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2025年9月8日

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令和8年1月1日から大分県最低賃金 時給1,035円、81円アップ(令和7年度)

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大分地方最低賃金審議会答申「時間額1,035円」(大分労働局)


この記事の概要

大分県における最低賃金の改正が決定され、令和8年1月1日から時間額1,035円が適用される見込みです。これは前年度から81円の引き上げとなり、過去5年間で最大の上昇幅となっています。本記事では、その背景にある経済状況や政府の意向、事業者向けの支援制度の詳細について解説し、企業の採用担当者や人事労務関係者にとって実務的に有用な情報を提供します。


令和7年9月4日、大分地方最低賃金審議会は大分県の地域別最低賃金を現行の954円から81円引き上げ、1,035円とするよう答申しました。この改定は、中央最低賃金審議会が厚生労働大臣に提出した目安額を参考にしつつ、大分県の景気や雇用情勢、賃金の改定状況などを踏まえて慎重に審議された結果として決定されたものです。この改定額は、令和8年1月1日から適用される予定であり、県内で働く全ての労働者と事業者にとって大きな影響を与えるものとなります。

大分県の最低賃金はこの5年間で継続的に上昇しており、令和3年度の822円から今回の1,035円に至るまで、213円の増額が行われてきました。特に今回の引き上げ幅81円は、前年度の55円を大きく上回るものであり、上昇率は8.49%と過去最大です。物価高騰が続く中、労働者の生活を守るために最低賃金の引き上げが急務とされている一方で、中小企業や小規模事業者にとっては人件費の急激な上昇が経営に重くのしかかる懸念もあります。

このような背景から、大分地方最低賃金審議会では政府に対し、3つの要望を提出しています。1つ目は、地域別最低賃金の改定に際して、労働者の生計費や賃金の支払い能力をバランス良く考慮した上での目安額の提示です。物価上昇への対策として賃上げを重視すること自体には理解を示しつつも、それだけに依存するのではなく、統計指標に基づいた合理的な審議を行えるようにすることを求めています。2つ目は、賃上げに必要な原資を確保するため、中小企業などに対して賃上げ後6か月間程度の助成措置を講じること。3つ目は、大企業と中小企業間での価格転嫁を円滑に進めるための制度整備と監視体制の強化です。特に消費者向けの取引では価格交渉が難しいため、社会全体で賃上げの必要性を理解し支えることの重要性が指摘されています。

政府もこうした要望に応える形で、企業の賃上げを後押しするための複数の助成金制度を用意しています。中でも代表的なものが「業務改善助成金」です。これは中小企業が事業所内の最低賃金を引き上げ、生産性向上のための設備投資を行った場合、その費用の一部を助成する制度です。賃金の引き上げ幅に応じて助成額が変動し、たとえば30円の賃上げを行えば30万円から130万円、90円の賃上げであれば90万円から600万円までの助成を受けることができます。事前に申請と交付決定を受ける必要があり、適正な手続きを踏むことが重要です。

また、「キャリアアップ助成金」も注目されています。こちらは非正規雇用労働者の基本給を3%以上引き上げた場合に適用されるもので、昇給率に応じて1人あたり最大7万円の助成が受けられます。例えば、10人の有期雇用労働者を5%以上の賃上げ対象とした場合、65万円の助成金が支給されることになります。特に正規雇用への転換を進めている企業にとっては、制度利用のメリットが大きいといえるでしょう。

「働き方改革推進支援助成金」も、企業の取り組み次第では大きな支援となります。これは労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進を実施する中小企業に対し、設備導入費用や専門家へのコンサルティング費用を補助する制度です。設定した目標を達成した場合、最大で550万円の助成が可能であり、従業員の労働環境改善と賃上げの両立を支援します。

さらに、「人材確保等支援助成金」では、離職率の低下を目的とした雇用管理制度の導入や作業負担軽減機器の購入などに対して助成が行われます。この制度は中小企業だけでなく、大企業も利用可能で、導入した制度の内容や賃上げの有無に応じて、最大で287.5万円の助成を受けることができます。複数の制度を組み合わせて活用することも可能であり、企業の経営改善と人材定着に向けた戦略的な支援が期待されています。

他にも、「人材開発支援助成金」では職業訓練を通じて従業員のスキル向上を図る企業に対し、訓練経費の45%から100%、賃金助成として1人1時間あたり500円から1000円、さらにOJTの実施に対しても12万円から25万円が支給されます。訓練後に賃金を5%以上引き上げた場合には、さらに助成額が加算されるなど、実効性の高い制度設計となっています。

また、高齢者や障害者、就職氷河期世代などの就職困難者を継続的に雇用した場合には「特定求職者雇用開発助成金」が適用され、最大240万円の支援が提供されます。特に成長分野への人材配置や、雇入れ後3年以内に5%以上の賃上げを行った場合には、助成額が1.5倍になる特例措置も設けられています。

さらに、在籍型出向を通じてスキルアップを図り、復帰後に5%以上の賃金アップを実施した場合には、「産業雇用安定助成金」が支給され、1人あたり1日最大8,635円、1事業主あたり最大1,000万円の助成を受けることが可能です。これは、業界を越えた人材の流動化や再教育の促進にもつながる取り組みであり、今後の雇用政策の柱ともなる制度といえるでしょう。

こうした一連の政策は、単なる賃上げにとどまらず、企業経営の持続可能性や生産性向上、人材育成といった多角的な視点から構成されており、企業が制度を正しく理解し、戦略的に活用することで、大きな経済的・人的資本の強化につながることが期待されます。特に人事や採用を担う担当者にとっては、これらの制度が企業の魅力を高め、優秀な人材確保に繋がる武器となる可能性を秘めています。

この記事の要点

  • 大分県の最低賃金が2025年1月1日から1,035円に引き上げられる
  • 過去5年間で最大の引き上げ幅であり、上昇率は8.49%に達する
  • 中小企業向けに最大600万円の助成が可能な制度「業務改善助成金」が用意されている
  • 非正規雇用者の賃上げには「キャリアアップ助成金」で最大7万円の支援が受けられる
  • 労働時間削減や設備投資には「働き方改革推進支援助成金」が最大550万円支給される
  • 職業訓練後の賃上げには「人材開発支援助成金」が支援対象となる
  • 就職困難者の雇用には最大240万円の「特定求職者雇用開発助成金」が利用可能
  • 在籍型出向でのスキルアップには「産業雇用安定助成金」が1事業主あたり最大1,000万円

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