2025年6月21日
労務・人事ニュース
SNS詐欺の被害額は1,271億円超、採用担当者が今すぐ知るべき危険なトレンド(令和6年)
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精神科訪問看護の正看護師/未経験OK/車通勤可/服装自由
最終更新: 2025年6月21日 00:34
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「夜勤なし」/准看護師/オンコールなし
最終更新: 2025年6月20日 22:32
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「土日祝休み」/正看護師/クリニック/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年6月20日 22:32
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「駅チカ」/正看護師/クリニック/夜勤なし
最終更新: 2025年6月20日 22:32
特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の 認知・検挙状況等について(警察庁)
令和6年において、日本国内での特殊詐欺およびSNS型投資・ロマンス詐欺が深刻化しています。特に注目すべきは、その被害件数と被害額が大幅に増加していることです。このような詐欺の急増は、企業にとっても無関係ではありません。採用活動を含む社内業務の安全性や、従業員のリスク管理の観点からも重要な課題です。
警察庁の報告によると、特殊詐欺全体の認知件数は前年より10.5%増の2万1,043件に達し、被害総額は718.8億円と58.8%も増加しています。特筆すべきは1日あたりの被害額が約2億円近く(1億9,639万円)にまで膨れ上がっており、これは年間を通じて計算すれば実に700億円超の経済的損失を意味します。また、1件あたりの平均被害額も350万円と、個人のみならず法人にとっても見過ごせない金額です。
とくに企業の人事や総務の担当者が注目すべき点は、詐欺手口の多様化とその高額化です。オレオレ詐欺、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗を含む「オレオレ型特殊詐欺」は全体の半数近く(49.5%)を占め、その被害額は502.2億円と非常に大きな割合を示しています。さらにその中でも、警察官などを騙る「捜査名目型」の詐欺が増えており、特に「その他の名目」の件数が前年の約4倍(+318.6%)と顕著です。
一方で、SNSを通じて行われる投資詐欺やロマンス詐欺も急増しています。2024年のSNS型投資・ロマンス詐欺の被害件数は1万237件であり、これは前年比で166.2%の増加、被害総額は実に1,271.9億円と、前年から約2倍の増加を記録しました。1件あたりの平均被害額はおよそ1,243万円にも上り、特にSNS型投資詐欺の平均額はさらに高く1,359万円となっています。企業人の中にも、「知人を通じた投資案件」や「SNSで知り合った人物とのビジネス話」に巻き込まれるケースが報告されており、SNSリテラシーの向上は従業員教育にも直結する課題です。
このような詐欺においては、犯人が用いる初期接触手段の巧妙さも問題です。インスタグラムやLINE、FacebookなどのSNSが主な舞台となっており、これらを活用した偽広告やダイレクトメッセージによって関係性が築かれ、被害者は徐々に信頼感を持たされていきます。特にLINEは被害時の連絡手段として90%以上の事案で使われており、企業の私物スマホ利用のリスクなどを考慮すれば、業務でのSNS利用規定の見直しが急務です。
また、犯人が詐称する職業にも特徴があります。投資家や会社員、芸能関係者など社会的に信用されやすい立場を偽り、被害者に近づくケースが多発しています。特に女性を狙ったロマンス詐欺では、マッチングアプリが主要な接触手段として用いられており、その比率は3割を超えています。これにより、40代から60代の男女が中心に被害に遭っており、業務と私生活の境界が曖昧になっている現代においては、社員教育やプライバシー意識の強化も必要不可欠といえます。
さらに、詐欺の被害金の支払手段も多様化しており、振込、暗号資産、電子マネーなどが主に利用されています。とりわけSNS型投資詐欺では、被害の86.2%が銀行振込で行われ、そのうち約74%がインターネットバンキングを経由しています。つまり、自社のネットバンキングの操作ミスやアカウントの不正利用が起きれば、従業員個人だけでなく企業の資産が詐取されるリスクもあるのです。
加えて、犯罪組織の関与も強まっており、令和6年中のSNS型投資・ロマンス詐欺においては、大阪市内の国内拠点を摘発し、わずか半年で107人の被疑者が逮捕される事例もありました。これは、従来の海外拠点だけでなく、国内にも詐欺の温床が広がっていることを示しており、企業の拠点周辺でも注意が必要であることを意味します。
このような状況に対し、警察庁では2024年に「特殊詐欺連合捜査班(TAIT)」を全国の都道府県警に設置し、被疑者の迅速な特定と検挙を推進しています。同年には実に3,582件の捜査共助依頼があり、323件の検挙実績が記録されました。国を挙げた対応が進む一方で、企業や個人レベルでの防止策も不可欠です。
企業の採用担当者としては、こうした詐欺がもたらす社会的影響を十分に理解した上で、自社の従業員が被害に遭わないよう、採用段階でのリスク教育の導入や社内研修での啓発活動、そして私的SNS利用のガイドライン整備などが求められます。また、副業希望者が「簡単に稼げる」「AIで資産運用できる」といった詐欺広告に引き込まれるケースもあるため、従業員の副業申告制の厳格化や、情報共有の促進も効果的です。
このように、特殊詐欺およびSNS型詐欺は、個人の被害にとどまらず、企業全体に深刻なリスクをもたらす可能性を秘めています。企業としての信頼性を守り、従業員を守るためにも、経営陣から現場に至るまで、全社的なセキュリティ意識の底上げが急務といえるでしょう。
⇒ 詳しくは警察庁のWEBサイトへ