2025年12月28日
労務・人事ニュース
令和6年 全国1,100万人が糖尿病リスクと判定された最新調査から読み解く企業の健康投資の重要性
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令和6年「国民健康・栄養調査」の結果(厚労省)
この記事の概要
令和6年に実施された国民健康・栄養調査は、全国規模で身体状況、栄養摂取、生活習慣を多角的に把握する重要な調査であり、今回の結果では糖尿病が強く疑われる人が1,100万人に達するなど生活習慣病の深刻さが改めて示された。また、食塩摂取量や喫煙、歩数などの生活習慣にも地域差や長期的な改善・悪化の傾向が確認された。企業にとって従業員の健康管理がますます重要性を増す中、人材確保や職場環境づくりの観点でも注目すべき内容となっている。
令和6年10月から11月にかけて全国で行われた国民健康・栄養調査は、健康増進法に基づき毎年実施される基幹調査であり、今年は4年に1度の拡大調査として実施された。調査では身体状況、栄養素摂取、生活習慣、口腔健康、身体活動など幅広い項目が対象となり、健康日本21(第三次)のベースライン値となる指標の収集も行われた。この調査は企業における健康経営や人材定着策を検討する上でも重要な資料となる。
今回の調査で特に注目されるのが生活習慣病に関する状況であり、糖尿病が強く疑われる者は推計で1,100万人に達したことが明らかになった。過去の調査と比較すると、この人数は平成9年から一貫して増加傾向にあり、働く世代を含む幅広い層で発症リスクが高まっていることが読み取れる。一方で、糖尿病の可能性を否定できない者は約700万人と推計され、平成19年以降は減少している。糖尿病に関連する医療費の増加や企業の健康リスク管理を考えると、このデータは大きな示唆を与えている。
糖尿病が強く疑われる者の割合は全体で12.9%となり、男性では17.7%、女性では9.3%と男女差が大きく表れた。また、糖尿病と指摘されたことのある人の中で治療を受けている者の割合は67.4%であり、男性では73.1%、女性では60.5%が治療を継続していた。30代から40代では治療を受けていない者の割合が比較的高く、働き盛りの世代における治療中断は企業にとっても生産性の低下や健康リスクの増大につながる可能性がある。
体格に関する指標では、適正体重の割合が60.7%となり、全体としては一定のバランスが保たれている一方で、男性の20~60代では肥満者の割合が34.0%に達し、女性の40~60代でも20.2%が肥満と判定されている。若年層のやせ傾向も課題であり、20~30代女性では16.6%がやせの範囲に含まれる。高齢者ではBMI20を下回る低栄養傾向の人が19.5%に上り、介護予防の観点からも見逃せない。こうした数値は企業の健康施策において、年代や性別に応じた支援が必要であることを示している。
栄養・食生活に関する項目では、男性の食塩摂取量の平均が10.5g、女性が8.9gとなり、12年間でみると最も低い値であるものの、健康日本21が掲げる7gという目標値には届いていない。高血圧や循環器疾患のリスクを考慮すると、減塩の取り組みは個人だけでなく企業の食環境整備としても重要である。野菜摂取量の全国平均は、男性270g、女性251gで、年代や地域によって差が大きいことも特徴として示された。
歩数の平均値は男性8,564歩、女性7,291歩となり、身体活動量は地域による大きなばらつきが見られた。企業ではリモートワークの浸透によって活動量が低下しやすい環境もあるため、データを踏まえて社内施策を検討する必要がある。喫煙では男性の習慣的喫煙者が24.2%となり、女性の数値は誤差率が高いため比較には適さないとされているが、長期的には減少傾向にある。働く世代の喫煙率は企業が健康投資を行う際の重要指標であり、禁煙支援や受動喫煙対策が引き続き求められる。
その他にも、飲酒習慣、睡眠状況、口腔健康、社会活動のデータが収集されており、どれも働く人々の生活の質に直結する内容である。特に睡眠については、睡眠時間の不足や質の低下が労働生産性に影響を与えることが多くの研究で示されているため、調査結果は企業の働き方改革や福利厚生の改善に活用できる。
今回の調査は従業員の健康課題を包括的に把握するための貴重な情報源となっており、企業が健康管理体制を強化する上で活用できる要素が多数含まれている。生活習慣病予防、栄養改善、運動習慣、喫煙対策、睡眠改善といった領域は採用力や定着率とも密接に関連しており、健康投資の重要性は一層高まっている。
この記事の要点
- 糖尿病が強く疑われる者は1,100万人で増加傾向
- 糖尿病治療継続率は67.4%で男性73.1%
- 男性の肥満割合は20~60代で34.0%
- 女性のやせ傾向は20~30代で16.6%
- 食塩摂取量は男性10.5g、女性8.9g
- 歩数は男性8,564歩、女性7,291歩
- 喫煙率は男性24.2%で長期的に減少傾向
- 栄養・運動・睡眠など生活習慣に地域差あり
- 企業の健康施策に活用できるデータが多数
- 調査は健康日本21(第三次)の基礎資料に位置付けられる
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


