2025年9月1日
労務・人事ニュース
令和8年1月1日から徳島県最低賃金 時給1,046円、66円アップ(令和7年度)
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徳島県最低賃金66円引上げ、時間額1,046円へ(徳島労働局)
この記事の概要
徳島県の最低賃金が令和8年1月1日より時間額1,046円に引き上げられることが決定しました。これは現行の980円から66円、率にして6.73%の上昇となり、地域の労働環境や経済活動に大きな影響を与える見込みです。今回の引き上げには中小企業や小規模事業者の経営負担への懸念も含まれており、政府に対するさらなる支援の要望も併せて表明されています。
徳島労働局は、令和7年9月1日付けで、徳島県内における最低賃金の改定に関する正式な答申を発表しました。これにより、現在の時間額980円から66円引き上げられ、令和8年1月1日からは1時間あたり1,046円の最低賃金が適用される見通しとなりました。この決定は、労働者の生活安定と経済活動の健全化を図る上で重要な意義を持つものであり、徳島県内の労働環境において大きな転機となることが期待されます。
今回の答申は、徳島地方最低賃金審議会における綿密な議論を経て取りまとめられました。審議会は令和6年7月17日に徳島労働局長から諮問を受けて以降、専門部会を設け、複数回にわたり調査と審議を重ねてきました。そして、8月4日に中央最低賃金審議会が示した全国的な引上げ目安を参考にしつつ、最低賃金法の趣旨を踏まえたうえで、政府方針との整合性や地域の経済状況などを総合的に判断し、最終的に答申内容を確定させたものです。
改定された最低賃金の効力は令和8年1月1日から発生する予定であり、それまでは現行の980円が適用され続けます。今回の引き上げ率は6.73%で、これは近年の最低賃金改定の中でも比較的大きな上昇幅といえます。この背景には、物価の上昇や原材料費の高騰、全国的な賃金改善の流れなどが影響しています。
一方で、県内の経済構造に目を向けると、中小企業や小規模事業者が多数を占めることから、賃金の引き上げが即座に企業収益の改善や価格転嫁に結びつかない現実があります。実際、原材料の価格上昇や人件費の増加により、事業運営コストが年々高まる中で、多くの企業が価格転嫁に苦慮している状況です。このような事情を踏まえ、徳島地方最低賃金審議会からは、政府や関係機関に対して、こうした事業者へのさらなる支援を求める付帯決議も併せて提示されました。
企業経営者にとって今回の改定は、労務管理の在り方を見直す契機となる可能性があります。特に、賃金上昇に対応しつつも生産性を向上させ、従業員のモチベーションを高める取り組みが一層求められる局面にあります。徳島労働局としても、引き続き地域の関係機関と連携し、企業の生産性向上や賃金引き上げに向けた支援体制の強化に努める方針を明らかにしています。
また、今回の答申に伴い、労働者側にも一定の注意が必要です。最低賃金は時間給に適用されるため、短時間勤務やパートタイム労働を行っている人にとっては、時給の見直しが重要となります。企業側が新しい最低賃金に対応しない場合、違反となるため、雇用契約の内容や給与明細の確認が欠かせません。とりわけ、飲食業やサービス業など、人件費比率が高く、かつ非正規雇用が多い業種においては、従業員の権利保護とともに企業側の順守義務が改めて問われる局面です。
今回の改定は、全国的な賃金水準の底上げと同時に、地方の労働市場に対する新たな課題を浮き彫りにしています。特に地方部においては、賃金の上昇が企業にとっては経営圧迫の一因となりかねず、雇用の維持と人材確保の両立が難しくなる可能性も否定できません。そのため、単なる賃金の引き上げにとどまらず、それに伴う制度的支援や人材育成の強化、地域産業の底上げを含めた総合的な施策が求められています。
このような観点からも、徳島労働局が行う支援策の充実や企業への個別相談の強化は、今後の地域経済を左右する鍵となるでしょう。加えて、自治体や経済団体と連携しながら、地域特性に即した支援制度の整備や情報提供の拡充を図ることが不可欠です。最低賃金の引き上げは、労働者の生活向上に資する一方で、企業の経営努力も伴うものであるため、双方にとって持続可能な労働環境の構築が強く求められます。
この記事の要点
- 徳島県の最低賃金が令和8年1月1日から1,046円に引き上げ
- 現行の980円から66円、引き上げ率は6.73%
- 徳島地方最低賃金審議会が諮問を受けて慎重に審議し答申
- 県内の大半を占める中小・小規模事業者の経営負担に配慮し政府支援を要望
- 労働者側も最低賃金の遵守状況を確認する必要あり
- 企業には賃金引き上げ対応とともに生産性向上の取り組みが求められる
- 徳島労働局は今後も支援体制を強化していく方針
⇒ 詳しくは徳島労働局のWEBサイトへ