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2025年9月11日

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令和6年、出産・育児・介護を含む個人的理由での離職が依然として過半数

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令和6年 雇用動向調査結果の概要 離職理由別離職率の推移(厚労省)


この記事の概要

令和6年における離職理由別の離職率を分析した結果、「個人的理由」による離職が全体の10.7%を占め、前年よりもわずかに減少したことが分かりました。男女差では女性の方が個人的理由での離職が多く、企業側の理由による離職は全体で0.8%と低水準で推移しています。


令和6年を通じて収集された離職者のデータによると、労働者が離職に至る背景には、依然として個人的事情が大きく影響していることが明らかとなりました。特に注目されるのは、「個人的理由」による離職が全体の10.7%に達し、前年と比較して0.7ポイント減少しているという点です。この「個人的理由」とは、「結婚」「出産・育児」「介護・看護」さらには「その他の個人的事情」を包括した分類であり、個々の生活や家族の事情に起因するものであることから、現代社会における生活と労働のバランスがいかに複雑化しているかを如実に物語っています。

性別に見た場合、男性の「個人的理由」による離職率は8.8%であり、こちらも前年から0.6ポイント低下しました。一方で女性の離職率は12.9%と依然として高く、前年から0.8ポイントの減少は見られたものの、依然として男性と比較すると4ポイント以上の差が開いています。この数字は、女性が仕事と家庭の両立において直面している課題の深刻さを反映しており、特に出産や育児、介護といったライフイベントが職業継続の障壁となっている実態を示しています。

また、企業側に起因する離職、すなわち「事業所側の理由」による離職率は全体で0.8%と報告されており、前年から0.1ポイント低下しました。この項目には、「経営上の都合による解雇」や「出向」あるいは「出向元への復帰」などが含まれており、経営状況や組織再編に伴う人事異動といった企業の都合によるものです。男性においては1.0%で前年より0.2ポイント低下し、女性では0.6%と前年と同水準で推移しました。これらの数値からは、企業側の都合による離職は全体として抑えられているものの、男性の方が若干その影響を受けやすい傾向があることがうかがえます。

これまでの推移を振り返ると、「個人的理由」による離職率は令和元年の14.3%をピークとして、その後は緩やかに減少傾向にあります。これは育児支援制度や介護休業制度の拡充、テレワークなどの柔軟な働き方の普及が一定の成果をあげている可能性を示しており、政策面や企業の取り組みが労働者の離職抑制に寄与していることがうかがえます。一方で、女性の離職率が依然として高水準にあるという事実は、制度の整備だけでは不十分であり、職場での理解や実践、さらにはキャリア継続支援策の充実が今後の課題であることを明示しています。

さらに、過去10年間にわたる離職率の推移を見てみると、経済状況や労働市場の環境変化に影響されながらも、「個人的理由」による離職は常に高い比率を占めてきたことが分かります。たとえば、平成27年には10.9%、平成30年には11.5%、令和2年には11.0%と推移しており、生活環境や社会構造の変化に伴って労働継続が難しくなる局面があることが読み取れます。とりわけ近年は、高齢化が進む中で「介護・看護」を理由とした離職も無視できない要素となっており、企業においてはこれに対応したサポート体制の強化が求められています。

また、離職率が減少した背景には、単に制度の整備だけではなく、労働者自身の意識の変化も寄与していると考えられます。働くことに対する価値観が多様化し、仕事の内容や職場の人間関係、ワークライフバランスを重視する傾向が強まっている中で、やむを得ず離職を選択するのではなく、条件を整えて継続的に働くという意識が広がりつつあることも無視できません。特に若年層を中心に、自身のキャリアを中長期的に考える傾向が高まっており、その結果として離職率が改善に向かっていると考えることもできるでしょう。

企業の採用担当者や人事部門にとっては、こうした離職理由別のデータを基に、離職防止のための具体的な対策を講じることが喫緊の課題です。特に女性社員の定着率向上を目指すには、育児や介護と両立できる働き方を提案し、実際に運用可能な制度として機能させることが求められます。さらに、柔軟な勤務形態や職務再設計などを通じて、社員一人ひとりのライフステージに対応した働き方の実現を後押しする取り組みが、今後の人材確保と維持において重要なポイントになるでしょう。

令和6年の結果は、労働市場が制度改革や企業の努力を通じて、確実に改善の方向に向かっていることを示しながらも、依然として個人の事情による離職が多いという現実を突きつけています。雇用の安定性を高めるためには、個々の事情に寄り添ったきめ細かな施策が必要であり、単なる制度の導入にとどまらず、企業文化の変革もまた問われているのです。今後、労働市場における定着率の向上を図るには、現場の声に耳を傾け、具体的な課題解決に向けた継続的な努力が欠かせないでしょう。

この記事の要点

  • 令和6年の「個人的理由」による離職率は10.7%で前年から0.7ポイント減少
  • 女性の離職率は12.9%と高く、男性の8.8%を大きく上回っている
  • 「事業所側の理由」による離職率は全体で0.8%と低水準で推移
  • 女性の離職理由は結婚や育児、介護などライフイベントに関わるものが中心
  • 離職率の減少は制度の整備と働き方改革の成果による可能性
  • 離職防止には柔軟な勤務体制とライフステージに応じた支援が必要

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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