2025年8月19日
労務・人事ニュース
令和7年10月3日から長野県最低賃金が1,061円に引き上げ、過去最大の63円増
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最終更新: 2025年8月24日 18:08
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最終更新: 2025年8月25日 00:43
長野県最低賃金「時間額1,061円」を答申 ~過去最大63円の引き上げ幅~(長野労働局)
この記事の概要
長野県において、最低賃金が過去最大の引き上げ幅となる63円増の時給1,061円へ改定される見通しとなりました。この動きは労働者の生活安定を図るとともに、企業の賃上げ努力を支援する政策の一環です。施行は令和7年10月3日が予定されております。
令和7年10月3日より、長野県における最低賃金が現行の998円から63円引き上げられ、1,061円となる見込みです。この改定は、長野地方最低賃金審議会からの正式な答申に基づき、長野労働局が進めている最低賃金改定の手続きの一環として行われています。今回の63円という引き上げ額は、長野県において過去最大となり、引き上げ率にして6.31%という高い水準です。この大幅な賃金改定は、労働者の生活の質向上に大きく寄与するだけでなく、企業にとっても人材確保の観点から重要な転換点となる可能性があります。
この答申に至るまでには、複数日にわたる審議が行われ、7月29日、30日、8月4日、5日、7日の合計5日間、専門部会において金額について集中的な議論が重ねられました。これらの議論を経て、長野地方最低賃金審議会が最終的に答申をまとめたことで、制度改正に向けた準備が整ったかたちです。
最低賃金の見直しは全国的な動きであり、長野県を含む「Bランク」とされる地域は、中央最低賃金審議会から厚生労働大臣に提出された目安答申において、共通して63円の引き上げが適当とされました。こうした国の方針を踏まえつつ、各地方においても個別の経済状況や労働市場の実態を考慮した上で審議が行われています。したがって、今回の改定は単なる数値の変更にとどまらず、地域経済全体への影響を見据えた政策判断でもあります。
さらに、今回の最低賃金の引き上げにあたっては、中小企業や小規模事業者が賃金改定に適応できるよう、国や地方自治体による支援策も強化されています。代表的なものとして、「業務改善助成金」があります。この制度は、企業の生産性向上を目的とした設備投資(例:POSシステムの導入や機械設備の更新)を支援するもので、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた企業に対して、投資費用の一部が助成される仕組みとなっています。この助成金の申請は長野労働局 雇用環境・均等室が窓口となっており、企業は制度を活用することで、財政的負担を軽減しつつ労働環境の整備を進めることが可能となります。
もうひとつの重要な支援策が、「キャリアアップ助成金」です。こちらは、有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用者に対して、正社員化や処遇改善などを図る企業の取り組みに対して助成を行うものです。企業内での人材育成や雇用の安定化を促進する狙いがあり、申請窓口は長野労働局職業安定部職業対策課が担当しています。これにより、最低賃金の引き上げと並行して、労働者一人ひとりのキャリア形成や働き方の質の向上にも目が向けられています。
さらに、長野労働局では「長野働き方改革推進支援センター」を通じて、助成金活用に関する無料相談、訪問コンサルティング、セミナーの実施などをワンストップで提供しています。こうした包括的なサポートにより、企業は法改正に迅速に対応できるだけでなく、持続可能な働き方の実現へ向けた取り組みも後押しされます。
これらの支援制度を上手に活用することによって、中小企業や小規模事業者は賃金引き上げによるコスト増の影響を抑えながら、労働環境の改善や企業の競争力強化を図ることが可能です。一方で、制度利用には一定の手続きや条件が求められるため、情報収集と事前の準備が重要となります。労働局ではこれらの支援策の周知にも力を入れており、経営者が迷わず活用できるよう、支援体制の整備を進めています。
過去5年間の長野県における最低賃金の推移を見てみると、令和3年には877円だった水準が、令和4年には908円、令和5年には948円、令和6年には998円と、着実に引き上げられてきました。そして令和7年には1,061円となることで、5年間で184円、約21%の上昇となります。このように継続的な賃上げは、企業にとっては経営上の課題となる一方、労働者にとっては生活の安定と将来設計の見通しを立てやすくなる効果が期待されます。
また、今回の改定は地域全体の賃金水準にも波及効果をもたらすと考えられています。最低賃金が上昇することで、非正規雇用者だけでなく、すでに最低賃金を上回る給与水準で働く労働者の賃金も見直される可能性があります。結果として、地域全体の所得水準が底上げされ、消費の活性化や地域経済の成長にもつながる好循環が期待されます。
労働環境の改善とともに、企業の生産性向上を支える仕組みが同時に整備されていくことは、持続可能な地域社会の構築において極めて重要です。今後、労働市場の流動化や少子高齢化といった社会課題が深刻化する中で、こうした制度が果たす役割はますます大きくなるでしょう。長野県の取り組みは、全国の他地域にとっても参考となる先進事例といえます。
この記事の要点
- 令和7年10月3日より長野県の最低賃金が1,061円に引き上げられる
- 引き上げ額は過去最大の63円で、引き上げ率は6.31%
- 業務改善助成金により設備投資費用の一部を助成
- キャリアアップ助成金で非正規労働者の処遇改善を支援
- 働き方改革推進支援センターが助成金の相談やセミナーを無料で実施
- 中小企業や小規模事業者への支援体制が強化されている
- 地域全体の所得水準向上と経済活性化が期待される
⇒ 詳しくは長野労働局のWEBサイトへ