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2025年9月1日

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令和7年12月1日から山梨県最低賃金 時給1,052円、64円アップ

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山梨県最低賃金は64円の引上げ ~山梨地方最低賃金審議会が答申~(山梨労働局)


この記事の概要

山梨県において、最低賃金が過去最大の引き上げ幅となる64円の増額が答申され、令和7年12月1日より1時間あたり1,052円となる見込みです。本決定は中央最低賃金審議会の目安を上回るものであり、地域経済や中小企業にとっても大きな影響を与える内容です。


令和7年8月27日、山梨地方最低賃金審議会が発表した内容によれば、山梨県における最低賃金を1時間あたり64円引き上げ、現行の988円から1,052円とすることが適当であるとの答申が山梨労働局長に提出されました。この改定は令和7年12月1日から適用される予定であり、最終的には異議申し立てがなければ正式決定となる見通しです。今回の引き上げは引上率にして6.48%となり、全国的な基準である中央最低賃金審議会の定めた引上目安額である63円(Bランク)を1円上回る結果となりました。このことは、山梨県の経済動向や生活費の水準、地域の労働市場などを考慮したうえで、慎重に審議された結果であることを示しています。

山梨労働局によれば、本答申が行われるに至るまでには、山梨県最低賃金の見直しを目的とした調査と専門部会での議論が行われてきました。具体的には、令和7年7月14日に山梨労働局長から審議会へ諮問が出され、7月29日以降、合計4回にわたって審議が実施されました。この過程では、山梨県内における賃金実態の調査結果、地域の経済および労働市場の動向、生活保護制度との整合性といった観点から詳細な検討がなされました。また、8月4日に中央最低賃金審議会から厚生労働大臣へ提出された令和7年度の地域別最低賃金改定に関する答申も、参考資料として用いられたとのことです。

特筆すべきは、今回の最低賃金の引き上げ幅および引上率が、最低賃金が時間額単独で設定されるようになった平成14年度以降、最大となる点です。これは、近年の物価上昇や実質賃金の低下が社会問題として取り上げられている中で、労働者の生活を支えるための施策として非常に重要な意味を持ちます。最低賃金の引き上げは、働く人々の生活の質を向上させるだけでなく、雇用の安定や地域経済の活性化にも寄与すると考えられています。

また、生活保護との関係についても慎重な検討がなされました。令和5年10月1日に適用された山梨県の最低賃金(1時間あたり938円)の月換算額と、同年度の生活保護費を比較した結果、最低賃金が生活保護費を下回るような状況は確認されなかったことが報告されています。この点からも、最低賃金が地域住民の最低限の生活を下支えする水準にあることが裏付けられています。

一方で、最低賃金の引き上げは事業者側、とりわけ中小企業や小規模事業者にとっては大きな負担ともなり得ます。こうした事業者を支援するため、山梨労働局では「業務改善助成金」という制度を実施しています。この制度では、事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げたうえで、設備投資や人材育成、教育訓練などの取り組みを行った中小企業や小規模事業者に対して、その費用の一部を助成するというものです。助成額は、引き上げる賃金の額および対象となる労働者数に応じて変動し、最大で600万円までの支給が可能とされています。なお、この助成の対象となるのは、山梨県最低賃金との差額が50円以内の事業場に限定されています。

この助成制度の詳細については、厚生労働省の公式ホームページや「業務改善助成金コールセンター」にて確認することができます。コールセンターは平日の午前9時から午後5時まで受け付けており、助成金制度の利用を検討している事業者にとっては非常に有益な情報源となるでしょう。

今回の最低賃金改定は、山梨県に限った話ではなく、全国各地で議論が進んでいる最低賃金引き上げの流れの一環です。物価の高騰や人手不足など、企業を取り巻く環境が急速に変化している中で、労働条件の改善が求められており、企業が持続可能な経営を行うためにも、働く人々との適切な報酬のバランスが極めて重要になっています。

採用活動を行っている企業にとっては、今回の最低賃金の引き上げは給与水準の見直しを迫られるタイミングでもあります。特にパート・アルバイトの雇用が多い業種では、最低賃金の上昇が採用コストに直結するため、早期に人件費の再計算や雇用計画の見直しが必要になるでしょう。逆に言えば、企業がいち早く賃金水準を見直すことで、求職者に対する魅力を高め、他社との差別化を図ることも可能となります。

さらに、中小企業にとっては、助成金制度を活用することで賃金引き上げによる経済的負担を軽減しつつ、職場環境の改善や人材定着率の向上といった副次的な効果も期待できます。地域の雇用を守り、持続可能なビジネスモデルを構築するためにも、今回のような最低賃金の改定を単なるコスト増加と捉えるのではなく、成長の機会として前向きに取り組む姿勢が求められます。

今後、正式に引き上げが決定されれば、令和7年12月1日から新たな最低賃金が適用されることになります。事業者としては、それまでに必要な準備を整え、法令に則った対応を進めていくことが強く推奨されます。

この記事の要点

  • 山梨県の最低賃金が1,052円に引き上げられる予定
  • 引上額は64円、引上率は6.48%と過去最大規模
  • 中央最低賃金審議会の目安額より1円高い設定
  • 最低賃金と生活保護費の整合性が保たれている
  • 中小企業向けに最大600万円の業務改善助成金制度が用意されている
  • 助成対象は最低賃金との差が50円以内の事業場に限定
  • 助成金の活用で人材定着・職場環境改善の効果も期待される
  • 令和7年12月1日から新しい最低賃金が適用予定

⇒ 詳しくは山梨労働局のWEBサイトへ

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