2026年3月27日
労務・人事ニュース
2026年の北海道雇用動向、有効求人倍率0.77倍と求職者20%増が示す企業採用の難しさと観光業求人増加
景気ウォッチャー調査(令和8年2月調査)― 北海道(現状)―
2026年2月に実施された景気ウォッチャー調査により、北海道の地域経済の現状が明らかになった。この調査は地域の事業者や従業員など現場に近い立場の人々の声をもとに景気の状況を把握するもので、観光、販売、サービス、製造、雇用など幅広い分野の動向を確認することができる。
今回の調査では、観光関連を中心に来客数が増えるなど景気がやや上向いていると感じる声がみられた。特に冬の観光シーズンでは天候条件に恵まれたこともあり、来客数が想定を約40%上回る見込みとなったという報告があり、観光需要の強さが地域経済の一部を支えている状況が示された。
小売分野でも、天候の改善に伴って来店客が増えたとの声がある。衣料品や住宅関連商品など食料品以外の分野で消費意欲の回復を感じるという意見もあり、消費行動には一定の改善が見られる。ただし、価格の高い商品と安い商品の売れ方の差が広がるなど、消費の二極化が進んでいるとの指摘もある。
また、インバウンド需要の影響も見逃せない。外国人観光客の増加により店舗の来客数や客単価が上昇し、売上が前年より伸びているという報告があった。一方で、中国からの訪日客が減少している影響を指摘する声もあり、地域によっては観光客数の変化が景気に影響している。
自動車販売の分野では、新車と中古車の販売台数が前年と比べて約30%増加したという報告があった。ただし、販売が回復しているとはいえ、景気が良いと言える水準までには達していないという慎重な見方も示されている。
一方で、物価上昇の影響を指摘する声も多い。食料品やエネルギー価格の上昇により消費者の節約志向が強まっており、外食や衣料品などの支出が抑えられる傾向が見られている。商品の値引きやセール品を選ぶ客が増えているという声もあり、家計の慎重な姿勢が景気に影響している。
住宅関連分野では、建築費の高止まりや住宅ローン金利の上昇により購入を見送る動きがあると指摘された。住宅の着工件数が伸び悩んでいるとの声もあり、住宅市場の動きは地域経済にとって重要な課題となっている。
企業活動の面では、建設業で受注工事の完工が進み利益が計画を上回る見込みという報告もある一方、資材価格の上昇や人手不足が課題として挙げられている。作業員不足により案件に対応できないという状況もあり、労働力確保の難しさが企業活動の制約となっている。
雇用関連の動向を見ると、求人数と求職者数の双方に変化が見られる。人材派遣会社の報告では求人数が増加傾向にある一方、求職者の登録件数は3か月前と比べて約20%増加しており、年明け以降に転職活動を再開する人が増えているとみられている。
企業と求職者の面接件数も3か月前と比べて約10%増加しており、企業の採用意欲は大きく変わっていない状況が確認された。ただし採用基準は以前より厳しくなっており、企業が慎重に人材を選ぶ傾向が強まっている。
求人の職種を見ると、営業職と管理系職種がほぼ半々となっているという報告があり、企業が組織運営や事業拡大に必要な人材を幅広く求めている状況がうかがえる。
一方で求人市場には弱い動きも見られる。求人情報誌の関係者からは求人広告の掲載申込件数が長期的に微減傾向にあるという指摘があり、新規採用が難しい企業では新卒採用を見送り中途採用に切り替える動きも出ている。
公共職業安定所の報告によると、地域の1月の有効求人倍率は0.77倍となり、前年を0.07ポイント下回った。前年を下回る状況は6か月連続となっており、雇用環境にはやや慎重な動きが見られる。
さらに新規求人数については前年10月からの4か月のうち3か月で前年比10%台の減少となるなど、求人数の落ち込みが続いているという指摘もある。こうした状況から景気についてやや悪化していると感じる声も出ている。
ただし業種によっては求人が増加している分野もある。宿泊サービス業では求人数が増えており、外国人観光客の増加など観光需要の回復が雇用にも影響している可能性があるとみられている。
このように北海道の景気は観光や一部サービス業で回復の兆しが見られる一方、物価上昇や消費の慎重姿勢、求人数の減少など複数の要因が重なり、分野ごとに状況が異なる状態となっている。企業の採用活動や求職者の動きなど雇用市場の変化は、今後の地域経済を見通すうえで重要な指標となる。
企業側では人手不足を感じながらも採用基準を厳しくする傾向があり、採用活動の効率化や人材確保の戦略が重要な課題となっている。観光需要や地域経済の動向が雇用市場にどのような影響を与えるのか、今後の推移が注目される。
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