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2025年8月19日

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鳥取県最低賃金が過去最大の73円引き上げ、令和7年10月4日から時給1,030円に

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令和7年度鳥取県最低賃金の答申について(鳥取労働局)


この記事の概要

令和7年度における鳥取県の最低賃金が大幅に引き上げられ、時間額1,030円となることが答申されました。この改正は地域の経済実情や物価の上昇などを総合的に考慮した結果であり、労働者の生活の安定と企業の持続可能な成長の両立を目的としています。


令和7年度の鳥取県最低賃金に関する改正答申が、8月8日に鳥取労働局より発表されました。今回の改正では、最低賃金がこれまでの957円から73円引き上げられ、1,030円となることが答申されています。引き上げ率は7.63%に達しており、これは過去5年間の中で最も高い上昇幅となります。最低賃金の見直しは毎年行われていますが、これほどまでに大きな引き上げは、現在の経済環境を強く反映したものだと考えられます。

審議会は、中央最低賃金審議会が提示した改定の目安を参考にしながらも、地域の労働環境や雇用状況、賃金水準などの実情を踏まえ、独自に慎重な審議を重ねてきました。その結果、今回の大幅な引き上げが妥当であるとの判断に至りました。とりわけ物価の上昇や人手不足といった社会的背景が、賃金引き上げの必要性を高めており、労働者の生活を守るうえで不可欠な措置と位置づけられています。

今回の改正により、鳥取県内で働くすべての労働者に対し、1時間あたり1,030円以上の賃金を支払うことが義務付けられます。この適用対象は、常用雇用者に限らず、パートタイム労働者やアルバイト、臨時雇用、さらには外国人労働者や高齢者にまで及び、国籍や性別、年齢、雇用形態を問わずすべての労働者が対象となります。

ただし、最低賃金の算定には特定の手当が含まれない点にも留意が必要です。たとえば、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、結婚手当などの臨時手当、賞与などの1ヶ月を超えて支払われる賃金、時間外手当や深夜手当といった割増賃金は、最低賃金に算入されないため、基本給部分で最低賃金を下回らないように注意が必要です。違反した場合には、最低賃金法第4条第1項および第40条に基づき、使用者に対して50万円以下の罰金が科される可能性もあります。

この答申に対して、異議申し出の受付期限は令和7年8月25日とされており、その後は労働局が最終的な決定を行い、令和7年9月4日に官報で公示される予定です。正式な発効は令和7年10月4日を予定しており、それ以降、鳥取県内のすべての事業者に対し、新たな最低賃金の遵守が求められることになります。

今回の最低賃金改正は、労働者にとっては生活の安定を図る大きな前進である一方、企業にとっては人件費の増加という新たな課題を意味します。特に中小企業や個人事業主にとっては、急激なコスト上昇が経営に与える影響が大きく、事業の継続や雇用の維持に直結する問題となり得ます。そのため、厚生労働省では生産性向上のための投資や、非正規雇用者の処遇改善を促す施策として、助成金のパッケージ支援も展開しています。これにより、企業が最低賃金の引き上げに対応しながらも、経営の健全性を維持できるようサポート体制が整えられています。

また、今回の改正に至るまでの流れを時系列で見ると、7月14日に鳥取労働局長からの諮問を受けて審議が開始され、8月8日に答申がまとめられ、今後8月25日まで異議申し出の受付、9月4日に公示、10月4日に正式発効というスケジュールが予定されています。審議の期間は約1ヶ月におよび、その間に専門部会による精緻な調査と議論が行われたことからも、今回の引き上げがいかに重要な判断であるかが伺えます。

最低賃金の引き上げは、賃金格差の是正や、若年層や女性、高齢者など多様な労働者層の就業促進にもつながる可能性があります。特に、生活コストの上昇が著しい現在の経済状況においては、最低賃金の引き上げが購買力の底上げに直結し、地域経済の活性化にも寄与するものと期待されています。

企業の採用担当者にとっては、今回の最低賃金改正が今後の雇用戦略に大きな影響を与えることは間違いありません。時給の見直しに伴い、採用条件や人材育成の方針、職場環境の整備など、あらゆる面での見直しが必要となる場面も増えていくと考えられます。また、最低賃金の遵守だけでなく、より高い処遇を提示できる環境を整えることで、優秀な人材の確保や離職率の低下にもつながる可能性があるため、経営戦略としての視点も重要になってきます。

最後に、今後ますます加速するであろう賃金改革の流れに対応するためには、行政の支援制度を最大限に活用しつつ、持続可能な人材確保と職場づくりを目指すことが、企業経営の安定と発展につながります。労使双方にとって望ましい雇用環境の構築が期待される中、今回の最低賃金改正はその大きな一歩となるでしょう。

この記事の要点

  • 令和7年度の鳥取県最低賃金は1,030円に引き上げられる
  • 引き上げ額は73円、引き上げ率は7.63%で過去5年で最大
  • すべての雇用形態に適用され、例外的に除外される手当もある
  • 新しい最低賃金は令和7年10月4日から適用開始
  • 企業には人件費増の対応と制度理解が求められる
  • 厚生労働省は助成金などを通じて企業支援を行っている
  • 雇用戦略の見直しや人材確保の強化が企業経営にとって重要

⇒ 詳しくは鳥取労働局のWEBサイトへ

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