2025年9月15日
労務・人事ニュース
山口県の新規高卒者向け求人数5,916人、前年比3.8%減が示す採用課題とは
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最終更新: 2025年9月14日 23:02
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最終更新: 2025年9月14日 23:02
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最終更新: 2025年9月14日 23:02
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最終更新: 2025年9月14日 09:34
令和8年3月新規高卒予定者の求人・求職状況について(令和7年7月末現在)(山口労働局)
この記事の概要
令和8年3月に卒業予定の山口県内高等学校生徒に関する就職活動状況が、令和7年7月末時点で公表されました。求人倍率は2.36倍と高い水準を維持しており、特に県内校舎在籍生徒では2.49倍と前年からわずかに低下したものの、依然として求人が豊富な状況です。
山口労働局は、令和8年3月に卒業を予定している県内の高等学校生徒の求人・求職状況を、令和7年7月末時点で取りまとめ、その内容を発表しました。この調査結果は、県内企業の採用活動や人材確保の実態を把握する上で非常に重要な情報を提供しており、地域経済の活性化と若年層の雇用環境を考えるうえでも意義深い内容となっています。
今回のデータによると、山口県内の公共職業安定所、いわゆるハローワークで受理された新規高卒予定者に対する求人数は合計で5,916人となり、前年同期比で3.8%の減少となりました。この減少傾向は一見すると雇用環境の悪化を示唆しているようにも思えますが、必ずしもそうとは言い切れません。というのも、求人倍率自体は2.36倍という依然として高い水準を維持しており、求職者一人に対して2件以上の求人がある状態が続いているからです。
一方で、学校またはハローワークの紹介を通じて就職を希望している生徒の数は2,509人で、うち山口県内に校舎を有する学校に在籍している生徒は2,380人でした。これは前年と比べて0.9%の減少となっており、若干の減少傾向が見られます。さらに、その中で県内就職を希望している生徒は1,987人で、こちらも前年から0.4%減少しました。求職者の数が減少する一方で求人数も減っているため、求人倍率の高水準は維持されているものの、今後の需給バランスには注意が必要です。
県内校舎在籍生徒に限った求人倍率は2.49倍で、前年同期比では0.07ポイントの低下が見られました。これは微減とはいえ、企業側が提供する求人数が減少傾向にあることを示しており、景気や産業構造の変化、あるいは新卒採用方針の見直しなどが背景にあると考えられます。
産業別に見ると、「金融・保険業」において求人が前年から31人増加し、33.0%という大幅な伸びを示しました。これは、金融業界におけるデジタル人材や営業職の需要が高まっていることの表れであり、高卒人材にも専門的なスキルや接客対応能力が求められていることを示唆しています。一方で、「運輸業・郵便業」は70人の減少で13.0%のマイナスとなり、「製造業」も67人、3.0%の減少を記録しました。製造業では特に熟練技術者の確保が課題となっており、若年層に対する教育体制や労働環境の見直しが急務となっている状況がうかがえます。
職業別では、「生産工程・労務・技能工等」の分野で前年から169人、4.8%の減少が見られました。この傾向は、製造業と同様に現場作業に従事する職種における求人が減少していることを意味しており、機械化や自動化の進展、あるいは業績の変動などが影響している可能性があります。また、企業規模別のデータを見ると、従業員が29人以下の小規模事業所における求人が86人、4.5%減少しており、地域経済を支える中小企業にとって若手人材の確保がますます難しくなっていることが浮き彫りになりました。
さらに、ハローワーク別の求人状況を見ると、山口市と下松市を除いた7つのハローワークにおいて求人の減少が報告されています。このような地域別の偏りも、地域経済や業種の特性による影響を強く受けていると考えられます。特定の地域では製造業や運輸業が基幹産業となっている場合も多く、それらの業種の求人減が全体の数字に表れている可能性があります。
このようなデータの分析は、企業の採用戦略を立てるうえで非常に重要です。とくに新卒採用に力を入れている企業にとっては、求人倍率の推移や産業別の傾向、地域別の求人動向を踏まえて、より効果的なアプローチを模索する必要があります。例えば、高い求人倍率の維持が続いている中で、他社と差別化を図るためには、働きやすい職場環境の整備や、成長機会を明確に示すキャリアパスの提示、若年層に魅力を感じてもらえる企業ブランディングなどが欠かせません。
また、求人を出しても応募が集まりにくい企業にとっては、学校との連携強化やインターンシップの積極的な活用も重要な施策となります。高卒者の就職活動では学校推薦による就職が主流であるため、教員や進路指導担当者との関係構築が成否を分けるポイントとなることが多いのです。こうした観点からも、定期的な求人説明会の開催や、職場見学の受け入れ体制の整備が求められます。
なお、今回の発表では高等学校専攻科や中等教育学校、総合支援学校の生徒も集計対象に含まれており、多様な学びを経た若者が労働市場に参入してきていることにも注目が必要です。企業側としては、単に人数を確保するだけでなく、それぞれの特性や強みに応じた適切な職場配置を行うことが、長期的な定着率の向上につながるといえるでしょう。
このように、令和8年3月新規高卒予定者に関する求人・求職状況は、表面的な数字の変化だけでは読み解けない多くの示唆を含んでいます。求人倍率の高さに安心するのではなく、なぜ求人数が減少傾向にあるのか、どの業種や地域でその傾向が顕著なのかを把握し、それに基づいた戦略的な採用活動が今後ますます重要となっていくことは間違いありません。
この記事の要点
- 新規高卒予定者に対する求人数は5,916人で前年比3.8%減少
- 就職希望者数は2,509人で、県内校舎在籍者は2,380人
- 求人倍率は2.36倍で高水準、県内校舎在籍生徒では2.49倍
- 金融・保険業で求人が33.0%増加、運輸業や製造業は減少傾向
- 技能職の求人が169人減少、中小企業での求人減少も顕著
- 7つのハローワークで求人が減少、地域差が広がる傾向
- 高卒採用には学校との連携や職場環境整備が重要な要素
⇒ 詳しくは山口労働局のWEBサイトへ