2025年3月2日
労務・人事ニュース
トキが本州へ!石川県能登地域で令和8年度に放鳥開始、地域活性化の新たな可能性
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最終更新: 2025年3月25日 22:36
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石川県能登地域におけるトキの放鳥方針決定について(環境省)
2025年2月14日、環境省が開催した第26回トキ野生復帰検討会において、本州におけるトキの野生復帰に向けた重要な決定がなされた。特に、石川県および能登地域9市町におけるこれまでの取り組みが高く評価され、野生復帰に必要な条件が満たされたと判断されたことを受け、環境省は令和8年度上半期中を目標に、石川県能登地域でのトキの放鳥を実施する方針を正式に決定した。これにより、石川県は佐渡島に続く新たなトキの生息地として位置づけられ、本州におけるトキの定着が大きく前進することになる。
石川県および能登地域の9市町、すなわち七尾市、輪島市、珠洲市、羽咋市、志賀町、宝達志水町、中能登町、穴水町、能登町は、環境省が令和4年度に実施した「トキと共生する里地づくり取組地域」の公募で選定され、島根県出雲市とともに、トキの野生復帰を目指す地域として整備を進めてきた。この選定を受けて、各地域ではトキの生息環境を整えるための自然環境整備に加え、地域住民の意識醸成を目的とした社会環境整備にも注力してきた。トキの生息に適した湿地環境の整備や、農薬を抑えた農業の推進、住民への啓発活動などが実施され、トキが野生で生息できる環境が着実に整備されている。
環境省が策定した「トキ保護増殖事業計画」に基づき、トキ野生復帰検討会は、科学的な視点から復帰の可能性を検討するために設置された。専門家や学識経験者が参加し、野生復帰のための環境整備や生態系の適応性について議論を重ねてきた。その結果、令和6年2月には「本州等におけるトキの野生復帰に向けた考え方及び確認事項について」が策定され、この方針を基に石川県能登地域での放鳥計画とモニタリング計画が立案された。本日の検討会では、この計画が正式に了承され、トキの野生復帰に向けたプロセスが大きく前進することとなった。
トキはかつて日本各地に広く生息していたが、環境破壊や乱獲により個体数が激減し、野生のトキは一時、日本から絶滅した。しかし、佐渡島での保護活動が功を奏し、人工繁殖による個体数の回復が進められてきた。現在では佐渡島において一定数のトキが野生で生息しており、本州での復帰に向けた動きが加速している。今回の決定は、佐渡島以外の地域でもトキが生息できる可能性を示し、日本全体でのトキの復活を目指すうえで大きな一歩となる。
能登地域では、トキの生息に適した湿地環境を整備するため、水田の水管理の見直しや、生態系の多様性を確保するための取り組みが進められてきた。特に、農薬や化学肥料の使用を抑えた農業の推進により、エサとなる小動物の生息環境を改善する努力がなされている。また、地域住民に対するトキの生態や保護活動に関する啓発活動も活発に行われ、トキが安心して生息できる環境づくりが進められてきた。これらの取り組みが今回の放鳥決定に大きく寄与した。
放鳥に向けては、石川県や能登地域の自治体が中心となり、トキが適応できる環境をさらに整備するとともに、放鳥後のモニタリングを徹底して行う計画が進められている。トキが順調に定着するかどうかは、放鳥後の生息状況を綿密に追跡することが不可欠であり、GPSを活用した行動追跡や、専門家による生息状況の評価が行われる予定だ。また、地域住民とも連携し、トキの生息に適した環境を維持するための支援策が検討されている。
今回の決定を受けて、企業や自治体にとってもトキの野生復帰事業への関心が高まることが予想される。企業のCSR活動の一環として、トキの保護活動に参画することは、環境保全への貢献として評価されるだけでなく、地域社会との連携強化にもつながる可能性がある。また、エコツーリズムや環境教育の場としての活用も期待され、地域経済の活性化にも寄与することが見込まれている。企業が関与することで、より持続可能な生態系の保護が実現されることが期待される。
このように、石川県能登地域でのトキの放鳥決定は、日本における生物多様性の回復を象徴する重要な取り組みとなる。令和8年度上半期の放鳥に向けて、関係機関が一体となって準備を進め、トキが本州で定着することを目指していく。この動きが全国に波及し、より多くの地域でトキの生息が確認される未来が現実のものとなることを期待したい。
⇒ 詳しくは環境省のWEBサイトへ