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2025年12月27日

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2025年10月高知県の求人倍率1.05倍に企業が取るべき対応とは

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高知県の雇用失業情勢(令和7年10月分)(高知労働局)

この記事の概要

令和7年10月の高知県の有効求人倍率は1.05倍となり、前月より0.04ポイント低下しました。新規求人倍率も1.72倍に下がり、求人の動きにやや弱さが見え始めています。求職者数は増加に転じており企業の採用競争は一段と激しくなっています。本記事では高知県の雇用データを基に、中小企業の採用担当者が有効求人倍率の変化からどのような採用戦略を構築すべきか独自の視点で詳しく解説します。


高知労働局が公表した令和七年十月の雇用失業情勢によると、有効求人倍率の季節調整値は1.05倍となり、前月から0.04ポイント低下しました。二か月ぶりの減少であり、求人の動きに弱さが見え始めたと判断されています。特に有効求人数が13,307人で前月比2.8%減となった一方、有効求職者数は12,703人で前月比0.7%増となり、求人が減少する中で求職者が増えたため、企業にとっては採用市場の競争が強まる結果となりました。この動きは、労働市場が企業側にとってやや厳しい方向に傾き始めたことを示しており、中小企業は採用戦略の見直しを迫られる局面に来ているといえます。

新規求人倍率も1.72倍となり、前月差で0.16ポイント低下しました。新規求人は4,597件で前月比3.5%減と二か月連続で減少しており、企業の採用意欲が一部産業で鈍りつつある状況が読み取れます。一方、新規求職者は2,679人で前月比5.7%増となり、求職者が増加する流れが続いていることから、採用市場のバランスが変化してきていることがうかがえます。この「求人は減り、求職者は増える」という傾向は、企業が人材を確保するうえでより努力を必要とする兆候となります。

正社員有効求人倍率の原数値は0.89倍で、前年同月と同水準でした。高知県では以前から正社員の採用は募集に対して応募が十分に集まりにくい構造が続いており、この数値はその傾向が継続していることを示しています。求職者の正社員志向は全国的に高まっている一方、企業側の求めるスキルや条件と一致しにくい場面が増えており、中小企業は求職者に寄り添った条件提示や柔軟な採用基準が求められます。

新規求人数の産業別の動きに目を向けると、農林・漁業が36.8%増、建設業が17.2%増、宿泊・飲食サービス業が9.1%増など、自然資源や地域観光を支える産業で求人が増加しました。特に宿泊・飲食サービス業は全国的にみても人手不足が続いており、高知県でも採用活発化の動きが見られます。一方で卸売・小売業は24.1%減、医療・福祉は13.0%減、サービス業は20.6%減と大きく落ち込んでいます。物価上昇、人件費増加、消費行動の変化が影響していると考えられ、これらの産業では採用活動が慎重化していることが数値に表れています。

新規求職者数は2,464人で前年同月比2.5%増となり二か月ぶりに増加しました。在職者の求職は7.9%減となったものの、離職者は2.5%増など、求職者の背景は多様化しています。また、無業者からの求職者も増加傾向が見え、家庭の事情や働き方の変化に応じて再就職を求める層が増えている点は、中小企業にとって採用機会の広がりともいえます。

就職件数は772件で前年同月比11.0%減となりました。就職率も31.3%で4.8ポイント低下しており、求職者が企業を慎重に選ぶ傾向が強まっています。就職に至る割合が低下していることは、企業側の魅力訴求がこれまで以上に求められる重要な示唆です。条件提示や選考フロー、入社後の環境などが求職者に十分伝わっていない場合、応募があっても就職につながりにくくなるため、採用活動の質が直接成果を左右しています。

また、雇用保険被保険者数は187,406人で前年同月比1.3%減となり、71か月連続の減少となりました。高知県は人口減少が進む地域であり、労働力人口が長期的に減り続けている現状があります。この構造的課題により、今後も企業による採用活動は難しくなる可能性が高く、人材確保の手段を拡張していく必要があります。

さらに、安定所別の有効求人倍率を見ると、高知所は1.26倍、須崎所は0.97倍、四万十所は0.81倍、安芸所は1.00倍、いの所は0.52倍となっています。地域によって採用の難易度は大きく異なり、特にいの地域のように求職者が多く求人が少ないエリアでは採用がしやすい一方、四万十所のように求職者に対して求人が少ない地域では企業間の競争が激しくなります。企業が採用戦略を立てる際には、自社が求める人材がどの地域から来やすいのか、またターゲットを広げるべきかなど、地域特性を考慮する必要があります。

ここから、中小企業の採用担当者が有効求人倍率の変化をどのように読み取り、採用活動に活かすべきかを整理します。

まず、倍率が低下し始めたという事実は、求人が求職者に見つかりにくくなる潜在リスクを示しています。これまでより求職者の選択肢が広がり、企業は応募を獲得するための工夫が求められます。そのため求人票の見直しが最も基本かつ重要な対応になります。給与、福利厚生、勤務時間、働き方の柔軟性、キャリアステップなどの情報をできる限り具体的に提示し、求職者が自分のライフスタイルに合った働き方をイメージできる内容にする必要があります。

次に、求職者数の増加という点は採用チャンスでありながら、求職者の志向が多様化し、就職率は低下していることから、求職者は数だけでは企業を選ばない状況です。ここで鍵となるのは選考スピードとコミュニケーションです。応募から面接までの期間が短く、企業側からの迅速な連絡があるほど求職者の離脱は減少します。また面接時に待遇だけではなく、従業員の働きやすさをどのように確保しているか、どのような支援制度があるかなど、応募者の不安を軽減する説明が必要です。

さらに、産業別の求人の増減を踏まえると、応募が集まりにくい産業では働き方改革の推進を前面に押し出した採用戦略が効果を発揮します。特に小売、サービス、医療・福祉などは求人が減少傾向にあり、採用競争も激しいため、多様な人材を受け入れる姿勢が重要です。女性やシニア層、子育て世代、介護との両立を希望する人材など、従来採用の中心ではなかった層を積極的に取り込むことで、地域に根付いた採用力が高まります。

また、地域別求人倍率の差を活かし、採用ターゲットを広げることも戦略の一つです。通勤圏を設定し直したり、リモートやハイブリッド勤務を検討したりすることで、地域間を超えた人材獲得が可能になります。特に高知県の中山間地域では、働く場が限られるため、企業側が柔軟な働き方を提供することで優秀な人材を取り込みやすくなります。

最後に、長期的視点では、人材定着の強化が不可欠です。採用に成功しても退職が続けば企業にとって負担が大きくなり、採用コストが膨らむため、労働環境の見直しや育成制度の整備が重要です。特に若年層の確保が難しい高知県では、キャリア形成支援や教育研修の充実が企業の魅力となり、安定した雇用につながります。

この記事の要点

  • 令和7年10月の高知県の有効求人倍率は1.05倍で低下
  • 新規求人は減少し新規求職者は増加
  • 産業によって求人増減の差が大きい
  • 正社員採用は依然として競争が激しい
  • 地域ごとに求人倍率の格差が存在する
  • 求人票の魅力化と選考スピードの改善が必須
  • 多様な人材層を採用ターゲットに含める必要がある
  • 働き方の柔軟性と職場環境改善が応募増につながる

⇒ 詳しくは高知労働局のWEBサイトへ

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