2025年9月11日
労務・人事ニュース
令和6年転職者の40.5%が賃金増加、うち29.4%が1割以上のアップを実現
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最終更新: 2025年9月10日 04:00
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令和6年 雇用動向調査結果の概要 転職入職者の状況(厚労省)
この記事の概要
令和6年の転職に関する詳細な分析によって、年齢や性別、就業形態によって異なる転職傾向や離職理由、さらに転職後の賃金変動に関する実態が明らかになりました。特に若年層やパートタイム労働者に顕著な転職率の高さや、男女で異なる離職理由の傾向が浮き彫りとなっています。
令和6年を通じて実施された転職入職者に関する調査からは、我が国の雇用市場における複雑かつ多様な実情が見えてきました。まず、年齢階級別にみた転職入職率では、「19歳以下」と「60歳以上」の年齢層で男性の転職率が女性を上回ったのに対し、「20〜24歳」から「55〜59歳」の広範な年齢層では、女性の方が転職率が高いという結果が示されています。これは、女性の就労スタイルが年齢とともに変化しやすいことを示唆しており、家庭や育児などのライフイベントと職業選択との関係が背景にあると考えられます。
また、就業形態別で見ると、パートタイム労働者の転職率が一般労働者よりも高い傾向にありました。特に女性においては「19歳以下」を除くすべての年齢階級で、パートタイム労働者の方が高い転職率を記録しており、非正規雇用の不安定さがその要因と考えられます。男性においても、パートタイム労働者の方が転職率が高い傾向にあることから、雇用の安定性や待遇改善に対するニーズが共通していると読み取ることができます。
転職入職者が前職を辞めた理由については、性別によって大きく異なる傾向が見られました。男性では「その他の個人的理由」が20.2%と最も多く、次いで「定年・契約期間の満了」14.1%、「給料等収入が少なかった」が10.1%と続いています。女性では「その他の個人的理由」が24.3%と最多で、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が12.8%、「職場の人間関係が好ましくなかった」が11.7%と、職場環境や労働条件に関する理由が目立ちました。このように、男性は収入や契約終了による転職が多い一方で、女性は働く環境に対する不満や人間関係に起因する理由が目立つ傾向にあります。
さらに、前年と比べて注目すべき点は、男性においては「会社の将来が不安だった」との理由が2.2ポイント増加したことです。一方、女性では「労働時間や休日の条件が悪かった」という理由が1.7ポイント上昇しており、働き方そのものに対する改善の期待が浮き彫りとなりました。このような傾向は、企業が採用および人材定着の戦略を見直す上で、非常に重要な示唆を与える内容となっています。
転職入職後の賃金変動状況についても興味深いデータが明らかになりました。全体として「前職より賃金が増加した」と回答した割合は40.5%で、「減少した」29.4%を11.1ポイント上回っています。特に「1割以上増加した」人は29.4%にのぼり、「1割以上減少した」人は21.7%でした。前年と比較すると、増加傾向にあることが分かり、「1割以上の増加」は3.8ポイント上昇、「減少」は3.0ポイント低下しています。これは、転職によってキャリアアップや収入改善を実現した労働者が増加していることを示しており、働く人々が転職を前向きな選択肢と捉えている可能性が高いと考えられます。
雇用形態別に見た場合、雇用期間の定めのない一般労働者では「増加」が「減少」を16.3ポイント上回り、パートタイム労働者間でも15.4ポイントの差で「増加」が多いという結果が出ています。このことから、正規・非正規を問わず、転職を経て収入が上昇した労働者の割合が増えていることが伺えます。また、年齢別で見ると「20〜24歳」の若年層において賃金が「1割以上増加」した割合は38.5%と最も高く、転職によるステップアップが特にこの層で顕著であることが分かります。
一方で、60歳以上の高齢層では「賃金が減少した」とする回答が非常に高く、「65歳以上」では45.5%が「1割以上減少した」と答えています。これは再就職時に待遇が下がることを前提とした就業が多いことを示しており、定年後の就業における課題が浮かび上がります。同様に「60~64歳」の層でも、「賃金が増加した」割合は11.2%にとどまり、「減少した」が63.2%と多数を占めており、高齢労働者にとっては賃金水準の維持が依然として大きな課題であることが明らかです。
こうした分析から、企業の採用担当者にとっては、年齢や性別、就業形態ごとの転職傾向を正確に把握し、それぞれの層に応じた柔軟な雇用条件の提示が必要であることが明確になります。特に若年層においては、キャリア形成を支援する制度や賃金の透明性を高める取り組みが効果的である一方で、高齢層においては、やりがいや社会参加を重視した働き方の提供が求められるといえるでしょう。また、非正規労働者の待遇改善や職場環境の整備も、離職防止と人材の定着に不可欠な要素です。
令和6年のデータは、転職がますます一般的な選択肢として浸透し、働き方や職場環境への意識がより高まっている現代社会の労働実態を如実に反映しています。今後の雇用戦略には、こうした統計データをもとに、実態に即した採用施策と働きやすい職場づくりが求められることは間違いありません。
この記事の要点
- 令和6年は女性の方が転職入職率が高い年齢階級が多い
- パートタイム労働者の転職率は全体的に一般労働者を上回っている
- 男性の離職理由では定年や収入の少なさ、女性は労働条件や人間関係が上位
- 転職後に賃金が「増加」した割合は40.5%、前年より3.3ポイント上昇
- 20〜24歳の「1割以上の賃金増加」割合は38.5%と非常に高い
- 60歳以上では賃金が「減少」した割合が60%以上と高水準
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ