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2026年3月19日

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令和8年4月全国両立支援努力義務と法改正ポイント

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令和8年4月全国両立支援努力義務に向けた準備事項

令和8年4月1日から、改正労働施策総合推進法に基づき、職場における治療と就業の両立支援の取組が事業主の努力義務となる。令和7年法律第63号として成立した改正法を受け、令和8年厚生労働省告示第28号で示された「治療と就業の両立支援指針」に沿った対応が求められることになる。これまで両立支援は推奨事項の位置づけにとどまっていたが、今後は全ての事業主が社内体制の整備や必要な措置を講じることが前提となる。制度改正は、企業規模を問わず広く影響するため、とりわけ人事労務体制が限られる中小企業にとっては、早期の理解と準備が重要である。

近年、がんなどの疾病を抱えながら働く労働者は増加傾向にある。高齢者の就労拡大を背景に、治療を継続しながら職業生活を維持するケースは珍しいものではなくなった。一方で、職場の理解不足や制度未整備により、就業継続を断念せざるを得ない事例も少なくない。今回の努力義務化は、こうした現状を踏まえ、企業が主体的に環境整備を進めることを促す狙いがある。両立支援とは、労働者本人からの申出を前提に、相談に応じ、必要な就業上の配慮や勤務調整を行いながら、治療と仕事を両立できる体制を整える取組である。

具体的には、企業トップによる方針表明、研修を通じた社内啓発、相談窓口の明確化、休暇制度や勤務制度の整備などが挙げられる。時間単位の有給休暇、病気休暇、時差出勤、テレワーク、短時間勤務といった柔軟な働き方の選択肢を整えることが想定されている。また、個別対応では、勤務情報提供書や主治医意見書を活用し、産業医等の専門職と連携しながら両立支援プランを作成する流れが示されている。就業継続の可否や就業上の措置は、主治医意見書を踏まえ、労働者と十分に話し合った上で、最終的には事業主が判断することになる。個人情報保護への配慮も欠かせない。

この制度改正は、単に法令遵守の観点にとどまらない。労働者の健康確保と就業継続を支えることは、社員全体の安心感やモチベーション向上につながり、結果として人材定着率の向上や生産性向上をもたらす可能性がある。中小企業にとって、熟練人材の離職は大きな損失である。治療を理由に退職するのではなく、働き続けられる環境を整えることは、経営戦略の一環と捉えるべき課題である。

厚生労働省が運営するポータルサイト「治療と仕事の両立支援ナビ」では、指針に沿った実践的ガイダンスや企業事例が紹介されている。都道府県産業保健総合支援センターには、社労士、心理職、保健師等の専門スタッフが配置され、研修や相談、事業場訪問による制度導入支援、個別支援プランの作成支援が無料で提供されている。さらに、両立支援コーディネーター養成研修はウェブで受講可能であり、人事労務担当者や産業保健スタッフが専門性を高める機会となる。地域両立支援推進チームによるイベントや情報提供も活用できる。

中小企業の採用担当者にとって、この制度改正は採用戦略にも直結するテーマである。労働市場が流動化する中、求職者は企業の働きやすさや支援体制を重視する傾向が強まっている。求人票や企業説明の場で、両立支援に関する方針や制度内容を具体的に示すことは、企業の信頼性を高める要素となる。例えば、時間単位有給休暇制度の有無やテレワーク制度の利用実績、両立支援プラン策定件数などを明確に伝えることが有効である。

また、有効求人倍率が高水準で推移する地域では、人材確保競争が激しい。そうした環境下で選ばれる企業となるためには、単に賃金や待遇を提示するだけでなく、長期的な就業支援体制を整えていることを示す必要がある。治療と就業の両立支援に積極的に取り組む姿勢は、企業の社会的責任を果たす証であり、求職者や取引先からの評価にも影響する。

一方で、制度整備にはコストや人的負担が伴うとの懸念もある。しかし、専門機関の無料支援や様式例の活用により、負担を軽減することは可能である。初期段階では、トップの方針表明と相談窓口の明確化といった基本的な対応から着手し、段階的に制度を充実させる方法も現実的である。重要なのは、形式的な整備にとどまらず、実際に機能する体制を築くことである。

令和8年4月1日という施行日までに、各企業は自社の現状を点検し、必要な準備を進めることが求められる。治療と就業の両立支援は、一部の企業だけの課題ではなく、全ての事業主に関わるテーマである。働く人が安心して治療と仕事を両立できる環境を整えることは、企業の持続的成長と地域社会の安定に直結する。中小企業こそが、柔軟性と迅速な意思決定を活かし、先進的な取組を進める余地がある。今回の努力義務化を契機に、採用と定着を一体で捉えた人材戦略を再構築することが、これからの企業経営において不可欠となる。

⇒ 詳しくは群馬労働局のWEBサイトへ

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