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2025年9月15日

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令和7年7月 福岡の有効求人倍率1.17倍で横ばい、採用戦略の見直しが急務

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雇用情勢(令和7年7月分)について(福岡労働局)


この記事の概要

福岡労働局が発表した令和7年7月の雇用情勢に関する最新のデータによると、地域の雇用は全体として持ち直しの傾向を示している一方で、一部には求人活動の鈍化や物価上昇など外的要因による影響も確認されています。有効求人倍率や新規求人倍率の動き、求職者数と求人者数の変化を通じて、福岡県内の労働市場の現状とその課題が浮き彫りになっています。


福岡労働局が令和7年8月29日に公表した最新の労働市場データによれば、7月時点の福岡県内の雇用情勢は「全体として持ち直しつつある」と評価されています。ただし、持ち直しの傾向にあるとはいえ、すべての指標が堅調というわけではなく、求人活動の動きにはやや弱さが見られ、物価の上昇が雇用環境に及ぼす影響にも引き続き注意が必要です。今回の発表では、有効求人倍率、新規求人倍率、求人数、求職者数といった多面的なデータが詳細に示されており、特に採用活動を担う企業担当者にとっては、採用戦略を見直すうえで貴重な情報源となり得ます。

有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は1.17倍で、前月と同一の水準を維持しました。この数値は、1人の求職者に対して1.17件の求人があることを意味しており、労働市場の需給バランスとしては比較的安定している状態といえます。ただし、前年やそれ以前の水準と比較すると、いまだ回復途上であることも明らかです。過去3年間の同時期における有効求人倍率を確認すると、令和5年度は1.26倍、令和6年度は1.16倍、そして令和7年度が1.17倍と、緩やかに改善しつつも、依然としてコロナ禍以前の水準には至っていません。

有効求人数は前月比で0.4%増加し、求職者数も0.1%の微増となりました。こうした動きは、求人側が引き続き人材確保に意欲的である一方で、求職者側の動きは比較的緩やかであることを示しています。新規求人倍率に関しては、2.12倍となっており、前月からは0.06ポイントの減少となりました。この新規求人倍率の変動は、求人を新たに出した事業者の動きと、就職活動を開始したばかりの求職者の増減によって影響を受けます。今回は新規求人数が前月比で0.9%増加した一方で、新規求職者数は4.0%と大幅に増加しており、求職活動を新たに開始した人々の増加が倍率を押し下げる要因となっています。

さらに、新規求人に関する原数値を見てみると、前年同月比では2.5%の減少となっており、これは企業側が前年に比べてやや慎重な採用姿勢をとっている可能性を示唆しています。一方で、新規求職者数も同様に前年同月比で1.3%減少しており、労働市場全体で求人・求職ともに若干の減速が見られる状況です。こうした中で注目すべきは、インターネットを介した求職活動の拡大です。福岡労働局の発表によると、令和3年9月以降のデータには、ハローワークの来所を伴わないオンラインでの求職登録者や、求人へのオンライン応募を行った件数も含まれています。これにより、求職者と求人者のマッチング方法が従来と比べて多様化しており、数字の読み解きにも一定の配慮が必要です。

企業の採用担当者にとって、このようなデータは単なる数字ではなく、戦略立案に直結する重要な指標となります。たとえば、新規求人倍率の下落は、求人が増加していても求職者の増加ペースがそれを上回っていることを示しています。この場合、求人情報の魅力を高めたり、条件を柔軟に見直すなどの対応が必要となる可能性があります。また、有効求人倍率が横ばいで推移している現状では、競合企業との差別化を図る取り組みが求められるでしょう。求職者側にとっては選択肢が豊富であるため、企業の魅力や働きやすさ、成長機会などが採用の決定要因となります。

一方で、求職者数の微増や新規求職者数の急増は、求職ニーズが高まっていることを示しており、転職希望者や新規就職希望者の動向に注視する必要があります。とりわけ、夏季のボーナス支給後や年度の中間時期にあたる7月は、転職市場が活発化しやすい時期であり、採用戦略を見直すタイミングとしても適しています。採用活動においては、求人を出すタイミングだけでなく、どのような職種や条件が求職者に求められているかを正確に把握し、それに基づいた求人票の作成や説明会の実施など、実務的な対応が重要となります。

さらに、物価上昇が雇用に与える影響についても無視できません。生活費の上昇は、労働者が希望する賃金水準にも影響を及ぼし、企業にとっては人件費の見直しや福利厚生の充実といった対応が迫られる場面も出てくるでしょう。今後、雇用情勢がどのように推移するかは不透明な部分もありますが、少なくとも現時点では、求人と求職のバランスを見極めながら、慎重かつ柔軟に対応する姿勢が重要といえます。

このように、福岡労働局の最新データからは、福岡県内の雇用市場が安定的に推移しつつも、課題も多く残されていることが読み取れます。求職者の動き、企業側の採用方針、さらには経済全体の動向など、複数の要因が複雑に絡み合う中で、企業としては的確な情報をもとにした判断が求められるでしょう。採用活動の効率を高め、優秀な人材の確保につなげるためには、こうした労働市場データを定期的に分析し、変化に即応できる体制を整えることが不可欠です。

この記事の要点

  • 有効求人倍率は1.17倍で前月と同水準
  • 新規求人倍率は2.12倍で前月より0.06ポイント減少
  • 有効求人数は前月比0.4%増加、新規求人数も0.9%増加
  • 新規求職者数は前月比で4.0%増加と大幅な伸び
  • 新規求人の原数値は前年同月比で2.5%減少
  • ハローワークのオンライン登録や応募も数値に含まれる
  • 物価上昇が雇用に与える影響に引き続き注視が必要
  • 企業は求人の見直しや差別化戦略が必要な局面

⇒ 詳しくは福岡労働局のWEBサイトへ

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