2026年1月20日
労務・人事ニュース
令和7年11月滋賀県の有効求人倍率1.07倍から考える中小企業採用戦略
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最終更新: 2026年1月19日 09:36
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一般職業紹介状況(令和7年11月分)について(滋賀労働局)
この記事の概要
滋賀県における最新の有効求人倍率の動向をもとに、採用環境がどのような局面にあるのかを整理し、中小企業の採用担当者が今後どのように人材確保に向き合うべきかを解説する。有効求人倍率という指標の読み解き方だけでなく、業種別の求人動向や正社員求人倍率の変化にも触れ、採用活動を「待ち」から「設計するもの」へと転換するための考え方を提示する。
令和7年11月時点で公表された滋賀県の一般職業紹介状況によると、有効求人倍率は1.07倍となり、前月から0.03ポイント上昇した。これは2か月ぶりの上昇であり、県内の雇用情勢が緩やかに持ち直していることを示している。一方で、全国平均の有効求人倍率は1.18倍、近畿全体では1.10倍であることから、滋賀県は全国や近畿と比較するとやや低い水準に位置している。この差は、採用市場における競争環境の違いを考えるうえで重要な視点となる。
有効求人倍率は、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す指標であり、1倍を上回ると企業側が人材を取り合う局面に入っていると一般的に解釈される。滋賀県の1.07倍という数字は、極端な人手不足ではないものの、採用活動を漫然と続けているだけでは人材確保が難しくなりつつある段階にあることを意味している。特に中小企業にとっては、大手企業と同じ条件、同じ手法で採用活動を行っても成果が出にくい状況だと言える。
同じ令和7年11月のデータを見ると、有効求人数は22257人で前月比1.1パーセント増加している一方、有効求職者数は20770人で前月比1.5パーセント減少している。この組み合わせが、有効求人倍率の上昇につながっている。つまり、仕事を探している人の数が減り、企業の求人意欲は一定程度維持されている構図である。中小企業の採用担当者にとっては、「求人を出せば誰かが応募してくる」という時代から、「限られた求職者の中から選ばれる存在になる」ことが求められる局面に入ったと捉えるべきだろう。
産業別に新規求人数の動きを見ると、情報通信業や宿泊業、飲食サービス業、サービス業では前年同月比で増加が見られる一方、製造業や卸売業、小売業、医療・福祉などでは減少している。滋賀県は製造業の集積地としての側面が強いが、その製造業で新規求人が前年同月比13.2パーセント減少している点は見逃せない。これは景気動向やコスト上昇の影響を受け、企業が採用に慎重になっている可能性を示している。しかし裏を返せば、同業他社が採用を抑制している今こそ、自社の魅力を丁寧に発信できれば人材を確保できる余地があるとも考えられる。
また、正社員有効求人倍率は0.86倍となり、前年同月から0.05ポイント上昇し、13か月連続で改善している。正社員に限ると、求職者数が求人をやや上回っている状況ではあるが、倍率は確実に上昇基調にある。この数字から読み取れるのは、正社員として安定した雇用を求める人材が減少傾向にある一方で、企業側は引き続き正社員を求めているというミスマッチである。中小企業の採用担当者は、このミスマッチを単なる「人が来ない理由」として片付けるのではなく、なぜ自社の正社員求人が選ばれにくいのかを具体的に分析する必要がある。
有効求人倍率が1倍を超える局面では、給与水準の引き上げだけで勝負するのは現実的ではない中小企業も多い。そのため、採用活動においては仕事内容の具体性や成長機会、働き方の柔軟性といった要素を言語化し、求職者が働くイメージを持てる情報提供が不可欠となる。例えば、同じ滋賀県内であっても、大津市や草津市など都市部と、湖北地域や湖東地域では通勤環境や生活コストが異なる。こうした地域特性を踏まえ、「この地域で働くことのメリット」を採用情報に反映させることは、有効求人倍率が上昇する中で差別化を図る有効な手段となる。
さらに、新規求人倍率は令和7年11月時点で1.71倍となり、前月から0.05ポイント低下している。この数字は、新たに出された求人に対して新規求職者が相対的に少ないことを示している。中小企業の採用担当者は、この状況を短期的な数字の上下として見るのではなく、中長期的な人材確保戦略を考える材料として活用すべきである。例えば、即戦力採用だけに依存するのではなく、未経験者や若年層を育成前提で採用する仕組みを整えることは、将来的な人手不足リスクを軽減することにつながる。
有効求人倍率のデータは、単なる景気指標ではなく、採用活動の難易度を測る重要な羅針盤である。令和7年11月の滋賀県の状況を見る限り、採用市場は「緩やかに回復しつつも、企業側に工夫が求められる段階」にあると言える。中小企業の採用担当者にとって重要なのは、倍率が高いか低いかという結果だけで一喜一憂するのではなく、その背景にある求職者の動きや業種別の傾向を理解し、自社の採用活動に落とし込む姿勢である。
今後、物価上昇や働き方の価値観の変化が続く中で、求職者が企業を選ぶ基準はさらに多様化していくと考えられる。有効求人倍率が示す数字は、その変化の表層に過ぎない。だからこそ中小企業の採用担当者は、データを冷静に読み解きつつ、自社ならではの強みを再定義し、求職者との接点を丁寧に設計していくことが求められる。有効求人倍率が1.07倍という現実は、厳しさと同時に、採用活動を見直す好機でもあると言えるだろう。
この記事の要点
- 有効求人倍率1.07倍は採用が難化し始めているサインである
- 滋賀県は全国平均より低いが油断できない水準にある
- 正社員有効求人倍率の上昇は採用戦略見直しの必要性を示している
- 業種別動向を踏まえた採用設計が中小企業には不可欠である
- データを活用し自社の魅力を言語化することが人材確保につながる
⇒ 詳しくは滋賀労働局のWEBサイトへ


