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2025年12月28日

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氷河期世代で正社員化が進展した最新キャリア分析の結果

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若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状④(JILPT)

この記事の概要

若年者の雇用や働き方の現状を把握するため、令和4年版の調査個票を用いた二次分析が行われ、若年雇用の改善が見られる一方で、ニートが高止まりする状況が明らかになった。また、収入が高いほど有配偶率が高い傾向は継続するものの、全体としては5年前より低下していた。就職氷河期世代のキャリア変化も整理され、正社員への移行が進む姿が確認された。


若年者の就業状況を把握する目的で、令和4年版の調査個票を用いた二次分析が行われた。分析は過去の調査との比較も含めて進められ、若年雇用の変化を多角的に捉える試みとなった。今回得られた結果からは、若年者全体での雇用改善が一定程度進んでいるものの、特定の層における課題が継続していることが明らかになった。

特に若年非求職無業者、いわゆるニートの割合は高止まりしており、長期化する無業状態への支援が今後も重要であることが示された。働く意思を失っている若者の存在は、労働力人口の減少が続く社会において見過ごせない課題であり、継続的な支援体系が求められる状況となっている。

過去の調査では収入が高いほど有配偶率が高いという傾向が確認されてきたが、今回の分析でも同様の傾向が維持されていた。しかし、5年前と比べると全体の有配偶率は低下しており、低収入層だけでなく高収入層でも同じように低下していた。収入にかかわらず結婚しにくい状況が広がっており、若年層のライフコース形成の変化が示唆された。

さらに、就職氷河期世代のキャリアの変化についても分析が行われた。就職氷河期前期を1993〜98年卒、後期を1999〜2004年卒と定義し、今回の分析では後期世代に焦点が当てられた。5年前の状況と今回の状況を比較する疑似コーホート分析が用いられ、氷河期世代のキャリアの変遷が把握された。

男女ともに「他形態から正社員」へ移行した割合が2017年調査より増加しており、初職では非正規であった層が現在は正社員として働いているケースが増えていた。人手不足の影響もあり、長年の課題とされた氷河期世代の安定雇用への移行が進んだと解釈されている。

しかし、当機構が実施した氷河期世代50名へのインタビュー調査では、異なる課題も浮かび上がった。正社員になっても再び非正規や無業に戻る「ヨーヨー型キャリア」が多く、安定した雇用へつながりにくい現状が示されていた。経験が断続的であることから年金の積み重ねも十分ではなく、低年金への不安を抱える声が多かった。

また、働ける間は働きたいという希望を持つ氷河期世代が多く、年金拠出期間45年化の議論や高齢者雇用の支援拡充が不可欠とされる背景が理解できる。こうした声は、現場の生活課題に密接に結びついており、キャリア全体を視点に入れた政策が求められている。

一方、非正規経験が中心の人でも、過去の経験を生かせる仕事を選ぶことで50歳前後から正社員へ転換した事例が複数あり、年齢が理由で道が閉ざされるわけではないことも示された。応募書類で選別されやすい大規模な労働市場では不利な点があるが、面接から始まる小規模な労働市場では雇用主が人柄や経験を直接確認できるため、採用の可能性が高まるという傾向が明らかになった。

希望する職種の幅を広げるための支援や職業訓練の活用が有効であることも示され、働き方の選択肢を柔軟に広げる支援の必要性が強調された。さらに、非正規で働く既婚女性については従来、正社員化へのニーズが低いとされていたが、今回のインタビューでは子育てが一段落したことで正社員を希望する女性が多く、支援対象としての必要性が改めて認識された。

無業者に対しては、仕事を強く押し出さない交流の場が求められていることが共通していたが、求める支援内容には多様性があり、一つの機関だけで対応しきれない状況が示された。そのため、複数の支援機関や地域の場が連携して、柔軟性のある支援環境を整える必要があるとされた。

氷河期世代はバブル崩壊後の不安定な環境に初めて直面した層であり、試行錯誤しながら働き方を模索してきた経験を持っている。この世代への支援が始まったことで、その後の若い世代も支援を受けられるようになり、支援政策の基礎が広がったことは重要な意義があるといえる。

今回得られた知見は、将来の若年者が中年期を迎えた際にも活用できる支援の手がかりとなることが期待されており、今後の社会をより良くするための重要な材料となっている。引き続き、支援の在り方を社会全体で議論し、雇用の安定化に向けた仕組みを整えていくことが求められる。

この記事の要点

  • 若年雇用は改善傾向にある
  • 若年非求職無業者の割合は高止まりしている
  • 高収入層でも有配偶率は5年前より低下した
  • 氷河期世代では正社員への移行が増加している
  • ヨーヨー型キャリアが多く年金不安が強い
  • 50歳前後でも正社員化の事例が確認された
  • 既婚女性も正社員希望が増えている
  • 無業者は多様な交流の場を求めている
  • 支援は複数の機関連携が重要である

⇒ 詳しくは独立行政法人 労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ

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