労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 令和7年11月16日より 奈良県最低賃金が過去最大65円引き上げで時給1051円に

2025年8月19日

労務・人事ニュース

令和7年11月16日より 奈良県最低賃金が過去最大65円引き上げで時給1051円に

Sponsored by 求人ボックス

令和7年度 奈良県最低賃金の改正決定について(答申)~時間額65円引上げ1051円へ~(奈良労働局)


この記事の概要

奈良県における令和7年度の最低賃金が65円引き上げられ、時間額1051円に改定されることが決定されました。この改定は中央最低賃金審議会の目安に基づきつつ、地域の実情を踏まえた審議の結果として答申されました。


奈良県における最低賃金の改定が正式に決定されました。奈良地方最低賃金審議会は、令和7年8月8日に開催された第515回の会合において、奈良県内の最低賃金を現在の時間額986円から65円引き上げ、1051円とする答申を行いました。これは引き上げ率に換算すると6.59%に相当し、過去10年間における引き上げ額および率としても極めて高い水準です。

今回の引き上げは、令和6年度の50円(5.34%)引き上げを上回る内容であり、物価上昇や人手不足といった現在の経済状況を背景に、生活の質を維持するための最低限の保障として見直されたものです。特に注目すべきは、中央最低賃金審議会が奈良県に対して示した目安が63円の引き上げだったにもかかわらず、それを上回る65円という引き上げ額が答申された点です。この判断は、労働者の実態や雇用環境、地域経済の持続可能性を総合的に考慮した結果であり、極めて慎重かつ現実的な対応であると評価されます。

奈良労働局は、この答申に基づき、同日付けで「奈良地方最低賃金審議会の意見に関する公示」を行いました。この公示では、最低賃金改定に異議のある労使関係者に対し、8月25日までに異議申出書の提出を求めています。異議が提出されなければ、改定は官報への公示を経て、令和7年11月16日より正式に適用される見通しです。万が一、異議が出された場合には、再び審議会での審議が行われることとなります。

今回の審議に至るまでには、専門部会と本審議会において複数回にわたる議論が重ねられました。7月11日の諮問から始まり、7月29日、8月1日、8月5日、8月7日、そして最終的には8月8日に専門部会が結審され、本審議会における答申という流れです。このプロセスには関係労使の意見聴取も含まれており、表面的な数値の検討だけでなく、実際に働く人々の声や経営者の実情も丁寧に反映された結果であることがわかります。

奈良県における最低賃金の推移を振り返ると、その動きは年々着実な上昇傾向を示しています。平成28年度には時間額762円であったものが、令和元年度には837円、令和4年度には896円、そして令和6年度には986円と、近年特に加速度的に上昇しているのが特徴です。令和2年度のみ、引き上げがわずか1円(0.12%)と抑制された年度がありましたが、これは新型コロナウイルスの感染拡大による経済的な停滞が主な要因と考えられています。その後の年度では一貫して30円以上の引き上げが続いており、令和7年度の65円引き上げはこの流れの中でも特に大きな動きといえるでしょう。

この最低賃金の上昇は、労働者にとっては生活の安定を図る上で非常に心強いものとなる一方、企業、特に中小企業にとっては人件費の負担が増すことにもなります。採用活動や人材確保の戦略にも見直しが求められる局面が到来しているといえるでしょう。採用担当者にとっては、今回の賃金改定を単なるコスト増と捉えるのではなく、賃金水準の見直しを通じて労働環境の魅力を高め、優秀な人材の確保や定着に繋げる好機と捉えることが重要です。

また、最低賃金の上昇は、地域経済の活性化にも波及効果をもたらす可能性があります。賃金が上がれば消費者の可処分所得も増え、地元での消費拡大が期待されます。これはひいては企業の売上向上にも寄与し、地域全体の経済循環が促進される構図となります。その意味でも、今回の賃金改定は単なる数字の変化にとどまらず、社会全体に対する好影響を含んだ施策であるといえるのです。

とはいえ、最低賃金の上昇は全ての企業にとって歓迎されるものではありません。特に人件費が経営に占める割合の高い業種、たとえば介護、飲食、小売などの分野では、賃金負担が収益を圧迫する懸念もあります。そのため、企業には適切な価格転嫁や業務効率化などの経営努力が求められます。また、国や自治体による中小企業向けの支援策の拡充も重要であり、制度と現場の双方から課題に向き合う必要があります。

加えて、今回の改定が実際に適用されるのは11月16日以降となりますが、それまでの期間に企業は新たな賃金体系への対応を進める必要があります。従業員への説明や給与規程の改定、採用条件の見直しなど、準備すべき事項は多岐にわたります。労使間の合意形成を丁寧に進めるとともに、透明性の高い情報提供を行うことで、職場内の信頼関係を損なわない対応が求められます。

さらに、最低賃金の引き上げが採用活動に与える影響も見逃せません。特に正社員だけでなく、パートタイムやアルバイトといった非正規雇用の労働条件の見直しが必要となるため、求人票や労働契約書の内容も見直されることが想定されます。これにより、求職者側の期待値も変化することが予想され、人材マーケット全体の動向にも波が及ぶこととなるでしょう。

今回の答申は、最低賃金のあり方について改めて社会的な議論が求められていることを示しています。働くことの価値や、地域で暮らす人々の生活の質をどう守っていくのかという視点から、最低賃金の役割はますます重要性を増しています。企業、労働者、行政が一体となって持続可能な社会づくりを進めていく中で、賃金政策のあり方もまた柔軟に、かつ確実に進化していく必要があるのです。

この記事の要点

  • 令和7年度の奈良県最低賃金は65円引き上げられ1051円となる
  • 改定率は過去最大級の6.59%である
  • 11月16日より新賃金が適用される予定である
  • 異議申し出期間は8月25日までである
  • 企業には対応準備が求められている
  • 引き上げは中小企業にとって負担増となる一方、労働環境改善にも繋がる
  • 地域経済の活性化にも期待が寄せられている

⇒ 詳しくは奈良労働局のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ
それ以外はこちら