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2025年9月4日

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令和7年12月1日から長崎県最低賃金 時給1,031円、78円アップ

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長崎県最低賃金の改正答申について ー 78円引き上げて1時間1,031円に ー(長崎労働局)


この記事の概要

長崎労働局は、2025年12月1日から適用される新たな最低賃金額を時給1,031円とする改正案を公表しました。これは前年比で78円の引き上げとなり、過去最大の上昇幅です。中央最低賃金審議会が示した目安を上回るこの引き上げは、地域経済や雇用情勢を丁寧に分析したうえでの判断であり、長崎県における労働環境の質的向上を目指す重要な一歩となります。


長崎労働局が発表した今回の最低賃金改正案は、物価上昇や人手不足といった社会的課題に対応するための具体的な施策のひとつです。改正後の最低賃金は時給1,031円となり、現行の953円から78円の増額となります。この引き上げ幅は過去5年間の中でも最大で、引き上げ率にして8.18%という非常に高い水準です。これは、これまでの令和3年度から令和6年度までの引き上げ率がいずれも3%〜6%台で推移していたことと比較しても、その急激な伸びが際立っています。

この改正案は、長崎地方最低賃金審議会による審議と答申を経て策定されたものであり、その背景には中央最低賃金審議会が示した引き上げの目安額64円という指針があります。しかし、今回の改正ではその目安を14円も上回る結果となりました。審議会は、長崎県内における賃金水準の実態、地域の経済成長率、企業の支払い能力、そして何よりも生活コストの上昇といった社会情勢を丁寧に調査し、それらを総合的に考慮した上で最終的な判断を下しました。

このような決定は、労働者の生活を守ると同時に、企業に対しても持続可能な人材確保と健全な雇用環境づくりを促すものです。特に中小企業にとっては負担増になる可能性もありますが、長期的には従業員の定着率や労働意欲の向上につながると期待されています。また、最低賃金の上昇は消費活動の活性化をもたらし、地域経済全体に好循環をもたらす要因となるでしょう。

今回の引き上げは、長崎県にとっても重要な転換点と言えます。2021年(令和3年)には最低賃金は821円であり、そこからわずか5年間で210円もの増額が行われたことになります。この急速な上昇は、国全体としての賃金底上げ政策に沿った動きであり、地方においても格差是正と生活水準の向上を目指す取り組みが本格化していることを示しています。

とはいえ、賃金の引き上げにはさまざまな課題も伴います。例えば、労働集約型の産業を中心とする企業では、人件費の増加が経営を圧迫する可能性があり、価格転嫁が難しい場合には利益率の低下に直結するリスクがあります。また、パートタイムやアルバイトを多く雇用するサービス業では、雇用調整や時間短縮といった対応を迫られることも予想されます。こうしたリスクに備え、行政側としても中小企業向けの助成制度や労務管理に関する支援策を強化する必要があるでしょう。

一方で、求職者にとっては今回の改正は歓迎すべき変化です。特に若年層や非正規雇用者にとって、最低賃金の上昇は実質的な所得増加につながり、働く意欲やキャリア形成への意識向上が期待されます。また、外国人労働者にとっても、日本で働く上での魅力が増すことになり、人手不足の緩和にも貢献する可能性があります。企業にとっては、賃金水準を引き上げることで人材確保がしやすくなる一方で、それに見合った職場環境の整備や福利厚生の充実がより一層求められることになります。

今後、今回の答申に基づき、長崎労働局は関係機関と連携しながら必要な手続きを進めていく予定です。正式な改正は令和7年12月1日から施行される見通しで、それまでの間に周知活動や説明会の実施が行われると見られます。事業者はこの期間を活用して、自社の賃金体系の見直しや予算の再構築、人事戦略の再考などを進めることが求められます。また、労働者との対話を重視し、安心して働ける環境を整備することも重要な取り組みのひとつとなります。

最低賃金の引き上げは単なる数字の変更にとどまらず、地域の経済構造や社会全体に広く影響を及ぼす政策的な判断でもあります。長崎県においても今後の景気動向や労働市場の変化に柔軟に対応しつつ、持続可能な賃金政策の実現に向けた取り組みが求められるでしょう。今回の答申がその第一歩となり、地域社会全体が恩恵を受けられるような形での展開が期待されています。

この記事の要点

  • 長崎県の最低賃金が78円引き上げられ時給1,031円となる
  • 引き上げ率は過去最大の8.18%である
  • 新賃金は2025年12月1日から施行予定
  • 中央審議会の目安を14円上回る答申がなされた
  • 労働者の生活支援と企業の人材確保を両立する目的がある
  • 企業には事前準備と労務管理の見直しが求められる
  • 最低賃金の上昇は地域経済への好影響も期待される

令和7年度 日本全国の都道府県地域別最低賃金はこちら

⇒ 詳しくは長崎労働局のWEBサイトへ

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