2025年8月21日
労務・人事ニュース
岡山県最低賃金1,047円に、45円アップで令和7年12月1日から
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最終更新: 2025年8月21日 17:01
【初の1,000円台】岡山県最低賃金1,047円を答申【過去最高65円引上げ】(岡山労働局)
この記事の概要
令和7年12月1日より、岡山県の地域別最低賃金が過去最高となる1,047円に引き上げられる見込みです。この改定は、賃上げによる地域経済の底上げを目的とした国の支援策と連動しており、中小企業や非正規雇用労働者の賃金改善を図るための多様な助成金制度が整備されています。
令和7年12月1日から施行が予定されている岡山県の地域別最低賃金の改定は、これまでにない大幅な引き上げとして注目を集めています。現在の時給982円から65円増の1,047円となり、引き上げ率は6.62%に達します。平成14年に最低賃金が時間額方式に変更されて以降、岡山県では過去最大の改定幅となります。この改定が実現した場合、県内の全産業、全労働者に適用され、特に100人未満の事業所で働く7万6千人超の労働者に直接的な影響があると見込まれています。
今回の改定は、単なる時給アップにとどまらず、企業側にも多大な影響を及ぼすことから、岡山労働局は周知活動とともに、中小企業・小規模事業者を対象とした賃上げ支援策の普及にも力を入れています。国が提供する多様な助成金制度は、賃金引き上げを契機として、企業の生産性向上や働き方改革の実現を後押しするものです。
例えば「業務改善助成金」では、事業場内最低賃金を引き上げて設備投資を行った場合に、その費用の一部が助成されます。中小企業を対象としたこの制度では、賃上げ幅に応じて助成上限額が異なり、30円コースで最大130万円、60円コースで最大300万円、90円コースでは最大600万円まで支給される可能性があります。たとえば、時給を45円引き上げた5人の労働者に対して設備投資を実施した事業場では、最大100万円の助成を受けることができます。
また「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」は、非正規雇用労働者の基本給を3%以上増額し、その規定を適用した場合に助成金を受けられる制度です。この助成額は、賃上げ率や対象者数に応じて段階的に設定されており、たとえば5%以上6%未満の賃上げでは1人当たり6.5万円が支給されます。中小企業が10人の有期雇用労働者に5%の賃上げを実施した場合、最大65万円の助成金が支給されます。
さらに「働き方改革推進支援助成金」は、労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進、勤務間インターバル制度の導入など、労働環境の改善を支援する制度です。設備投資や外部コンサルティングを通じて取り組みが行われ、目標を達成した場合にはコースに応じて最大550万円の助成を受けることができます。建設業の事業場で36協定に基づく時間外労働の上限を引き下げるといった取り組みに対しても、具体的に支援が提供されます。
このほかにも、「人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)」では、賃金制度や評価制度の導入、従業員の作業負担を軽減する設備の導入などに取り組むことで、最大287.5万円の助成が可能です。特に賃上げ(5%以上)を行うことで助成額が加算される点も見逃せません。
職業訓練を実施した企業には「人材開発支援助成金」が用意されており、訓練経費の45%から100%、訓練中の賃金についても1時間あたり最大1,000円まで助成されます。さらに訓練終了後に受講者の賃金を5%以上引き上げた場合には追加支援が受けられます。たとえば、中小企業が正規雇用者に10時間の訓練を実施し、訓練後に5%以上の賃上げを行った場合、訓練経費に加え最大7万円の支給がなされます。
加えて、雇用のミスマッチを解消し、より高い処遇を目指す人材の雇用促進にも支援があります。「特定求職者雇用開発助成金」や「早期再就職支援等助成金」は、成長分野での人材育成や再就職を支援し、5%以上の賃上げを行った場合に助成が受けられます。たとえば45歳以上の中途採用者を雇用し、就業前と比較して5%以上の賃上げを実現すれば、助成金の上乗せが可能です。
また「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)」では、在籍型出向によって労働者のスキルを向上させ、復帰後に賃金を5%以上増加させた場合に、1人1日あたり8,635円、1事業主あたり最大1,000万円までの助成が支給されます。
これらの制度は、単に賃金を引き上げるだけでなく、労働者の定着促進や生産性の向上、人材育成、働き方改革の推進といった多面的な成果を狙ったものです。岡山県においては、今回の最低賃金の引き上げを好機と捉え、制度を賢く活用することで、地域経済の活性化や事業の持続的成長を目指す中小企業にとって大きな追い風となるでしょう。
企業の採用担当者にとっては、今後の人件費増に備えた財政支援策の理解と活用が重要となります。特に助成制度の多くは、申請前の賃上げや設備投資を対象外としているため、あらかじめ計画的な取り組みが必要です。また、制度の多くは中小企業を主な対象としており、業種や企業規模、対象者数によって助成額や条件が変動するため、個別の状況に応じた最適な活用法を見極めることが求められます。
政府や岡山労働局のウェブサイトには、各制度の詳細や申請手続きに関する情報が掲載されており、適切な情報収集と計画立案を通じて、賃金の引き上げが経営上の負担ではなく、企業価値の向上につながるよう取り組むことが求められます。
この記事の要点
- 岡山県の最低賃金が時給1,047円に改定予定
- 引き上げ率6.62%は過去最大
- 中小企業への影響は7万6千人超に及ぶ見込み
- 国は各種助成金制度で賃上げ支援を実施
- 業務改善助成金やキャリアアップ助成金など多様な支援策が用意されている
- 設備投資や評価制度導入も助成対象
- 賃上げと併せて働き方改革を促進する制度も存在
- 制度活用には事前の計画と申請が不可欠
⇒ 詳しくは岡山労働局のWEBサイトへ