2025年12月26日
労務・人事ニュース
山梨県の求人倍率1.31倍(2025年10月)で中小企業が取るべき採用行動
- 研究開発や化学分析スタッフ
最終更新: 2025年12月25日 05:37
- 介護職員福岡市南区/福岡県
最終更新: 2025年12月25日 11:02
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- 介護職員福岡市西区/JR筑肥線/九大学研都市駅/福岡県
最終更新: 2025年12月25日 11:02
2025年11月28日 山梨県の労働市場の動き(令和7年10月分)(山梨労働局)
この記事の概要
山梨労働局が公表した令和7年10月の雇用データでは、有効求人倍率が1.31倍となり前月からわずかに低下しました。求人数・求職者数の双方が増加する中、産業によって求人動向が異なる特徴が見られます。本記事では労働市場の動きを丁寧に整理し、中小企業の採用担当者が有効求人倍率をどう読み解いて採用に活かすべきかを詳しく解説します。
山梨労働局が発表した令和7年10月の「山梨県の労働市場の動き」によれば、有効求人倍率(季節調整値)は1.31倍で前月より0.01ポイント低下しました。数字の変動はわずかですが、労働市場の微妙な変化を読み取るうえで重要なシグナルといえます。求人倍率が1.30倍台で推移しているということは、求職者1人に対して1.3件の求人がある状況であり、依然として企業にとって人材獲得が簡単ではない環境が続いていることを意味します。
有効求人数は16,606人で前月比0.4%増、有効求職者数も12,655人で前月比0.8%増となり、求人も求職も同時に増える動きが確認されました。この状況は、労働市場が全体として活発であり、人々が就職・転職活動に動きやすい環境が広がっていることを示しています。ただし、求職者数の増加ペースの方がやや高いため、企業にとって採用活動のチャンスが広がっている面もあります。
その一方、新規求人(原数値)は6,161人で前年同月比6.0%減となりました。前年よりも新たに募集される求人が減っているということは、企業側が採用に慎重になっている可能性があると同時に、求人の内容を厳選する傾向が強まっていると推測できます。産業別に見ると、建設業は33.9%増、学術研究・専門技術サービス業は81.7%増、医療・福祉も9.1%増となり、特に専門性の高い分野や人材不足が深刻な業種で求人が伸びていることが特徴的です。
反対に、製造業は3.8%減、運輸業・郵便業は30.0%減、卸売業・小売業は11.1%減となり、サービス業全体でも21.8%減と幅広い業種で求人活動が抑えられていることがわかります。宿泊業や飲食サービス業も減少しており、景気動向や人件費の上昇、需要の変動といった外部環境の影響を受けやすい業種で採用計画の見直しが進んでいる可能性があります。このように業種によって求人の増減が鮮明に分かれており、中小企業は自社が属する産業の動向を的確に理解する必要があります。
新規求職者は2,745人で前年同月比1.6%減となり、特にパートタイムの求職者が8.3%減という特徴的な動きを示しました。働き方の見直しや求職の慎重化が背景にあると考えられ、企業は採用ターゲットの変化に合わせて柔軟な対応が求められます。離職者のうち、自己都合離職者が7.9%増加しており、これは働く側がより良い働き方を求めて積極的に動き始めている兆しとも捉えられます。
さらに注目すべき指標として、新規求人倍率(季節調整値)は2.18倍で前月より0.02ポイント上昇しました。新規求人倍率は新しく出された求人に対して求職者がどれほど存在するかを示すもので、この倍率が高まっているということは、企業が新しい人材を求める動きが続いている証です。一方で、求人総数は前年より減少しているため、企業は「厳選採用」を進めながらも、人手確保の必要性から新規求人を維持している状況だと考えられます。
企業の採用方針に最も大きく影響を与えるのは、有効求人倍率1.31倍という「採用の難しさ」を伴う数字です。中小企業の採用担当者がまず意識すべきは、この倍率が高止まりしている現実にあります。採用が成功しにくい市場においては、求人票の質、企業の認知、選考スピードといった要素が採用の成否を左右するため、従来よりも戦略的なアプローチが必要です。
求人票の質を高めるためには、仕事内容の明確さだけでなく、企業がどのような価値観で運営されているのか、社員がどのように成長できるのかといった情報を丁寧に発信することが重要です。特に山梨県では専門分野で求人が増加しているため、スキルアップや資格取得支援の体制、キャリア形成の支援制度を強調することで応募者の関心を引きやすくなります。
また、新規求職者の減少傾向を踏まえると、応募者一人ひとりとの接点を大切にし、選考中の連絡の早さや面接の日程調整の柔軟さを重視することが求められます。応募者は複数企業に応募するケースが多く、選考スピードの遅さは他社に人材を奪われる大きなリスクになります。応募から面接、内定までのプロセスをスムーズに進めるための体制整備は、中小企業にとって重要な戦略の一つです。
さらにオンライン環境への適応も避けて通れません。資料にもある通り、ハローワークインターネットサービスを通じたオンライン登録者が統計に含まれており、求職者の情報収集行動がオンライン中心に移行しつつあることが示されています。企業は求人情報をオンライン上で探しやすくするため、自社サイトや求人媒体での情報掲載を定期的に更新し、視覚的にわかりやすい構成にする必要があります。
一方で、求人が減少している業種の企業にとっては、未来を見据えた採用方針の見直しが必要です。人材が採用しにくい時期こそ、未経験者の受け入れや長期的な育成を視野に入れ、人材資源を社内で蓄積していく姿勢が後の成長につながります。研修制度やメンター制度の整備によって、応募のハードルを下げることが可能です。
山梨県の労働市場は、求人が求職を引き続き上回りながらも、業種によって強弱がはっきりと分かれ始めています。企業の採用担当者は、数値の裏にある市場の流れを読み取り、自社の採用戦略に反映することが求められます。応募者の変化、産業構造の変化、求職者行動の変化を総合的に捉えながら採用活動を進めることが、これからの採用競争で勝ち抜くための鍵となります。
この記事の要点
- 有効求人倍率1.31倍で採用は依然として難しい
- 新規求人は前年より減少し産業ごとに明暗が分かれる
- 建設業や専門職は求人が大幅増加
- 新規求職者は減少し応募者確保が課題
- オンラインでの求職活動が増加している
- 中小企業は求人票の質と選考スピードが重要
- 未経験者採用と育成の体制整備が必要
⇒ 詳しくは山梨労働局のWEBサイトへ


