2026年3月19日
労務・人事ニュース
令和8年1月秋田県有効求人倍率1.23倍から考える高齢者雇用の可能性
令和8年1月秋田県有効求人倍率1.23倍と産業別求人動向
令和8年3月3日、秋田労働局は令和8年1月分の一般職業紹介状況を公表した。今回の発表によると、秋田県の受理地別有効求人倍率は季節調整値で1.23倍となり、前月比0.03ポイント上昇した。全国平均の1.18倍を上回り、都道府県別順位では47都道府県中18位となっている。また、就業地別有効求人倍率は1.34倍で前月比0.01ポイント上昇し、全国順位は17位であった。求人が求職を上回る状況は継続しているが、秋田労働局は、求人は求職を上回って推移しているものの、緩やかに減少しており、物価上昇など外部要因の影響に注意が必要だとしている。
月間有効求人数は19,568人で、前年同月比2.7%増の520人増加となり、38か月ぶりに前年を上回った。新規求人数は8,626人で前年同月比10.2%増、798人の増加である。これに対し、月間有効求職者数は15,568人で前年同月比4.3%増の646人増加、新規求職者数は4,481人で前年同月比7.5%増の314人増加となった。求人と求職の双方が増加しているが、求職者の増加幅も無視できない規模であり、企業側の採用活動は依然として工夫が求められる局面にある。
産業別の新規求人を見ると、建設業は935人で前年同月比4.4%増、製造業は778人で0.5%増と底堅い動きを示している。一方、運輸業・郵便業は367人で3.2%減、宿泊業・飲食サービス業は703人で4.9%減、生活関連サービス業・娯楽業は252人で26.3%減となった。医療・福祉は1,580人で2.1%減少したが、依然として全産業の中で高い水準を維持している。公務は1,340人で前年同月比184.5%増と大きく伸びた。事業主からは、受注は安定しているものの人材確保が難しい、従業員の高齢化が進んでいる、物価高騰や除雪費用の増加が経営を圧迫しているといった声が寄せられている。
地域別に常用の受理地別有効求人倍率を見ると、能代は1.76倍で最も高い。県北地域は1.45倍、中央地域は1.19倍、県南地域は1.08倍である。就業地別では能代が1.91倍、県北1.64倍、中央1.26倍、県南1.23倍となっており、受理地との間に差が生じている。局計の常用有効求人倍率は1.21倍であり、地域間での人材移動や求人受理の所在地の違いが数値に影響している。
職業別では、建設・採掘従事者の有効求人倍率は4.28倍、保安職業従事者は5.45倍と高水準である。建築・土木・測量技術者は9.35倍と極めて高く、慢性的な人手不足が続く。一方、事務従事者は0.59倍、運搬・清掃・包装等従事者は0.56倍と1倍を下回っている。IT関連計は1.20倍、福祉関連計は2.30倍であり、専門性の高い分野や対人サービス分野で需要が強いことが分かる。
求職者の内訳を見ると、在職者は1,903人で前年同月比30.2%増加している。転職を視野に入れた求職活動が活発化していることを示す数字である。事業主都合離職者は469人で15.8%減少し、雇用調整による離職は抑制されている。65歳以上の新規求職者は824人で11.8%増加しており、高齢層の就労意欲の高さも確認できる。45歳以上の就職件数は562件で、全体の半数以上を占めている。
令和8年1月の秋田県有効求人倍率1.23倍という水準は、企業にとって依然として人材確保が容易ではない環境を意味する。ただし、求職者数も増加傾向にあることから、募集方法や訴求内容を見直すことで成果を高められる余地もある。例えば、建設関連のように倍率が4倍を超える職種では、賃金、年間休日数、残業時間、資格取得支援制度などを具体的な数字で明示し、長期的なキャリア形成の道筋を示すことが重要である。抽象的な表現ではなく、実績や制度内容を明確に伝えることで応募者の安心感につながる。
事務職など倍率が1倍を下回る分野では、応募は比較的集まりやすい可能性があるが、採用後の定着を見据えた選考と育成が求められる。評価制度や昇給基準を明確にし、入社後の研修内容を具体的に示すことで、ミスマッチの防止につながる。転職希望者が増加している現状を踏まえれば、即戦力人材に対する柔軟な処遇や職務内容の明確化も有効な戦略となる。
また、高齢求職者が増加している点は、企業にとって新たな選択肢となる。短時間勤務や専門分野での限定的な業務設計など、多様な働き方を用意することで人材確保の幅は広がる。人口減少が進む秋田県においては、年齢や経歴にとらわれない採用姿勢が持続的な経営を支える。
有効求人倍率は地域経済の動向を示す重要な指標である。令和8年1月の秋田県有効求人倍率1.23倍、就業地別1.34倍という数値は、売り手市場の構図が続く中でも変化の兆しがあることを示している。中小企業の採用担当者は、公的統計に基づく客観的なデータを活用し、自社の採用条件や働き方を具体的な数字で示しながら、地域特性に応じた戦略を構築することが求められる。丁寧で透明性の高い情報発信が、これからの採用活動の成否を分ける鍵となる。
⇒ 詳しくは秋田労働局のWEBサイトへ


