2025年12月25日
労務・人事ニュース
茨城県の雇用情勢、令和7年10月の有効求人倍率1.12倍から見える採用の課題
- 介護職員/福岡市西区/JR筑肥線/九大学研都市駅福岡県
最終更新: 2025年12月24日 02:19
- 介護職員福岡県/福岡市西区/JR筑肥線/九大学研都市駅
最終更新: 2025年12月24日 02:19
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最終更新: 2025年12月24日 02:19
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最終更新: 2025年12月24日 00:36
県内の雇用情勢の概況(令和7年 10 月分)(茨城労働局)
この記事の概要
令和7年10月の茨城県の有効求人倍率は1.12倍となり、前月より0.02ポイント低下した。新規求人倍率は1.85倍で前月より低下し、求人側の動きが弱まっている様子がうかがえる。新規求人数は前年同月比9.0%減と10か月連続で減少し、主要産業では増減の差が明確に表れた。県内では求人が求職を上回る状況が続く一方、雇用の改善スピードが鈍化しており、中小企業には採用活動の見直しが求められる局面となっている。
茨城県における令和7年10月の雇用情勢は、求人が求職者数を上回る状態を維持しているものの、その勢いには明確な陰りが見え始めている。有効求人倍率は1.12倍となり、前月の1.14倍から0.02ポイント低下した。この数値は求職者1人に対して求人が1.12件存在することを意味し、依然として人手不足の傾向が続いているものの、雇用の改善が停滞している現状を示している。茨城県では4月以降、改善基調が弱まっているとの判断が続いており、新規求人の動向からもその慎重さがうかがえる。
有効求人数は季節調整値で42,104人となり、前月比2.1%減となった。これで3か月連続の減少となり、県内の企業が採用に慎重さを見せ始めている状況が読み取れる。一方、有効求職者数は37,551人で前月比0.2%減とわずかに減少しており、求職者の動きも安定している。求人と求職の双方が減少傾向にあるため、県内の労働市場は全体として静かな調整局面に入っているといえる。
新規求人倍率は1.85倍で、前月より0.15ポイント低下した。求人が求職者数の1.85倍存在する状態は高い水準であるものの、9月からの低下は企業側の採用意欲の鈍化を示している。求人票の掲載内容や募集条件が求職者と合致しにくくなっている可能性があり、応募者の確保がより困難な状況にあることが考えられる。
新規求人数は前年同月比で9.0%減となった。これで10か月連続の減少であり、県内企業の採用活動が前年より慎重化していることが明らかである。産業別に見ると、「生活関連サービス業、娯楽業」は前年同月比で50.4%増と大幅に伸びており、240人増の結果となった。観光やレジャー施設の需要回復が続いていることが影響しているとみられる。また「学術研究、専門・技術サービス業」も7.3%増と34人の増加となっており、専門性の高い人材の確保が続いている。
一方で「サービス業(他に分類されないもの)」は21.1%減と640人の減少となり、10か月連続で前年を下回った。業務の効率化や自動化の進展に伴う求人抑制が背景にあると推測される。「卸売業、小売業」も17.6%減で233人減となり、消費行動の変化が採用活動に影響を与えている。「医療、福祉」は4.3%減と224人の減少となり、人手不足が続く一方で、採用に慎重な施設が増えた可能性がある。
新規求職申込件数は前年同月比0.6%減となり、3か月連続の減少である。雇用形態別では「パートタイムを除く常用」は0.4%増であり、安定した雇用を求める層は引き続き多い。「常用的パートタイム」は2.3%減であり、パート希望者が減少傾向にあることがうかがえる。働き方の多様化が進む中で、求職者がより安定した働き方を求める傾向が強まっている可能性がある。
失業に関連する動きでは、雇用保険失業給付の受給資格決定件数は前年同月比1.4%減となり、5か月ぶりの減少となった。雇用保険の受給者実人員は前年同月比15.0%増と増加し、6か月連続の増加である。これは求職活動を継続する人が増えていることを示すが、一方で雇用保険の被保険者資格喪失者数は8.8%減と改善が進んでおり、事業主都合離職者は16.7%減となった。被保険者資格取得者数は前年同月比8.8%増となり、新規就労者が増加している点は地域経済にとってプラスの材料である。
これらのデータから、中小企業の採用担当者がどのように採用戦略を構築すべきかを考えると、まず有効求人倍率1.12倍という数字が示す意味を正確に捉える必要がある。倍率が高いほど採用競争が激しくなるが、今回のように微減した場合でも依然として人材確保は容易ではない。求人側と求職側のミスマッチが発生している可能性が高く、企業は求人票の内容を見直す必要がある。
例えば、仕事内容の詳細、勤務時間の柔軟性、スキル習得の機会や研修制度など、求職者が重視する情報を具体的に記載することが重要である。また、新規求人倍率が1.85倍という高い数値を維持していることから、新規求人を出す際には競合他社との差別化が欠かせない。求職者にとって魅力的に映る要素を整理し、自社の強みを明確にアピールすることで応募者を増やすことができる。
さらに、産業別の求人動向を踏まえた戦略も欠かせない。例えば求人数が増加した「生活関連サービス業、娯楽業」や「学術研究、専門・技術サービス業」では採用活動が活発化しているため、競争が激しくなる。一方で、減少傾向にある業種では応募が比較的集まりやすくなる可能性もあるため、職種や事業内容に合った採用手法を選択することが重要である。
地域差にも注意すべきであり、求職者が多い地域と少ない地域の採用難易度を把握することで、応募の取り込み方も変わってくる。オンライン面接やハイブリッド型の説明会を導入するなど、距離を超えた採用活動を行うことで応募者層を広げることができる。
このように、茨城県の令和7年10月の雇用情勢は、求人と求職のバランスに変化が見られ、人手不足が続く中でも採用環境に新たな課題が生じている。中小企業に求められるのは、求職者のニーズを丁寧に読み解き、継続的に求人内容を改善しながら採用の質を高める取り組みである。労働市場の変化を的確に捉えることで、企業は安定した人材確保につなげることができる。
この記事の要点
- 令和7年10月の茨城県有効求人倍率は1.12倍で前月より低下
- 新規求人倍率は1.85倍で企業の採用意欲に鈍化がみられる
- 新規求人数は10か月連続で前年を下回る
- 主要産業で増減が分かれサービス業で大幅減少
- 雇用保険関連指標は改善と調整が混在
- 中小企業は求人内容の改善と採用手法の見直しが重要
⇒ 詳しくは茨城労働局のWEBサイトへ


