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2025年12月25日

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求人倍率1.12倍の埼玉県(令和7年10月)中小企業が注目すべき採用の工夫とは

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埼玉労働市場ニュース(令和7年10月分)(埼玉労働局)

この記事の概要

令和7年10月の埼玉県における有効求人倍率は1.12倍で、前月から0.03ポイントの低下となりました。求人数と求職者数がともに減少する中、中小企業の採用環境には変化と対応が求められています。本記事では、埼玉県の労働市場データをもとに、中小企業の採用担当者がどのように採用活動を進めるべきか、具体的な視点で解説します。


令和7年10月の埼玉県における有効求人倍率は1.12倍となり、前月の1.15倍から0.03ポイントの下落が見られました。この有効求人倍率とは、求職者1人あたりにどれだけの求人数があるかを示す指標であり、労働市場における需給バランスを図る上で非常に重要なものです。1倍を上回っているということは、求人数が求職者数を上回っている、すなわち企業側が人材を確保するために努力しているという状況を表しています。しかしながら、今回のように倍率が下がっているという事実は、企業の求人意欲がやや鈍化している、あるいは求職者側の動きが活発化している可能性を示唆します。

埼玉県の労働市場全体を見ると、有効求人数は前月より2.7%減の99,663人、有効求職者数も0.3%減の89,043人という結果でした。これは、求人側と求職側の両方に慎重な動きが出てきていることを意味します。また、新規求人倍率は2.03倍と依然として高水準ですが、こちらも前月から0.02ポイントの減少となっており、採用市場の動向に若干の変化が生じています。

とくに注目すべきは、業種ごとの求人動向です。新規求人数が前年同月比で9.6%も減少しており、その中でもパート求人は12.4%減、フルタイム求人も7.6%減と、いずれも下落傾向にあります。業種別では、宿泊業・飲食サービス業が26.5%減、運輸業・郵便業が23.7%減、建設業が16.4%減と大幅な減少が見られました。これらの業種では、物価上昇やエネルギーコストの増加、人件費の高騰などが企業経営に影響を及ぼし、採用に対する慎重な姿勢が強まっていると考えられます。

一方で、求人が増加した業種もあります。教育・学習支援業が16.5%増、生活関連サービス業・娯楽業が13.8%増、学術研究・専門・技術サービス業も8.3%増といった動きが見られました。これらは比較的非製造系のサービス業であり、柔軟な働き方や専門的なスキルを活かす働き方へのニーズが高まっていることが背景にあると考えられます。

中小企業の採用担当者がこのような求人倍率の動向から学ぶべきことは、自社の業種がどのような市場環境にあるかを正確に把握した上で、求職者との接点をどのように設計するかという点です。求人倍率が1倍を超えているとはいえ、競争は激化しており、特に正社員の有効求人倍率は受理地別で0.81倍、就業地別で0.91倍と1倍を下回っています。つまり、正社員採用についてはまだ供給が上回っており、求職者の取り合いになっていないという状況です。こうした中では、質の高い人材をどう確保するかが焦点となり、企業としての魅力をいかに効果的に伝えるかが鍵を握ります。

また、新規求職者のうち正社員希望者の割合は61.6%であり、前年同月よりやや減少しています。求職者のニーズは徐々に多様化しており、フルタイムだけでなく、柔軟な勤務形態やライフスタイルに合った働き方を希望するケースが増えています。こうした変化に応じた求人内容の見直しが必要です。勤務時間の柔軟性や副業の容認、テレワークの導入など、従来とは異なる働き方を提示することで、幅広い層の求職者に訴求できる可能性があります。

さらに、求人票に記載する情報の質も重要です。単に業務内容や給与、勤務時間だけでなく、職場の雰囲気や人間関係、成長機会など、実際に働くことをイメージしやすい情報を提供することが、応募率の向上につながります。中小企業にとっては、知名度やブランド力では大手企業に及ばないことが多いため、こうした細やかな情報提供こそが差別化のポイントになります。

加えて、採用活動のオンライン化も積極的に活用すべきです。動画による会社紹介や、ウェブ面接、オンライン合同説明会の開催など、デジタルツールを活用することで、地理的な制約を超えて多様な人材にアプローチすることができます。特に若年層や育児中の求職者など、時間や移動に制約のある人々にとっては、オンラインでの接点が大きな魅力となるでしょう。

一方で、雇用保険受給者実人員は前年同月比で14.7%増加しており、雇用の不安定さも見逃せない課題です。これは、一部では離職者が増加している可能性を示しており、採用した人材の定着をいかに実現するかというテーマにも目を向ける必要があります。採用後のフォロー体制の整備やキャリアパスの提示、定期的な面談などを通じて、職場への定着と満足度向上を図ることが、中長期的な人材戦略として求められています。

このように、令和7年10月の埼玉県における有効求人倍率1.12倍というデータから読み取れるのは、中小企業にとっての採用環境が決して楽観できるものではなく、むしろ一層の工夫と戦略が必要であるという現実です。今後も経済情勢や物価の動向に注意を払いながら、変化する労働市場に柔軟に対応していくことが、持続可能な採用活動の鍵を握ることになるでしょう。

この記事の要点

  • 令和7年10月の埼玉県の有効求人倍率は1.12倍で前月より低下
  • 求人数・求職者数ともに減少傾向で市場はやや停滞ムード
  • 宿泊業や運輸業、建設業では求人が大幅減少
  • 教育や生活関連サービス業など一部で求人が増加
  • 正社員の有効求人倍率は1倍未満で採用競争が緩やか
  • 求職者の多様なニーズに対応する求人内容の工夫が必要
  • 職場の魅力を細かく伝える求人票の改善が差別化の鍵
  • オンライン活用で求職者との接点拡大を図る戦略が有効
  • 採用後の定着支援策が中長期的な人材確保に直結

⇒ 詳しくは埼玉労働局のWEBサイトへ

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