2026年3月28日
労務・人事ニュース
2026年2月北陸の求人市場分析 売上8.5%増の商店街と有効求人倍率低下が示す採用環境の変化
景気ウォッチャー調査(令和8年2月調査)― 北陸(現状)―(内閣府)
2026年2月に公表された北陸地域の景気ウォッチャー調査では、小売業や観光業、製造業、雇用関連機関など地域経済の現場で働く担当者の声を基に、足元の景気動向が詳しくまとめられている。実際の商取引や顧客動向を日々観察している担当者の判断が反映されているため、統計だけでは把握しにくい地域経済の実態を理解する上で重要な情報となっている。今回の調査では、観光需要やイベント需要に支えられて売上が増加している分野がある一方、物価上昇やインバウンドの変化、人材不足などが企業活動に影響を与えている様子が明らかになった。
北陸地域では、小売や観光関連の一部で売上の回復が見られている。商店街では売上が前年同月比で約8.5%増加しており、比較的堅調に推移しているとの報告がある。春節の時期にあたる2月は、中国からのインバウンドによる免税売上が前年より約4割減少したものの、台湾や欧米、南米など他の地域からの訪日客が増加し、日本人観光客の購買意欲も高かったことから、全体として売上は維持されている。訪日客の国籍が多様化していることにより、観光需要の構造が変化している点が特徴的である。
飲食業では、天候の影響を受けながらも来客数が回復する動きが見られた。2月上旬は大雪や衆議院選挙などの影響で外出を控える傾向があったものの、中旬以降は人の動きが活発化し、飲食店の来客数が増加したという声が聞かれている。高級レストランでは、隣県からの来客が増えたことにより、後半の三連休の集客がゴールデンウィーク並みとなったとの報告もあり、観光やイベント需要が飲食業の売上を押し上げている。
百貨店ではバレンタインデー商戦が好調に推移し、過去最高の売上を記録した店舗もある。前年は大雪の影響で来客数が減少していたため、その反動もあり国内売上は堅調に推移している。ただしインバウンド売上は低迷しており、数年前の水準には届いていない。さらに物価上昇の影響により、消費者が商品を慎重に選んで購入する傾向が続いている。
小売業全体では、消費の二極化が進んでいることが指摘されている。食品は比較的堅調に売れている一方で、衣料品や雑貨などの分野では消費が伸び悩んでいる。物価上昇によって商品単価が上がるなか、消費者は必要な商品だけを厳選して購入する傾向が強まっている。また値引き時間帯に客が集中するなど、価格を重視した購買行動も広がっている。
自動車販売では春先需要を見込んだイベントが増えており、3か月前と比較すると販売量は増加している。ただし新車や中古車の供給不足が続いているため、登録台数は前年より落ち込んでいる。自動車販売の繁忙期は例年1月から3月に集中するが、納車までの期間が長期化している影響により、販売のタイミングが分散する傾向も見られている。
住宅関連では、建築資材価格の上昇や人件費の増加が販売価格を押し上げており、消費者が住宅購入に慎重になっているという声がある。展示場の来場者数も低迷しており、複数社合同のイベントでも集客が振るわない状況が続いている。金利の上昇傾向もあり、住宅ローンを検討する顧客の動きが鈍化していることが背景にあるとみられている。
企業活動の面では、製造業の一部で受注が増加している。電気機械器具製造業では量産品の受注が以前と比べて約10%弱増加しており、産業用機器関連の需要が伸びているという報告がある。精密機械器具製造業でも首都圏を中心に販売量が増加しており、製造業の一部では安定した需要が維持されている。
一方で、すべての企業が好調というわけではない。金融機関の担当者からは、企業の売上は価格転嫁によって増加しているものの、仕入価格や人件費の上昇によって利益率が悪化しているとの指摘がある。また能登半島地震の影響を受けた企業では、震災前の売上水準に回復していないケースもあり、地域経済の回復には時間がかかる可能性がある。
雇用環境については、企業の人手不足が引き続き課題となっている。職業安定所によると、専門技術を必要とする分野では人材不足が深刻であり、自動車の板金修理などでは人手不足のため修理作業が滞る状況もある。一方で宿泊清掃など一部の職種ではインバウンド減少の影響で仕事量が減少しているという声もあり、業種によって雇用状況に差が生じている。
求人数や求人倍率の動向については、前年と比べて有効求人数や有効求人倍率が徐々に低下しているとの報告がある。人件費や原材料費、燃料費、光熱費などのコスト上昇が企業経営を圧迫しており、採用活動に慎重になる企業が増えていることが背景にある。ただし中小企業では依然として人手不足感が強く、求人はあるものの求職者との条件が合わず採用に至らないケースも多いとされる。
民間の職業紹介機関によると、求人自体は一定数存在しているものの、求職者の希望条件と企業側の求める条件が一致しないため、マッチングが難しい状況が続いている。企業側も採用基準を厳しくする傾向が見られ、求職者のスキルや経験を重視する採用が増えている。
今回の調査結果から見える北陸地域の経済は、観光需要や製造業の一部で回復の兆しが見られる一方、物価上昇や人材不足、インバウンド構造の変化など多くの要因が複雑に影響している状況にある。企業の採用担当者にとっては、有効求人倍率や求人動向を継続的に把握しながら、採用条件の見直しや人材育成などの取り組みを進めることが重要になっている。地域経済の持続的な成長のためには、人材確保と生産性向上を両立させる採用戦略が今後ますます求められていくと考えられる。
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