2025年9月15日
労務・人事ニュース
佐賀県の令和6年度、労働相談件数が9,001件に到達、前年比2.6%増
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最終更新: 2025年9月15日 00:33
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「令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況」等を公表します(佐賀労働局)
この記事の概要
佐賀労働局は、令和6年度における個別労働紛争解決制度の施行状況を公表しました。総合労働相談は前年度よりも増加し、高止まりの傾向が見られます。一方で、助言・指導およびあっせんの申請件数は減少しており、労働者と事業主の間にあるトラブルの性質が変化していることがうかがえます。制度の運用実績から、迅速かつ効果的な解決に向けた取り組みが続いています。
令和6年度における個別労働紛争解決制度の施行状況が、佐賀労働局より公表されました。この制度は、企業に雇用される労働者と事業主との間に生じる労働条件や職場環境などの問題を、法的な手続きを経ることなく、迅速かつ円滑に解決することを目的としています。主に「総合労働相談」、「助言・指導」、そして「紛争調整委員会によるあっせん」という三つの手段により構成されており、それぞれの方法における実績と傾向が明らかにされています。
まず、総合労働相談の件数については、令和6年度には9,001件と、前年度の8,776件から2.6%の増加となりました。この相談件数は高止まりの傾向を示しており、労働環境に対する不安や疑問を持つ労働者が依然として多いことを物語っています。相談内容の内訳を見ると、法制度に関する問い合わせは4,720件で、前年度から12.2%減少したものの、依然として全体の過半数を占めています。一方で、労働基準法などの違反の疑いがある事案についての相談は1,739件となり、前年の1,442件から20.6%の増加と顕著な伸びを見せました。これは、労働者が自身の権利や義務について正確に理解し、不当な扱いに対して声を上げる機会が増えていることを示しています。
また、民事上の個別労働紛争に関する相談件数は2,025件となり、前年の2,180件と比較して7.1%減少しました。内容別では、「自己都合退職」に関する相談が477件で最も多く、次いで「いじめ・嫌がらせ」が405件、「その他の労働条件」に関する相談が361件と続きました。特に、いじめや嫌がらせに関する件数が多いことは、職場内での人間関係やハラスメントの問題が、依然として深刻な課題であることを浮き彫りにしています。
このような個別労働紛争に対する対応として設けられている「助言・指導」の申出件数は30件で、前年の35件から14.3%減少しました。そのうち、実際に助言・指導が終了した件数は28件で、全件が1か月以内に処理されています。特に申出が多かったのは「いじめ・嫌がらせ」と「労働条件の引下げ」に関するもので、職場でのコミュニケーション不足や一方的な処遇変更が主な要因と考えられます。迅速な処理が行われていることから、佐賀労働局の対応体制の強化が伺えます。
さらに、より踏み込んだ解決手段として活用される「あっせん」の申請件数は13件で、前年の18件から27.8%の減少となりました。ここでも「いじめ・嫌がらせ」に関する申請が最も多く、深刻な問題として継続的に相談が寄せられていることが分かります。注目すべきは、紛争当事者双方があっせんに参加した割合が57.1%で、全国平均の48.8%を上回った点です。また、あっせん処理が終了した件数のうち、合意に至ったのは35.7%であり、これも全国平均の30.2%を上回っています。つまり、佐賀労働局によるあっせんの進行は、比較的高い確率で合意形成につながっているといえます。
ただし、あっせん開催による合意成立件数のうち、実際に当事者双方が参加したケースでの合意率は50%で、全国平均の59.3%を下回りました。これは、当事者間の対立が根深い場合や、信頼関係の欠如などが要因として考えられ、制度の有効性を高めるにはさらなる取り組みが必要とされる分野です。
こうした施行状況の全体を見渡すと、労働相談件数自体は増加傾向にある一方で、助言・指導やあっせんといった具体的な紛争解決手段の利用件数が減少している点が特徴的です。これは、労働者側が法制度や支援制度の内容を十分に理解し、初期の相談段階で自己解決に至るケースが増えていること、または職場でのトラブルを相談すること自体への心理的なハードルが依然として存在している可能性も考慮すべきです。
企業にとっては、こうしたトラブルを未然に防ぐための環境整備が重要になります。例えば、就業規則や社内ルールの明確化、ハラスメント防止研修の実施、定期的な職場面談などを通じて、従業員との信頼関係を築くことが求められます。また、万が一トラブルが発生した場合には、迅速かつ誠実な対応が企業の信頼性に直結します。特に、いじめや嫌がらせに関する事案は企業イメージを大きく損なうリスクがあるため、社内通報制度や第三者相談窓口の整備など、積極的な対策が不可欠です。
行政機関としての佐賀労働局は、今回の施行結果を踏まえ、今後も制度の運用を改善し、より多くの労働者と企業が安心して活用できる体制づくりに努めるとしています。特に相談対応の質の向上や広報活動の強化を通じて、制度そのものへの理解を深め、利用のハードルを下げることが期待されます。労働市場が多様化するなかで、こうした取り組みは、地域全体の労働環境の健全化に直結する極めて重要な施策となるでしょう。
この記事の要点
- 総合労働相談件数は9,001件で前年比2.6%増加し、高止まりの傾向
- 労働基準法違反に関する相談は20.6%増の1,739件と顕著な伸び
- 民事上の個別労働紛争相談は2,025件で7.1%減少
- 助言・指導の申出件数は30件で、全件が1か月以内に処理
- あっせん申請件数は13件で前年比27.8%減少
- あっせん参加率は全国平均を上回る57.1%、合意成立率も35.7%で全国を上回る
- いじめ・嫌がらせに関する相談や申請が最多で、職場環境の改善が急務
⇒ 詳しくは佐賀労働局のWEBサイトへ