとって、求人倍率の変化を踏まえた戦略的な採用活動が求められる局面である。
令和7年10月の県内雇用情勢は、前月に比べてわずかに弱含みを見せたものの、依然として求人が求職を上回る構図が続き、地域の企業活動全体としては人材確保の必要性が強い状況にある。季節調整値による有効求人倍率は1.22倍となり、前月の1.26倍から0.04ポイントの低下となった。これは求人数が減少した一方で求職者が増加したことに起因しており、労働市場における競争環境に変化が生じていることを示している。
県内の有効求人数は36,284人で、前月比1.9%減となった。前年同月比では0.7%増であり、7カ月連続で前年を上回っている。求人の絶対量としては堅調さを維持しているが、前月比での減少は一部の業種における採用ペースの調整や、季節的要因による需要変動の影響が考えられる。一方、有効求職者数は29,679人で前月比1.1%増加した。求職者が増えた背景には、転職希望者の増加や雇用契約の終了時期が重なった可能性が考えられる。
産業別に見ると、県内の求人動向は業種ごとに明確な違いがみられる。建設業は前年同月比4.6%増の1,981人となり、3カ月連続で前年を上回った。インフラ整備や民間建設投資が一定の水準を維持していることが求人増加の背景にある。製造業も前年同月比14.3%増の2,011人で、こちらも2カ月連続の増加となった。特に金属製品、電気機械、情報通信機械などの分野で前年を上回る新規求人がみられ、生産活動に持ち直しの兆しが出ている。
また、宿泊・飲食サービス業は前年同月比5.5%増の1,246人となり、観光需要やイベントの増加に伴って求人が伸びた。医療・福祉分野も前年同月比6.1%増の3,431人と堅調で、県内の高齢化や介護サービス需要の増加が背景にある。一方、卸売・小売業は前年同月比25.7%減と大幅に減少し、2カ月ぶりに前年を下回った。物流の効率化や小売業の人員配置見直しなど、業界構造の変化が影響した可能性がある。
運輸・郵便業は前年同月比7.3%減となり、こちらも4カ月ぶりに前年を下回った。需要自体は高止まりしているものの、自動化や配車効率の改善により募集が抑制された可能性がある。サービス業全体でも前年同月比1.1%減とわずかに落ち込み、5カ月ぶりの減少となった。
正社員求人についてみると、正社員有効求人倍率は1.08倍で前年同月を0.02ポイント上回った。企業側の正規雇用に対する需要は引き続き高い水準を維持しており、安定志向の求職者にとっても選択肢が広がる状況となっている。新規求人に占める正社員求人の割合は51.0%で、前年同月を0.3ポイント下回ったものの、引き続き過半数を維持している。これは非正規雇用の求人も一定の存在感を持っていることを示す。
さらに、県内1カ所のハローワークで有効求人倍率が1倍を下回る状態が8カ月連続で続いており、地域による求人需給の偏りも明らかになっている。都市部と中山間地域では労働市場の構造が異なるため、地域特性を踏まえた採用活動が求められる。
ここから、中小企業の採用担当者がどう行動すべきかを考えると、有効求人倍率の変動を継続的に観察し、自社の採用戦略に反映することが重要となる。倍率が低下したといっても1.22倍という数値は依然として「売り手市場」に近い状態にあり、特に建設業や製造業、医療・福祉分野では求職者より求人数が大きく上回るため、採用競争は厳しい。そのため、求人票の改善や採用プロセスの迅速化など、応募者が応募しやすい環境づくりが欠かせない。待遇改善以外にも、研修制度の充実や柔軟な働き方の提示は応募者の関心を集めるポイントとなる。
また、卸売・小売業やサービス業など求人が減少している業種では、競争が緩和される可能性があり、求職者が他業種から流入することも考えられる。こうした業種では、新たな人材の確保に向けて業務の魅力をより丁寧に伝え、未経験者採用の仕組みを整えることで採用の幅を広げられる。
地域間の倍率差も踏まえれば、企業は可能な範囲で周辺地域からの応募を取り込む施策も有効である。例えばオンライン面接の導入や交通費補助を行うことで、応募者の負担を軽減し、応募母数の拡大が期待できる。さらに、正社員有効求人倍率が1.08倍と安定していることから、正規雇用を希望する求職者の動きを読みつつ、キャリア形成支援や長期的な育成方針を打ち出すことで、企業側の信頼度を高めることも可能である。
これらを踏まえると、中小企業に求められるのは、労働市場データを単なる数値として捉えるのではなく、自社の採用環境を改善するための材料として活用する姿勢である。求人倍率が変動する局面でこそ、採用担当者の戦略的な判断が企業の競争力を左右する。令和7年10月のデータは、その意味で今後の採用活動において重要な指標となる。
この記事の要点
- 令和7年10月の有効求人倍率は1.22倍で前月から低下
- 有効求人数は36,284人で前月比1.9%減
- 主要産業では建設・製造・宿泊飲食・医療福祉が増加
- 卸売小売・運輸郵便・サービスは減少
- 正社員有効求人倍率は1.08倍で前年同月を上回る
- 中小企業には求人票改善と採用プロセスの迅速化が重要
⇒ 詳しくは福島労働局のWEBサイトへ


