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2026年1月31日

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婚姻25年以上で離婚率10%上昇、月額40,000円の年金分割が与えた影響とは

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夫婦間分業の利益と離婚の意思決定:年金分割制度導入に基づくエビデンス(内閣府)

この記事の概要

2007年に施行された年金制度の見直しが、日本の離婚動向にどのような影響を与えたのかについて、最新の分析結果が示された。婚姻期間中に形成された年金権利を離婚時に分割できる仕組みが導入されたことで、特に長期間婚姻を継続してきた世帯を中心に、離婚の発生割合が統計的に増加したことが明らかになっている。本記事では、制度変更の背景、仕組み、具体的な数値、そして社会的な意味について、専門的な分析結果を基にわかりやすく整理する。


2007年4月、日本の公的年金制度において、離婚時の年金分割を認める新たなルールが施行された。この制度改正は、婚姻期間中に積み上げられた厚生年金の保険料記録について、離婚後に最大50%を配分できる仕組みを導入した点に大きな特徴がある。従来は、婚姻中に家事や無償労働を担っていた配偶者が、離婚後に十分な年金を受け取れないという構造的な課題があった。

制度改正前は、離婚時の財産分与において年金が明確に位置付けられておらず、老後の生活資金に対する不安が離婚の抑制要因になっていたとされている。特に長期間専業で家事を担ってきた場合、離婚後に受け取れる年金額は基礎年金部分に限られ、生活水準の大幅な低下が避けられなかった。

新制度では、婚姻期間中に被用者として積み立てられた年金記録を分割対象とし、離婚後も各自の年金として直接受給できる形が採用された。この変更により、離婚後の生活に対する経済的な見通しが立ちやすくなった点が、制度上の大きな転換点となっている。

制度改正の影響を分析した結果、特に婚姻期間が長い世帯において、離婚の発生割合が顕著に上昇したことが確認されている。具体的には、婚姻期間が25年以上の世帯では、制度施行の年から数年間にわたり、離婚の発生割合が約10%から最大で20%程度高まったという結果が示されている。

この傾向は一時的なものではなく、制度施行後2年から3年が経過した後も継続して観測されている点が特徴的である。単に制度開始を待って離婚が集中したという現象ではなく、制度そのものが離婚の意思決定に影響を与えた可能性が高いと考えられている。

また、婚姻期間が20年以上24年未満、15年以上19年未満の世帯においても、程度の差はあるものの、同様に離婚の増加が確認されている。一方で、婚姻期間が短い世帯では、制度改正による明確な変化は限定的であった。

子どもの有無が影響している可能性についても検証が行われたが、未成年の子どもがいるかどうかにかかわらず、長期婚姻世帯では離婚の増加が確認されている。この結果から、子育て要因だけでは説明できず、年金分割による経済的条件の変化が重要な要素であることが示唆されている。

さらに、婚姻期間が同程度であっても、婚姻中に積み立てられた年金額が多い世帯ほど、離婚の増加が大きい傾向が確認された。年金分割によって受け取れる金額が増えるほど、離婚後の生活の見通しが改善されるため、意思決定に影響を与えたと考えられている。

実際の数値としては、年金分割によって離婚後に毎月約40000円相当の年金が新たに受け取れるケースが多く見られた。この増加分を65歳以降の20年間で換算すると、総額で約9600000円に相当する。これは高齢単身世帯が保有する金融資産の平均額と比較しても無視できない水準である。

制度の認知状況についても調査が行われており、制度施行直後の時点で、既婚者の過半数が年金分割制度の存在を把握していたことが明らかになっている。特に婚姻期間が長い層では、制度への関心と理解が相対的に高かった傾向が見られた。

年金分割の実務面を見ると、制度を利用した離婚の大半において、年金は50%ずつ均等に分けられている。全体の9割以上で均等分割が選択されており、制度が想定した形で活用されている実態が確認されている。

この制度改正は、婚姻関係そのものを促進または抑制することを目的としたものではないが、結果として家族の在り方やライフプランに影響を及ぼしている。特に、長年にわたって家事や家庭内労働を担ってきた層にとって、老後の経済的自立の選択肢が広がった点は、社会的にも大きな意味を持つ。

一方で、制度変更が個人の意思決定に影響を与える可能性がある以上、今後の制度設計においては、想定外の行動変化も含めた検証が求められる。年金制度は老後保障の根幹であり、雇用や家族構造と密接に関わるため、継続的なデータ分析と情報提供が重要になる。

この記事の要点

  • 2007年の年金分割制度導入により離婚時の年金配分が最大50%可能になった
  • 婚姻期間25年以上の世帯で離婚の発生割合が10%から20%上昇した
  • 制度施行後も数年間にわたり離婚増加の傾向が継続した
  • 年金分割により月額約40000円相当の年金増加が確認された
  • 老後20年間で約9600000円の受給差が生じるケースがある
  • 長期婚姻世帯ほど制度の影響を強く受けている

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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