2025年8月20日
労務・人事ニュース
島根県最低賃金が1,033円に!過去最大71円アップ、令和7年11月17日より施行予定
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島根県最低賃金71円の引上げ 時間額1,033円に(島根労働局)
この記事の概要
島根県で最低賃金の大幅な引き上げが決定され、2025年11月17日から適用される予定です。今回の改定では時給が71円増の1,033円となり、前年比で7.38%の上昇率を記録しています。これは過去5年間で最大の引き上げ幅であり、労働者の生活保障と地域経済の安定に向けた大きな一歩といえます。
2025年8月18日、島根地方最低賃金審議会は、島根県内のすべての労働者に適用される最低賃金の改定について、島根労働局長に対して正式な答申を行いました。その内容は、現行の時給962円から71円引き上げ、1,033円とするものです。引き上げ率は7.38%となり、昨年の6.41%をさらに上回る水準です。改定後の最低賃金は、2025年11月17日から適用が開始される予定です。
この改定に至るまでには、7月14日に島根労働局長からの諮問を受けたことを契機に、8月4日に中央最低賃金審議会から示された引上げ額の目安答申を参考にしつつ、専門部会での慎重な審議が行われました。その結果、現下の経済状況や地域の実態を踏まえた上で、今回の答申に至ったとされています。
最低賃金の引き上げは、単なる数字の変化にとどまらず、地域社会全体に大きな影響を与えます。とくに、非正規雇用の割合が高い地方都市では、最低賃金が実質的な基準となっている場合が多く、改定による所得の底上げ効果が期待されます。こうした背景から、島根県における71円の引き上げは、労働者の生活の質を高めるうえで重要な意味を持つといえるでしょう。
なお、今回の答申を受けて、島根労働局長は2025年9月2日まで異議申し出を受け付けます。異議が申し出られた場合には、再び審議会での検討が行われ、最終的に意見を踏まえた上で最低賃金額が決定され、官報に公示される予定です。このような手続きを経ることで、制度の透明性と公正性が担保されています。
過去5年間の島根県における最低賃金の推移を見ると、2020年度にはわずか2円の引き上げ(0.25%)であったのに対し、年を追うごとにその引き上げ幅は拡大傾向にあります。2021年度には32円(4.04%)、2022年度は33円(4.00%)、2023年度には47円(5.48%)、そして2024年度には58円(6.41%)と着実に上昇を続けており、2025年度の71円(7.38%)はその集大成ともいえる規模となっています。
この流れは、国全体で最低賃金の底上げを進める方針の一環として位置づけられています。中央最低賃金審議会が各都道府県に対して示す目安額を参考にしつつ、地域の実情や労働者の生計費、企業の支払能力などを総合的に勘案したうえで、各地方審議会が答申を行います。その後、異議申出を受け付けたうえで都道府県労働局長が最終的に決定し、公示されるという流れで進行します。
最低賃金制度自体は、昭和34年に制定された最低賃金法に基づいて運用されています。この制度の根幹は、すべての労働者に対し、一定の生活水準を保障することにあります。最低賃金よりも低い賃金を合意のもとで定めた場合でも、それは法的に無効とされ、最低賃金額と同等の賃金を支払ったものとみなされます。つまり、法のもとでは、いかなる契約であっても最低賃金を下回ることは許されないのです。
また、最低賃金には2つの種類があります。ひとつは都道府県ごとに定められ、産業に関係なく地域内のすべての労働者に適用される「地域別最低賃金」、もうひとつは特定の産業に限って適用される「特定最低賃金」です。島根県内では、後者に該当する産業が6業種指定されています。
今回の改定により適用される最低賃金は、島根県内のすべての労働者とその使用者に適用されます。これは、正社員はもちろんのこと、パートタイマーやアルバイト、さらには外国人労働者にも同様に適用されるもので、属性や雇用形態、年齢、性別を問わず一律の基準が適用される点が特徴です。なお、派遣労働者については、派遣先の最低賃金が適用されます。
一方で、最低賃金に算入されない手当や賃金も存在します。たとえば、通勤手当、精勤手当、家族手当などの諸手当や、所定外労働に対する割増賃金、賞与など月を超えて支払われるものは最低賃金の対象外です。これは、最低賃金が基本的な賃金水準を守ることに重点を置いているためです。
もし使用者が最低賃金を下回る賃金を支払った場合、最低賃金法により50万円以下の罰金という罰則が科されることがあります。企業にとっては法令遵守の観点からも、今回の引き上げを正確に把握し、適切に対応することが求められます。特に中小企業やサービス業など、最低賃金の水準が企業経営に直結しやすい業種においては、賃金体系の見直しや人件費の再計算が必要となる局面も出てくるでしょう。
さらに、今回の最低賃金の引き上げは、労働者だけでなく、企業にとっても働き方改革や人材定着への取り組みを再評価する好機ともなり得ます。賃金の上昇がモチベーション向上や定着率改善につながる可能性があるため、賃金戦略の見直しを通じて、より安定的な雇用環境を整える企業が今後増えていくことが期待されます。
今回の島根県における最低賃金の改定は、地域経済全体の構造転換を促す契機ともなり得る重要な施策です。人材確保が困難な状況が続く中、安定した賃金水準の確保は、企業の競争力を高め、地域の活力を支える柱としての役割を果たすでしょう。今後の動向に注視するとともに、企業・労働者双方が新たな基準に適応する努力を続けることが重要となります。
この記事の要点
- 2025年11月17日から島根県の最低賃金が時給1,033円に改定される
- 引き上げ額は71円で、引き上げ率は7.38%と過去最大
- 過去5年間で最低賃金は170円上昇しており、年々上昇傾向
- 全ての労働者に適用され、属性や雇用形態に関係なく対象となる
- 一部の手当や賞与などは最低賃金に含まれない
- 法令違反には最大50万円の罰金が科される可能性がある
- 最低賃金の改定は地域経済や企業経営に大きな影響を及ぼす
⇒ 詳しくは島根労働局のWEBサイトへ