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2025年12月27日

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令和7年10月和歌山県の雇用動向、有効求人倍率1.05倍

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一般職業紹介状況(令和7年 10 月分)(和歌山労働局)

この記事の概要

令和7年10月の和歌山県における有効求人倍率は1.05倍となり、前月から0.02ポイント低下しました。新規求人や有効求人が減少し、雇用情勢は持ち直しに弱さが見られるとの分析が示されています。本記事では、和歌山労働局の公表データをもとに雇用動向を詳しく解説し、特に中小企業の採用担当者が有効求人倍率をどのように活用し、採用戦略を構築すべきかを独自の視点でまとめています。


令和7年10月の和歌山県の雇用情勢は、求人が求職を上回る状況が続いているものの、その勢いにやや陰りが見られる結果となった。和歌山労働局が公表したデータによれば、10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.05倍で、前月と比較して0.02ポイント低下した。これは全国平均1.18倍および近畿平均1.10倍と比べて低い水準であり、地域の雇用環境が慎重な局面に差し掛かっていることを示している。

有効求人倍率の低下は、求人数の減少によるところが大きい。季節調整値でみると、10月の有効求人は15,412人となり前月比2.0%減、新規求人は4,890人で前月比13.1%減と大幅な落ち込みが確認された。新規求人が3か月連続で減少している点は特に注意が必要で、企業側の採用意欲がやや慎重になっていることを示唆している。

一方で、有効求職者数は14,696人となり前月比0.1%の微減となった。求職者数はほぼ横ばいで推移しており、求人が減少する中で求職者数が変わらないという構図は、労働市場のバランスが変化しつつあることを表している。特に新規求職者数は2,927人で前月比0.7%増となっており、求職活動を始める人は増加傾向にある。

産業別の動きに目を向けると、卸売業・小売業で前年同月比431人減、医療・福祉で202人減、宿泊業・飲食サービス業で171人減と、主要産業の多くで求人が減っていることが確認できる。特に小売業や宿泊業は季節変動の影響を受けやすいが、前年同月比で40%前後の減少となっており、景気の回復スピードが鈍化している可能性がある。一方、学術研究・専門技術サービス業では56人増、サービス業でも53人増となり、専門性の高い領域や対人サービス領域では求人が増加している。

さらに、正社員に限定した有効求人倍率は0.87倍となっており、前年同月とほぼ同水準ながら、正規雇用を巡る環境は相変わらず厳しい。特に正社員の有効求人数は6,971人で前年同月比4.0%減、有効求職者は8,053人で3.7%減となっているため、正規雇用市場では依然として求職者が求人を上回る構図が続いている。

こうした雇用情勢のなかで、中小企業の採用担当者がどのように採用活動を進めていくべきかを考えるためには、まず有効求人倍率を正しく理解する必要がある。有効求人倍率1.05倍という数値は、求職者1人に対して1.05件の求人が存在している状況を意味する。この水準は求職者にとっては比較的選択肢がある状態だが、企業にとっては人材確保が難しくなる局面の始まりでもある。新規求人倍率が1.67倍と前月比0.27ポイント低下していることからも、採用活動が以前より競争環境に置かれ始めていることが読み取れる。

特に中小企業は大企業と比べて採用ブランド力や待遇面での競争力が弱く、求職者が複数の選択肢を持つ状況では、応募を集める難易度が高まる傾向にある。そのため、有効求人倍率の推移を観察しながら、自社の採用活動をどのように最適化するかが重要となる。

まず重要なのは、募集要項の具体性と魅力の向上である。求人数が減少傾向にあるとはいえ、求職者が完全に減っているわけではなく、職種別・地域別に競争環境が異なる。特に和歌山のように医療・福祉、卸売小売、宿泊飲食が大幅な求人減となっている状況では、これらの分野における採用は一段と難しさを増している。求職者が応募先を選ぶ基準は、給与だけでなく働きやすさや職場環境、キャリアアップの可能性へと多様化しているため、これらを具体的に打ち出す必要がある。

また、有効求職者数がほぼ横ばいで推移している点を踏まえると、潜在的な求職者層に対してどれだけ接触を広げられるかが鍵になる。例えば、求人の露出を増やすためにオンライン求人媒体を併用したり、ハローワークの求人票の記載内容を丁寧に整えたりすることが求められる。和歌山県ではハローワークに来所しないオンライン上での求職登録が増加しているというデータも示されており、デジタル対応は必須と言える。

さらに、採用スピードを早めることも重要だ。求人倍率が低下しつつある局面では、求職者の動きも慎重になる一方、応募から内定承諾までのスピードが遅い企業は、他社に先を越されやすい。選考フローの見直しや面接日程の柔軟化など、採用プロセスの改善が求められる。

産業別の求人数の前年同月差から見ると、卸売業・小売業や宿泊業では求人が大幅に減少しているため、これらの分野で採用を行う企業は従来の採用チャネルに頼るだけでは十分な応募を集めることが難しいと考えられる。そのため、地元に根ざした小規模な説明会の実施や、未経験者採用の強化、資格取得支援制度の導入など、求職者を引きつけるための工夫が求められる。

一方で、学術研究・専門技術サービス業やサービス業では求人が増加していることから、これらの分野の人材に対する需要はむしろ高まっている。このような分野では、専門性の高いスキルを持つ人材を確保するために、業務内容の明確化や専門スキルを活かせる環境整備といった、職務内容と働き方の両面から訴求する戦略が有効となる。

総じて、和歌山県の雇用情勢は求人が求職を上回る状況が続いているものの、企業側の採用意欲には慎重姿勢が見られ、持ち直しの動きに弱さが出始めている。特に新規求人の減少は中小企業の採用活動に直結する問題であり、企業側が従来の手法に頼るだけでは人材確保が難しくなる可能性が高い。

そのため、中小企業の採用担当者は有効求人倍率の推移や産業別の求人動向を継続的に確認し、自社の強みを求職者に訴求する戦略的な採用活動を進めていくことが不可欠である。雇用環境が不安定な時期だからこそ、採用活動の質を高め、求職者が安心して応募できる企業であることを示す取り組みが求められている。

この記事の要点

  • 求人が求職を上回るものの勢いに弱さ
  • 和歌山県の有効求人倍率は1.05倍で前月より低下
  • 新規求人は3か月連続減少し13.1%減
  • 卸売小売・医療福祉・宿泊飲食で求人が大幅減少
  • 正社員有効求人倍率は0.87倍にとどまり厳しい状況
  • 専門技術サービス業では求人が増加
  • 中小企業は求人票の改善と採用スピード向上が重要
  • オンラインでの求職者増に対応した採用手法が必要
  • 産業別の採用難易度を踏まえた戦略的な人材確保が求められる

⇒ 詳しくは和歌山労働局のWEBサイトへ

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