2026年3月1日
労務・人事ニュース
令和8年4月1日から高年齢者労災対策を強化する新指針
エラー内容: Bad Request - この条件での求人検索結果表示数が上限に達しました
2026年版指針、職場環境改善と両立支援を含む総合対策ポイント
この記事の概要
2026年2月10日に公示された高年齢者の労働災害防止に関する指針は、事業者に対し、高年齢者の身体機能や健康状態の変化を踏まえた安全対策を求める内容です。安全衛生管理体制の整備、リスクアセスメントの実施、職場環境の改善、健康や体力の把握と適切な業務配分、教育の充実などを柱とし、国や関係機関の支援活用も示されています。
2026年2月10日、高年齢者の労働災害防止を目的とした新たな指針が公示されました。この指針は、労働安全衛生法第62条の2第2項に基づき策定されたものであり、事業者に対して高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善や作業管理の実施を求める内容です。加齢に伴う身体機能や認知機能の変化を踏まえ、労働災害を未然に防ぐための具体的な方向性が体系的に示されています。
本指針では、まず安全衛生管理体制の確立が重要であるとされています。経営層が高年齢者の労働災害防止に取り組む姿勢を明確にし、安全衛生方針にその内容を盛り込むことが求められます。その上で、担当組織や責任者を定め、組織的かつ継続的に対策を進める体制整備が必要とされています。安全衛生委員会等を設置している事業場では調査審議を行い、未設置の場合でも労働者の意見を聴取する機会を設け、労使で話し合うことが望まれています。
さらに、危険源の特定とリスクアセスメントの実施が不可欠とされています。高年齢者の身体機能の低下による転倒や腰痛、暑熱環境での体調不良など、実際の災害事例やヒヤリハット事例を踏まえてリスクを洗い出し、優先順位を定めて対策を講じることが示されています。危険な作業の廃止や変更といった根本的対策を最優先とし、次に設備面の工学的対策、管理的対策、個人用保護具の活用という順で検討する考え方が明確にされています。
職場環境の改善については、照度の確保や段差の解消、手すりの設置、防滑素材の採用など、身体機能の低下を補う設備導入が例示されています。警報音は中低音域を採用するなど聴覚特性への配慮も求められています。暑熱環境では涼しい休憩場所の整備や水分補給の推奨、ウェアラブル機器の活用も挙げられています。重量物取扱いでは補助機器の導入や作業姿勢の見直し、介護作業ではリフト等の活用により抱え上げ作業を抑制することが示されています。
作業管理の面では、短時間勤務や隔日勤務など勤務形態の工夫、無理のない作業スピードの設定、複数作業の同時進行による負担への配慮が求められています。特に暑熱作業では始業時の体調確認や重篤化防止の手順整備が重要とされ、情報機器作業では長時間連続作業を避ける運用が必要とされています。
健康や体力の把握も大きな柱です。雇入時および定期健康診断の確実な実施に加え、結果を丁寧に説明し、自身の健康状態を理解できる支援が望まれています。体力チェックの導入も推奨されており、フレイルチェックや身体機能セルフチェックの活用を通じて客観的な把握を進めることが示されています。ただし、体力情報の取扱いについては適正な管理と本人同意の確保が必要であり、不利益取扱いを防ぐための手続整備が求められています。
個々の健康状態に応じた就業上の措置として、労働時間の短縮や深夜業回数の削減、作業転換などが挙げられています。脳や心臓疾患の発症リスクが加齢とともに増加することを踏まえ、産業医等の意見を聴きながら適切な措置を講じることが重要です。また、治療と就業の両立支援指針に基づく対応も求められています。
安全衛生教育では、雇入れ時教育や技能講習の確実な実施に加え、高年齢者に対しては写真や映像を活用し、十分な時間をかけて理解を深める工夫が必要とされています。管理監督者や共に働く労働者への教育も重要であり、高年齢者の特性や支援機器の理解を促す内容が望ましいと示されています。
加えて、国や関係団体による支援策の活用も明記されています。中小企業や第三次産業の事例紹介、専門家によるコンサルティング、補助制度の活用、社会的評価を高める表彰制度など、多様な支援策が提示されています。労働者数50人未満の事業場に対する地域産業保健センターの支援など、規模に応じた支援体制も整備されています。
本指針は、単なる努力義務の提示にとどまらず、経営層の関与から現場の具体的改善、健康情報の適正管理までを網羅した実践的な内容となっています。高年齢者が安心して働き続けられる環境を整えることは、人材確保や組織の持続的成長にも直結します。採用や人材戦略を担う立場にとっても、年齢にかかわらず安全に働ける体制整備は企業価値を左右する重要な経営課題といえるでしょう。
この記事の要点
- 2026年2月10日に高年齢者の労働災害防止指針が公示された
- 労働安全衛生法第62条の2第2項に基づき策定された
- リスクアセスメントは危険作業の廃止を最優先に検討する
- 照度確保や段差解消など具体的な設備改善が示された
- 雇入時および定期健康診断の確実な実施が求められる
- 体力チェックの活用と情報の適正管理が重要とされた
- 労働者数50人未満の事業場には地域産業保健センターの支援がある
参考:高年齢者の労働災害防止のための指針(高年齢者の労働災害防止のための指針公示第1号)
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ


