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2025年12月26日

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京都府の有効求人倍率1.22倍(2025年10月)採用戦略

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報道発表資料 京都府内の雇用失業情勢(令和7年10月分)(京都労働局)

この記事の概要

京都府の令和7年10月の有効求人倍率は1.22倍となり、前月より0.03ポイント低下した。求人数は前月比1.8%減の52,434人、求職者数は0.8%増の42,954人で、求人が減り求職者が増える構図となっている。本記事では、詳細データをもとに京都の雇用情勢を整理し、中小企業が求人倍率をどのように採用戦略に活かすべきかを分かりやすく解説する。


京都労働局が発表した令和7年10月の雇用情勢によると、有効求人倍率は1.22倍となり、前月の1.25倍から0.03ポイントの低下となった。この数字は、資料1ページで示されている折れ線グラフからも確認でき、緩やかな波を描く中で直近数カ月は下降基調にあることが視覚的に読み取れる 。求人数の減少と求職者数の増加が組み合わさった結果であり、雇用環境自体が弱含みつつあることを示している。

京都府内の有効求人数(季節調整値)は52,434人で前月比1.8%減となった。9月の53,409人から減少し、企業側の採用意欲がやや後退していることがデータに表れている。一方、有効求職者数は42,954人で前月比0.8%増となり、求職活動に入る人が増加している。グラフを見ると求職者数はここ数カ月増加傾向にあり、求人の伸びが鈍る中で求職者が増えたことが求人倍率の低下につながっている。

新規求人の動きにも注目する必要がある。新規求人倍率は2.32倍で前月より0.01ポイント低下したが、新規求人自体は前月より4.3%増の18,023人となり、活発な求人行動が一定数続いていることが分かる。資料3ページに掲載された表では、月次の推移が詳細に示されており、特に令和7年7月から10月にかけて新規求人が17,000〜20,000の範囲で安定推移していることが読み取れる。

一方、新規求職者数は7,780人で、前月比4.7%増となった。求職者の増加幅が求人増加の幅を上回ったことで、新規求人倍率がわずかに低下した構図が見えてくる。資料4ページの年代別・状態別の詳細データを見ると、無業者の新規求職者が前年同月比10.8%増となっており、新たに求職市場へ入る層の増加が求人倍率に影響を与えていると考えられる。

業種別の新規求人では大きな差が生じている。資料4ページの産業別表を見ると、建設業、情報通信業、生活関連サービス・娯楽業など一部業種は前年同月比で増加している一方、製造業、卸売・小売業、運輸業、医療・福祉などは減少している。特に製造業は前年同月比8.6%減と落ち込みが大きく、電子部品・電気機械や輸送機械といった京都府内でも重要な産業で求人が縮小していることが分かる。この動きは府内の企業活動や受注状況の変化を反映しているとみられる。

医療・福祉については新規求人の減少が続いているが、依然として人材不足が根強い分野であることは変わらない。求人倍率は複数月にわたって高水準を維持しており、慢性的な需給ギャップが続いている。このため医療・福祉分野では、専門資格保持者だけに絞らず、未経験者に向けた研修制度やキャリア形成支援を強化する動きが求められる。

京都府は観光都市としての性質が強いため、宿泊業・飲食サービス業の動向も注目される。しかし10月の新規求人は前年同月比で減少しており、観光需要そのものは回復しているものの、企業によっては採用を慎重に進めている様子がうかがえる。物価高による経営圧迫や人件費上昇への警戒感も影響しているとみられ、今後の動向には注意が必要だ。

こうした雇用データを踏まえると、京都府内で採用活動を行う中小企業にとって、有効求人倍率1.22倍は決して低い水準ではないが、前年と比べると競争が緩和している面もある。ただし求職者数が増加しているといっても、その多くが無業者や離職者であるため、即戦力の人材が豊富に増えているわけではない点に注意が必要である。

中小企業の採用担当者が求人倍率から戦略を立てる際には、まず府内雇用情勢の「緩やかな弱含み」を前提としつつ、採用の難易度を正確に読み解くことが重要である。求人倍率が低下したからといって採用しやすくなったと判断するのは早計であり、求人数の減少は競合企業も採用を抑制しているシグナルである。むしろ、求職者の増加に伴い応募数が増えた場合、「選考の質を高め確実に見極めるプロセス」がより重要になる。

具体的な採用施策としては、求人票の情報量を増やし、求職者が判断しやすい内容に整えることが効果的である。京都府の場合、府外からの応募も一定数存在するため、通勤アクセス、地域の生活環境、企業文化、将来性などの情報を丁寧に記載することで応募者の関心を高められる。特に京都は学生が多い地域でもあるため、新卒・第二新卒層への訴求力を高めることも採用成功に直結する。

応募後のコミュニケーションも重要になる。求職者数が増えると応募自体は集まりやすくなるが、企業側が対応を遅らせるとすぐに他社へ流れてしまう。選考スピードを意識し、応募から面接までの期間を短縮することが中小企業にとっては大きな差別化になる。求職者は複数社を同時進行で選考する傾向が強いため、迅速な対応と丁寧なフォローが採用成功を左右する。

また、採用ターゲットの柔軟化も必要である。京都府内では業種によって求人が減少しているため、企業が求める理想条件を満たす人材が必ずしも市場に多く存在するわけではない。業務の一部を分解し、未経験でも対応できる範囲を明確に設計することで、応募者の幅を広げることができる。育成体制を整えることで、将来戦力として社員を育てる選択肢もより現実的になる。

離職者が増えているというデータは、企業にとって改善のチャンスでもある。応募者の中には、前職での働き方や待遇に課題を感じて転職を考える人が増えている可能性があるため、自社の魅力を正しく伝えることが重要になる。働き方の柔軟性やキャリア形成支援、評価制度など、企業が強みとするポイントは積極的にアピールすべきである。

京都府の雇用環境は地域の特性が強く、観光、伝統産業、大学・研究機関が多いという構造が求人にも影響する。採用担当者がデータを読み解く際には、業種別の需給ギャップや季節変動、観光需要の回復状況など複数の視点を組み合わせる必要がある。労働局が毎月公表する数値は、中小企業にとって採用戦略を立てる上での重要な指標となるため、継続的な確認が不可欠である。

この記事の要点

  • 有効求人倍率は1.22倍で前月より低下
  • 求人数は減少、求職者は増加して倍率が下落
  • 新規求人は増加したが新規求職者も増加
  • 製造業・医療福祉・小売などは求人減少が続く
  • 観光関連産業も慎重な採用姿勢が見られる
  • 中小企業は求人情報の質向上と選考スピード強化が重要
  • 育成前提の採用とターゲット層の拡大が必要

⇒ 詳しくは京都労働局のWEBサイトへ

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